流通BMS対応製品紹介
中小取引先の流通BMS普及を加速する「WinWin-EDI」
流通BMSは大手小売業の動向に注目が集まりがちだが、取引関係にある多くの中小企業が導入できるかどうかで普及が左右される。「WinWin-EDI」はその課題に挑戦している。
導入コストやサポート体制の負担がEDI導入を阻害する
従来のJCA手順に代わる企業間取引手段として、次世代EDIである流通BMSの普及に業界は大きな期待を寄せている。しかし、その活用には小売企業側がサーバを立てるとともに、取引先(卸・メーカーなど)も自社でサーバやクライアントPCを用意するなど、さまざまな準備が必要となる。特に中小のメーカーや卸などはこれらの導入コストやサポート体制が負担となり、EDI導入が阻まれるケースも多い。流通BMSが今後広く普及していくためには、これらの課題の解消がカギとなっている。
この課題をいち早く問題視していたのが、流通業向けに業務効率化のビジネスコンサルティングやシステム再構築を行うリテイルサイエンスだ。同社は、受注データの受け取りから出荷のデータ出力、返品処理、請求・支払いまで、基本的な受発注業務をパッケージ化した「WinWin-EDI」を開発。流通BMS対応のEDI導入を、業務アプリケーションの導入から運用サポートまで一貫して支援するサービスとして提供している。
同社はシステム導入による業務効率化に特化するため、データアプリケーション(DAL)の「ACMS Lite」やインターコムの「Biware JXクライアント」、ウルシステムズの「UMLaut/J-XML」など、JX手順(SOAP-RPC)に対応した比較的安価かつメジャーな通信ミドルウェアと、WinWin-EDIを完全連動するよう設計した。
また、現行形式(JCA手順やユーザー定義)と同様の固定長ファイルに変換することで、経理や財務などのほかの自社システムと連携できるため、カスタマイズすることなく流通BMSへの移行を可能にする。
コールセンターによるサポートにも対応
WinWin-EDIの基本ライセンスに含まれる年間の保守サービスには、本ソフトのインストールを含む利用開始時の電話サポートが含まれる(初年度必須で次年度からは1年間の自動更新)。また、EDI支援パッケージベンダーには珍しく、コールセンターによる問い合わせ対応(365日、9:30~21:00)も利用できる。コールセンターは流通業の業務に長けたアウトソースを活用しており、土日や年末年始など流通業企業にとっての書き入れ時にもサポートが受けられる。PCに不慣れな店長などを抱える中小企業にとっては安心材料といえるだろう。
また、流通BMSで標準となった「出荷梱包ひも付け有り/無し」データの作成機能も基本ライセンスに含まれる。バーコードリーダーでピッキング後の商品と別途発行のSCM(Shipping Carton Marking)ラベル(※)を読み取り、「出荷梱包ひも付け有り」データを作成することもできる。
(※)SCMラベル:企業間での物流や検品作業を簡素化・効率化するために内容明細や伝票番号を表示するための納品ラベルのこと。EDIであらかじめ伝送された事前出荷通知ASN(Advanced Shipping Notice)とSCMラベルを照合させることで、箱を開けなくても受け入れ検品と店舗別仕分けができ、大幅なコスト削減と物流のスピード化が可能となる。
ファイル交換型EDIを本命に開発
「大手メーカーや大手卸などはともかく、中小規模の企業にとって流通BMSはまだまだハードルが高い。通信ソフトのみでは彼らの参加は難しく、ファイル交換型のEDIによる業務パッケージとの組み合わせが必要だった」と語るのは、同社取締役副社長の今渕真太郎氏だ。
WinWin-EDIはWeb EDIが注目された2002年ごろ、ニュートラルが開発したBACREX(バクレックス)標準を用いた中堅小売企業向けWeb EDI支援パッケージがベースとなっている。Web画面だけでデータ交換を可能にしたことがそのプロダクトの売りだったが、食品スーパーやドラッグチェーンなど、毎日もしくは週何度も定常的に受発注を行う小売業にとっては、Web画面上で受発注業務を行うのは非効率だ。そのため、双方にデータが残るファイル交換型のEDIを基本とした。
