「NetApp Innovation 2011 Winter」リポート【前編】
みずほフィナンシャルグループが目指す、ストレージの理想像とは?
国内の銀行系企業ではネットアップストレージを最大規模で導入しているみずほフィナンシャルグループ。担当者が同グループにおける今後のストレージ戦略を語った。
2011年12月7日に開催されたネットアップのプライベートイベント「NetApp Innovation 2011 Winter」の基調講演では、大規模なストレージシステムを構築した2つの事例が発表された。今回はその中からみずほフィナンシャルグループ(以下、みずほグループ)の事例を紹介しよう。
グループ全体で3.1ペタバイトのストレージ容量
「グループ全体におけるネットアップのストレージ容量は3.1P(ペタ)バイト。ネットアップの事例としては国内の銀行系企業では最大規模、ワールドワイドでも15位以内に入る」
みずほ情報総研 専務取締役 高木和幸氏は、導入規模の大きさを講演でこう説明した。みずほ情報総研は、みずほ銀行やみずほコーポレート銀行、みずほ信託銀行などを傘下に持つみずほグループの戦略子会社。同グループのIT分野を支える役割を担っている。
みずほグループにおけるネットアップの導入例の1つとして、高木氏はグループの集約基盤システムに同社の製品を採用していることを紹介した。このシステムは、みずほグループの各システムに対してIAサーバの仮想、物理の両環境におけるリソースを提供するIaaS(Infrastructure as a Service)基盤だ(関連記事:今さら聞けない! 各種クラウドサービスの違い)。2008年に開発に着手し、2009年に本番稼働している。
高木氏によると、このシステムの立案時にストレージを選定するに当たり、以下の3つの要件を重視したという。
ストレージ選定で重視した3つの要件
- マルチプロトコル対応
- システムの高可用性
- バックアップ、ミラーリングなどの高効率性
高木氏は「システムの構築容易性や保守性、拡張性などを考慮し、できる限りNAS(Network Attached Storage)構成を採用する方針だった」と説明。しかし、物理サーバ環境がSAN(Storage Area Network)構成となるため、両方のプロトコルをサポートしているストレージが必要だったという。
また、集約基盤であることから、ディスク障害時のデータ保全を目的に、高い可用性が必要だったとし、「メインセンターとバックアップセンター間の膨大なデータを効率よくバックアップすることが必要となり、バックアップやミラーリングなどを効率よく実行することが求められていた」という。
上記の要件に基づいて製品を検討した結果、ネットアップのストレージを選択した。リリース後にストレージ停止などの障害は発生しておらず、安定稼働を続けているという。
みずほグループにおけるストレージ戦略
高木氏は「多くの顧客データを管理する企業として、ストレージは非常に重要なシステムである」と説明し、みずほグループにおける3つの今後のストレージ戦略を紹介した。
まずは業務システムのデータ、ログデータ、バックアップデータを、それぞれのパフォーマンス要件に応じたストレージに格納する「ストレージの階層化」だ。データを単一のハイエンドストレージに格納するのではなく、データ属性や保全要件に応じてミドルレンジなどのストレージに階層化して格納する。
次に、シンプロビジョニング技術や仮想統合による「ストレージ利用効率の改善」だ。既存ストレージの空き容量などをプール化し、より効率的な利用を可能にする取り組みである。システムごとに個別のストレージを保有するのではなく、単一のストレージに統合。これまで50~60%程度だったストレージ使用量を増加させ、新規ストレージの購入・追加などを抑制するという。
3つ目は重複排除技術やデータ圧縮による「ディスクスペース消費量の改善」だ。業務データに伴い、増大するバックアップデータを圧縮することでそのストレージ消費量を抑制するコスト削減対策だ。
高木氏によると、具体的には以下の図のようなシステムをイメージしているという。まずデータを業務データ、ログデータ、バックアップデータの3つのデータ特性に分類し、ハイエンド、ミッドレンジの2つのストレージ階層を構築する。
現状、大半のシステムが利用しているハイエンドストレージから、ミッドレンジストレージをベースにしたSAN、NAS、バックアップの3つのプールを構築する。ログ、バックアップのデータをプールに移動することでハイエンドストレージの使用量を削減し、業務データについても重要度の高いデータ以外はプールに移行する。また、SAN、NASプールではシンプロビジョニングによりボリューム容量を仮想化し、そのリソースを各システムに提供する。さらに、バックアッププールでは重複排除、データ圧縮を適用して容量を削減するという仕組みだ。
今後注力するストレージの新技術
さらに高木氏は、今後ネットアップのストレージに期待することとして「サイトを跨いだストレージプール」「災害対策用のバックアップサイトの有効活用」を実現するソリューションの提供を挙げた。
現在のストレージシステムはネットワークを含め、物理ロケーションに制約を受けている。今後は仮想化技術を活用したサイトフリーなプールの構成を実現したいとしている。そのためには「ストレージグリッドなどの新技術の展開に期待している」と語った。
また、通常使用していない災害対策用のバックアップサイトを有効活用できるソリューションを検討しているという。「例えば、通常は開発環境として利用し、災害発生時などに開発環境のデータを圧縮してカプセル化し、その空き領域に本番データを格納するといった運用を実現したい」としている。
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