2009年から受託ソフトウェア開発でも適用された工事進行基準では「“工事収益総額”“工事原価総額”“決算日における進ちょく度”を信頼性を持って見積もること」が求められる。そのため、工事進行基準を適用するプロジェクトでは、その見積もり段階から適切かつ厳密な原価管理を行う必要がある。特に、ソフトウェア開発のコストの大半を占める人件費を正確に管理し、プロジェクト要員ごとの作業進ちょくや勤怠実績などを詳細に集計しなければならない。しかし、複数の企業間で行われるプロジェクトではその状況の把握が難しいこともある。
また、内部統制の観点から、受注プロジェクトの契約内容や経費管理などの透明性が求められ、それらの承認フローを含めた業務プロセスを改善する必要がある。こうした課題を解決する策として「業務管理システムの導入」が考えられる。しかし、自社の独自の業務フローに適応できないシステムを導入すると、かえって業務効率の低下を招く恐れがある。
今回は、ビーブレイクシステムズの業務管理システム「MA-EYES」を紹介する。同社の取締役 営業統括担当の高橋 明氏は、プロジェクトの業務フローはその企業の利益獲得の源泉となるノウハウでもあるとし、「MA-EYESは企業独自のノウハウを優先しながら、柔軟にカスタマイズできるセミオーダー型パッケージ製品だ」と語る。

MA-EYESはプロジェクト管理、ワークフローやアクセス権限の管理、帳票出力機能などを備えた、業務管理ソフトウェアだ。MA-EYESの特徴について、高橋氏は「プロジェクト管理にはコスト、品質、納期などの重要指標があるが、MA-EYESは特に“コスト管理”に重点を置く製品」と説明する。
MA-EYESでは、プロジェクト受注前のSFA(営業支援)機能やプロジェクトの見積もり、見積書の作成、およびプロジェクトの予算登録・管理や検収機能などを提供している。また、外注先への発注や備品購入などの購買管理、支払管理、交通費などの経費申請機能などを備えている。こうした機能によって、原価の適切な管理を行うことで「プロジェクトの生産性を向上させることを支援する」という。
多くのプロジェクト管理ツールでは業界向けの標準テンプレートを提供し、導入企業はそのテンプレートにプロジェクトを合わせることがある。MA-EYESでは業種ごとに利用される機能をモジュール(部品プログラム)化して、それらを組み合わせて各プロジェクトに適用することを基本とする。企業独自の業務フローに適応する部品プログラムを同社のシステム構築ツール「J-Fusion」で開発することもできる。
また、内部統制で重要となる承認フローについては、専用の作成画面を利用することで、組織や役職パターンに合わせたフローの作成が可能だ。高橋氏は「なるべくコストを掛けずにカスタマイズして導入できる点が強みだ」と説明する。
| 機能 | 機能名 |
|---|---|
| ポータル | ポータル機能 |
| ワークフロー | 権限設定、承認パス設定、承認タスク設定、承認グループ設定、申請一覧、承認一覧 |
| プロジェクト管理 | プロジェクト見積、プロジェクト登録、プロジェクト完了、プロジェクト見積一覧、プロジェクト一覧、プロジェクト進行一覧、請求ステータス一覧、アサイン状況一覧、稼働状況一覧、部門別振替連絡表 |
| 作業実績管理 | 作業実績入力、作業実績・勤怠入力(※)、作業実績一覧(※)、作業実績・勤怠一覧(※)、勤怠状況一覧(※)、給与計算用データ一覧(※) |
| 費用実績管理 | 購買申請、経費申請、購買一覧、伝票一覧 |
| 予算管理 | 予算取り込み |
| SFA | 商談管理、見込み状況一覧 |
| 間接費配賦 | 配賦設定、配賦実行 |
| 経営リポート | 損益計算書、部門別売上利益、個人別売上利益、プロジェクト収益性、プロジェクト分析、汎用データ出力 |
| 締め処理 | 月次締め処理 |
| マスタ管理 | 顧客マスタ管理、仕入先マスタ管理、口座マスタ管理、勘定科目管理、損益計算書科目管理、ユーザ単価マスタ管理、ユーザ単価取り込み |
また、MA-EYESでは、WBS(作業分解図)によるプロジェクトの工程管理、各担当者が作業実績や勤怠管理といった情報を同時入力できる機能などをオプションとして提供する。さらに、企業内だけでなく外部から作業の実績入力や経費申請、購買管理などを行う場合は、Webブラウザ画面からそれらのデータを入力できる機能もオプションとして用意している。
