変化するBIツールに必要な条件【前編】
米小売業が10年利用したBIの刷新を決断したわけ
ビジネスを取り巻く環境が劇的に変化した米小売業The Paradies Shops。同社CIOはそのビジネス変化と現場の作業内容を確認し、「あるべき姿」を目指した。
10年という歳月は、大人にとっては一区切りの期間だが、子どもにとっては全生涯に当たる。空港のショップを運営するThe Paradies Shops(以下、Paradies)は、10年以上運用してきたマーチャンダイジングシステムとビジネスインテリジェンス(BI)機能を見直し、このシステムの10年には、子どもにとっての定義を採用することにした。
昔は、このレガシーシステムが大いに役立ったかもしれないが、ビジネスを取り巻く環境は変わった。現在Paradiesは、米国とカナダの70カ所の空港とホテルで500店舗以上を運営しており、競争力を維持するためには今よりも俊敏なシステムが必要だった。
同社のトニー・ドゥデクCIOは「Paradiesのビジネスは、10年前とは様変わりしている」と話す。
Paradiesにとってシステムを最新化するということは、BIツールに投資して、Excelスプレッドシートからリポートを作成する際のデータアクセスの遅さを解消し、整合性を確保することを意味した。
データの利用シーンを調べる
ドゥデク氏はParadiesに入社してわずか8カ月だが、その短い期間に、仕入れ担当者がリポートを作成し、データから洞察を得ることがいかに難しいかを見て取ることができた(同氏は、スタッフがデータの調査に費やしている時間を明言することは避け、単に「かなりの時間」と表現している)。
Paradiesのような企業にとって、時間がかかるデータ分析は非常に不利だ。
「空港のショップは(客の)目的地ではない。ショッピングモールと違って、買い物が目的で空港に行くわけではない」とドゥデク氏は指摘する。
Paradiesは、ざっと挙げるだけでもCNBC、The New York Times Bookstore、Express News & Gifts、Brooks Brothers、Lacoste、KidZooなど、数多くのショップを運営している。それらのショップが、買い物を目的としているわけではない客の目を引くためには、店舗正面を工夫する必要がある。つまり、そのときに最も求められているスタイルを把握するだけでなく、その場所で最も求められている商品を理解する必要もあるということだ。
問題の1つはデータアクセスだが、データの保存の仕方も問題になっていた。ほとんどの小売企業は、データを複数の階層に分けて管理している。つまり製品区分、店舗の種類、仕入れ担当者などのカテゴリを使って分類することで、さまざまな角度からビジネスを眺められるようにしている。
ドゥデク氏は、これをプリズムに例え、1つの光線がプリズムを通過すると、複数の光線に分かれて照射されるようなものだという。しかしParadiesのレガシーシステムでは、データを1階層のみで管理しているため、複数の光線、つまりさまざまな角度を使って、ビジネスを眺めることができない。
「基盤のデータは全く同じものだが、ビジネスはあらゆる角度から分析する必要がある」(ドゥデク氏)
多角的な分析は、複数の場所に店舗が分散し、しかも同じ場所で種類の異なる店舗を運営しているParadiesにとって、特に困難だった。例えば、レストランにコンビニが併設された店舗の売り上げは食品と飲料のカテゴリに入るが、コンビニ担当のバイヤーにもこのデータは必要だ。
ドゥデク氏はParadiesの古いアーキテクチャの難点を細かく洗い出したが、米大手DIYチェーンストアHome DepotのIT部門での経験から、オーバーホールは苦痛を伴うプロセスになることも予測できた。
「心臓と肺を移植するようなものだ」とドゥデク氏は話す。
Paradiesではカスタムのデータウェアハウス(DWH)を構築中だが、ドゥデク氏の目には、データアクセスの高速化とリポート機能の改善が目下の急務として映った。そこで、意を決して、運用システムを徐々に整備し、そのシステム上で運用するBI製品を探すことにした。導入するBI製品は軽量で使いやすく、小売企業にとって有用な情報(洞察)をデータから導き出せる必要があった。こうしてParadiesのデータ発見ベンダーの探求が始まった。
「BIに付属するツールで、直接、運用データストアのデータを処理できるツールを求めていた」とドゥデク氏は話す。後編では同社が選定したBIツールと、その選定理由を紹介する。
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