タブレット市場の覇権を狙うWindows 8【後編】
Windows 8タブレットが“iPadキラー”になるために越えるべき3つの壁
Windows 8タブレットは本当にiPadの牙城を崩せるのか。後編は、Windows 8タブレット普及に当たっての課題を示す。
米Microsoftが開発中の次期OS「Windows 8」を搭載したタブレットは、米AppleのiPadの有力な対抗馬として注目を集めつつある。前編「Windows 8タブレットが“iPadキラー”になり得る理由」では、Windows 8タブレットがiPadに対抗する武器となる機能や特徴、ハードウェアベンダーの盛り上がりについて説明した。
Windows 8タブレットに死角はないのか。後編は、Windows 8タブレットの普及に当たって解決すべき課題を解説する。
課題1:ARMプロセッサ向けソフトウェアの早期充実
Windows 8には専用のアプリケーションストア「Windows Store」が用意される。アナリストらは、「Windows StoreにARM向けのソフトウェアを早く充実させることが、Microsoftに課せられた使命」だと口をそろえる。Windows 8は、x86プロセッサ版に加えてARMプロセッサ版が用意される。
Forrester Researchのシニアアナリストであるロットマン・エップス氏は「ソフトウェア開発者は、ARMプロセッサ向けの開発作業を急ぐ必要がある」と指摘する。「一般消費者やビジネスユーザーの購入意欲が高いモバイル端末の多くが、ARMプロセッサを搭載した端末だからだ」(同氏)
ソフトウェアベンダーは準備を着々と進めている。米数学ソフトウェアベンダーのxThinkもそうした企業の1つだ。同社は2003年以来、タブレット向けに「xThink Calculator」「MathJournal」といった数学ソフトウェアを販売している。同社の広報担当者であるテレサ・シュー氏は「ARMプロセッサ搭載端末が多いAndroidやiOS向けソフトウェアの開発は順調に進んでいる。ARM搭載版Windows 8版の開発も問題なく進められると思う」と話す。
課題2:従来型ソフトウェアはリコンパイル作業が必要な場合も
潜在的な障害としてしばしば指摘されているのは、x86プロセッサ向けの従来型ソフトウェアをWindows 8で動作させるために、ソフトウェアをコンパイルし直す(リコンパイルする)必要があるかもしれないことだ。
ニュージーランドに本拠を置くソフトウェアベンダーAmbient Designは、Windows 8用ソフトウェア開発の検討に入ったベンダーの1つだ。同社はWindowsやMacintosh、iOS向けに、絵を描いたり図形を作成したりできるペイントソフトウェア「ArtRage」を開発している。Windowsタブレット用ソフトウェア開発における草分けでもある。
同社のクリエイティブディレクターであるマット・フォックスウィルソン氏は「Windows 8についてはMicrosoftから説明を受けたばかり。現在は開発の方向性を見極めるために、情報を精査している段階だ」と前置きしつつ、「Microsoftが適切な開発ツールを提供すれば、課題は軽減あるいは解決できるだろうと考えている」という見方を示す。
課題3:Metroのメリットを引き出すハードウェア機能の活用
フォックスウィルソン氏は、Windows 8が備えるタッチ型ユーザーインタフェースである「Metro」に注目している。「Metroには、通常は基本的な機能メニューを非表示にしておき、ユーザーが必要とするときに表示する『アプリケーションバー』など優れた要素が多い」と同氏は語る。
Windows 8に限った話ではないが、タッチインタフェースのメリットを最大限に生かすに当たっては、ハードウェアの機能が重要になるだろうと同氏は指摘する。「例えば『クレヨンを使う場合は絵筆よりも強くタッチする』といった操作を可能にするには、ディスプレーに感圧センサーが必要だ」(同氏)
MicrosoftがiPadの勢いを止めるには、ハードウェア/ソフトウェアパートナー各社の協力を仰ぐだけでは十分でない。経験豊富な同社のコンシューママーケティング部門の力を最大限に活用する必要がある。Windows 8がタブレット用OSとしてどれだけ技術的に優れていようとも、タブレット市場で一般消費者の心と財布をつかめなければ勝利はないからだ。
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