「Web EDIの画面設計は各社それぞれに異なり、ファイルの中身も異なるため、小売業ごとに対応せざるを得なかったが、流通BMSという業界統一基準になったことで、メッセージがXMLに統一され、通信手順も業務フローも標準化されたため、広く普及する可能性が出てきた」と今渕氏は述べる。
WinWin-EDI導入事例ハイライト
CGC(Co-operative Grocer Chain)グループ
CGCグループは全国の中堅・中小スーパーが結集したコーペラティブチェーン(独立した小売業者による協業結合体組織)で、加盟企業総数約220社、総合店舗数3300店、グループ年商3兆8000億円を誇る。同グループは2007年10月に流通BMSの実稼働を開始し、中小規模取引先向けの推奨ソフトウェアの1つとしてWinWin-EDIを採用した。グループ内企業が一斉に流通BMSへ移行するのは難しいため、加盟企業と取引先を結ぶ「CGC-EDIセンター」を設置し、同センターでレガシーのJCA手順と流通BMSの相互変換を行い、両方式が併存できるようサポートしている。ある加工食品卸では、発注データの受信にかかる時間を40分から2分に短縮し、出荷確定データの送信は20分から1分に短縮した。また、ある加盟企業では月間40万枚使用していた伝票の完全ペーパーレス化を実現し、月間160万円のコスト削減に成功したという。
成城石井
食品スーパーの成城石井は、メッセージ通信にDALのACMSを活用し、クライアントの業務アプリケーションにWinWin-EDIを利用している。注目すべき点は、WinWin-EDIの販売元である日本ラッド情報サービスと一括契約し、WinWin-EDIの機能を各取引先へ貸し出していること。通常なら、通信+業務パッケージの導入には廉価なJX手順でも30万円前後の初期費用が掛かるが、レンタル方式によりインターネットにつながるPCさえあれば、小規模な取引先であっても月額利用料だけで流通BMSへの参加を可能にした。同時に、導入時のサポートとして電話対応や現地でのインストール、疎通テスト、操作説明などがオプションで利用でき、稼働後もコールセンターでのサポートが受けられるなど保守体制を用意したこともポイントだ。
流通BMS普及のカギは中小規模取引先への浸透
一般的な店舗では、全体の2割の取引先で仕入れ額全体の8割をカバーすると考えられるが、EDIの観点ではまったく逆になる。つまり、大手中心に仕入れ額の8割をEDIでカバーできたとしても、取引社数全体では2割に満たないことになるからだ。そのため、「取引で処理する伝票数を考えると、業務効率化のためには中小の取引先のEDI化率を高めることが重要になる」(今渕氏)。
その点、WinWin-EDIのような必要な業務をほぼすべてサポートする比較的低価格なクライアントパッケージの役割は大きいと今渕氏は考えている。成城石井のように小売りが協力して、買い取りではなく利用料で使えるような環境を整えれば、さらに普及が促進されるだろう。
なお、そのようなハードルを下げるサービスも一部で始まっている。リテイルサイエンスと協業する住商情報システムは、WinWin-EDIをインストールしたアプライアンス製品の販売を2009年4月から開始した。駆動部品のない小型のMicroPCを活用し、サーバやネットワーク機器、EDI通信ソフトなどを準備することなく、ディスプレーだけで流通BMSに低コストかつ短期で対応できるので、取引関係にある幅広い企業での運用が可能になる。
データセンターをバックアップとして利用できる新サービス
また、今後については利用企業がリテイルサイエンスのデータセンターにデータをコピーできるサービスの提供も検討している。万一取引先のPCにトラブルが発生した際には、データセンターをバックアップとして利用できるとともに、過去データの検索性を高めることが可能になるという。「大手小売チェーンもWinWin-EDIの採用を決定している。流通BMS普及のカギを握る業務パッケージベンダーとして認識を新たにするとともに、製品の機能強化と、導入・保守体制もさらに工夫を加えていく」(今渕氏)
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