店頭でのRFID取得情報を活用することで、どのようなメリットが得られるだろうか。実際の店舗で行った実証実験を基に、RFID活用の可能性を解説する。
流通業におけるRFID(非接触ICタグ)の実証実験が盛んだった数年前と比較すると、現在は導入に向けた動きが鈍化しているように思われるかもしれない。しかし、アパレル業界ではRFIDの導入効果を経営効率アップ、生産性向上の施策としてとらえ、導入に向けた動きも活発化している。また、2008年における日本のアパレルの輸入浸透率は94%を超過し、その生産のほとんどを中国を中心とする海外に依存している。原材料の調達から完成品の店舗配送まで、サプライチェーンはますます長く、そして複雑になる傾向にある。そこで工場において1つひとつの商品にRFIDを張り付けて店頭まで流通させることにより、以下が可能になると期待されてきた。
しかし、RFIDシステムの導入コストは決して安くはなく、投資効果(ROI:Return on Investment)という観点から考えると、経営者としては導入に向けての意思決定において、「決定打に欠ける」という状況を打破できずにいた。上記1については、「可視化した後にどのようにして全体の生産性を向上させるか」というポイントがあいまいであり、上記2については、物流拠点での効率化施策は人件費の削減など限定的であり、「RFIDの導入により直接的に恩恵を受けられる」というシナリオをなかなか見いだせずにいた。
本稿では、2008年度の経済産業省委託事業「IT投資効率性向上のための共通基盤開発プロジェクト」(繊維分野・電子タグ実証実験)を通して見えてきた、流通業におけるRFIDの有用性を2回に分けて解説していく。
消費意欲が減退している昨今の状況下では、より高効率で無駄を省いたオペレーションの構築が急務である。しかし、残念ながらアパレル企業はますます増加基調にあるさまざまな“ロス”と戦っているのが現状である。
顧客が特定の商品を購入しようとする際に、何らかの理由でその商品がその場になく、本来期待できたはずの販売ができないことによるロス。
店舗への初回投入数量計画の精度が低かったり、本来補充すべき在庫が補充されなかったりしたために、店舗間や物流センター間で、急な小口配送などで対応するために生じる物流費のロス。
過剰な数量を生産したり、商品自体が顧客の望むものではなかったために、値引き販売や廃棄などを行って本来設定した利益をロスしてしまう。余分な物流・廃棄コストなども含まれる。
このようなロスの原因は何だろうか。それは、生産から販売までの一連のサプライチェーンにおいて、最終消費地点である店舗からの情報ではなく、生産・企画サイドから考えた情報でさまざまな計画が行われていることに問題がある。消費者の行動や嗜好(しこう)が読みにくい時代であるからこそ、店頭での情報を上流のサプライチェーンに「俊敏」に、そして「正確」に伝えることが肝要だ。
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