プロジェクト管理ツールには、入力データを基に分析した結果を出力するリポート機能が備えられている。MA-EYESにも部門別利益や個人別売上などの10種類のリポートが標準搭載されているが、高橋氏によると「他社では30〜50種類の定型リポートがあるが、MA-EYESでは定型リポートの種類を限定して提供している」という。その理由について、同氏は「ユーザーが見たい分析の切り口は、われわれが考えるよりも多い。そうした要望に応えるためには、柔軟にカスタマイズできる仕組みが必要になる」と説明する。
MA-EYESでは、ピボット形式の分析画面や任意のデータを出力する汎用データ出力機能を提供する。これらの機能を利用することでアドホックな要求にも対応でき、要件定義の段階からでも分析が可能になったり、データをMicrosoft Office Excelに取り込んで自分でデータ分析を行うことができる。
MA-EYESはコンサルティング企業やシステム開発会社、広告会社やインターネット関連企業など、プロジェクト型で事業を展開している企業を中心に導入されている。高橋氏によると、特に「従業員数300〜500人、売り上げ50億〜100億円の規模の企業で多く導入されている」という。
業務管理システムが導入される背景として、高橋氏は「上場企業では監査法人が求める“厳密な原価管理”“日本版SOX法などの内部統制対応”を支援するソリューションを求めている」と説明する。非上場企業の場合でも、内部統制や厳正な原価管理に取り組んでいることをアピールしたいというニーズがあり、多くの企業の経営層が「業務管理体制の整備を意識している」と語る。
また高橋氏は、企業が業務管理システムを導入する理由は大きく3つあると説明する。1つは「内部統制対応」。具体的には、部門単位で異なっていた申請および承認の仕組みを全社で統一したいというニーズがある。システム化することで決裁権限や承認フローを規定し、そのルールを全社的に運用できる。さらに、監査証跡としてその履歴をデータとして保存することにも役立つ。
MA-EYESのポータル画面はユーザーが早期に承認処理を行えるように、プロジェクトの完了予定日を表示したり、完了予定日を過ぎても未完プロジェクトがあることなどの注意を促すアラート機能が設けられている。
2つ目は「業務フローの効率化」だ。高橋氏は「プロジェクトを開始する前段階では見積もりや受注・契約などを管理し、プロジェクト開始後は外注先の購買管理、支払管理などを行う必要がある。また、自社の売り上げ計上のための検収なども必要だ。こうしたプロジェクト開始前の見積もりから完了までの業務フローをすべてシステム化することで、それらの業務を効率化できる」と語る。
3つ目は「経営効率と原価管理の精度向上」だ。多くの企業では、契約管理は契約管理システム、原価管理は原価管理システムというように、それぞれ個別にシステムが使用されている。高橋氏は、こうした管理機能を統合したシステムを導入し、売り上げと原価をひも付けることによって、厳密な原価管理を行うことができると語る。
また「顧客、仕入れ先、経費、プロジェクト区分などのさまざまな切り口で分析リポートを随時作成して、必要な情報を取り出すことができれば、効率的な経営判断を行うことができる」と説明する。
MA-EYESには月末締め機能や仕訳データをCSVデータとして出力する機能がある。さらに、仕訳データの作成や既存の財務管理システムと連携させることが可能で、特に「SAPなどのERPとの連携実績は豊富である」という。
インターネットショッピングモールを中心に提供サービスの規模が年々拡大し、それに伴い開発要員やプロジェクト数が増加した同社は、管理方法にばらつきがあり、管理コストが肥大するといった問題を抱えていた。同社は2007年に「開発コストやアサイン状況を一元的に管理すること」を目的としてMA-EYESを導入し、部門やプロジェクト単位での進ちょく状況がリアルタイムに把握できるようになった。これにより、最適な要員の割り当てや工数管理方法の標準化、管理コストの削減など業務の効率化を図ることができた。
工事進行基準に対応する機能としては、プロジェクトごとの原価の予実対比や進ちょく状況に応じた売り上げや利益の把握ができる。また、進ちょく率に応じて、組織単位や受注状況などのさまざまな検索条件によって、進行基準売上や進行基準売掛金残高などを一覧表示することもできる。さらに、進行基準売上を損益計算書に表示することも可能だ。
今後の製品展開について、高橋氏は「プロジェクト管理を中心とした業務管理パッケージは財務会計システムとの連動性を強く求められている」との認識を示す。また「既存の財務会計システムとの連携だけではなく、自社でも財務会計や人事管理のシステムを開発してERPパッケージとして提供することも視野に入れている」と語る。