予測分析製品紹介: SAS Institute Japan編
「Ponta」でも活用、今も未来も一気に見通す「SAS Analytics」
データを多角的・多面的に分析する予測分析製品群「SAS Analytics」。連携が容易な幅広い製品ラインアップで、現状分析から予測まで一気通貫でカバーする。
Analysis(分析)やStatistics(統計解析)の要素を含み、分析を利用してデータに基づく意志決定をする取り組みを指す「Analytics(アナリティクス)」。そのアナリティクスを長年提案し続けてきたのがSAS Institute Japan(以下、SAS)だ。予測分析製品紹介の2回目で取り上げる「SAS Analytics」は、SASの経験やノウハウを基にした機能を盛り込んだ製品群である。
連載:予測分析製品紹介
製品の概要:37年間の蓄積で生み出されたアナリティクス・ライフサイクル
SAS Analytics製品群は、アナリティクス機能を幅広くカバーする(図1)。一般的なビジネスインテリジェンス(BI)ツールが備えるリポーティングやOLAPといった現状認識を支援する機能から、出来事の発生原因を探る「統計分析」、次に何が起こるのかを探る「予測型モデリング」といった予測分析機能まで網羅する。
SAS Analyticsを構成する具体的な製品を以下に示す。高度な分析が可能なプロフェッショナル向けツールの「SAS Enterprise Guide」に加え、視覚的かつ直感的な分析が可能な「SAS Visual Analytics」といったツールもある(画面1)。
| 製品名 | 概要 | 用途 | 主な使用者 |
|---|---|---|---|
| SAS Visual Analytics | ビジュアルを多用し使いやすさを重視した分析ツール | データ探索、視覚化、リポーティング、モニタリング、意志決定、業務プロセス/ROIの評価 | アナリスト、データサイエンティスト、業務部門、管理者 |
| SAS Enterprise Guide | 高度な分析プロセスの設計が可能な分析ツール | 探索的データ解析、予測モデル開発、セグメンテーション | 分析者、統計家、データサイエンティスト |
| SAS Enterprise Miner | 大規模データマイニング、モデリングツール | ||
| SAS Text Analytics | 15言語対応のテキストマイニングツール | ||
| SAS Forecast Server | 統計分析に基づく時系列予測ツール | ||
| SAS Enterprise Model Management | 分析モデルの作成をはじめとするライフサイクル全体を効率化 | モデル検証、モデル配置、モデルモニタリング、データ準備 | システム担当者 |
ツールと合わせて業種別のノウハウを提供
SASは、ツールだけでなく、同社が長年の経験から得たノウハウを基にした方法論も合わせて提供する。業務/業種別の約200種類のベストプラクティス集「SAS Business Solutions」がそれだ(図2)。主要な業務/業種別に最適なデータモデルを用意し、すぐに活用できる形態で提供する。
「自動予測モデリング」で、もはやSAS言語は不要
これまで、SAS製品の活用はSAS専用のプログラム言語である「SAS言語」の習得が前提といわれ、「使いこなすハードルが高いのでは」というイメージがあった人も多いのではないか。SAS Analytics製品群は、モデルの自動生成機能を取り入れるなど、SAS言語の習得を問わず使いこなせるように配慮している。
例えば、SAS Enterprise Minerの自動予測モデリング機能「SAS Rapid Predictive Modeler」は、GUI画面でアイコンをつなげるだけでモデル生成を含めた分析プロセスを設計できる(画面2)。またSAS Enterprise Minerは、決定木やニューラルネットワークといった分析手法の中から最もパフォーマンスの高い手法を自動で選択する機能も持つ。「これまでは、マイニングの専門家やIT部門との協力が必要だった顧客ターゲティングやスコアリングといった分析作業が業務部門自身で可能になる」と、SAS ビジネス開発本部 Information Management & Analyticsグループ 担当部長の津田高治氏は説明する。
他社製品に対する特徴:同一のプラットフォーム上でメタデータを共有しシームレスに連携
SAS Analytics製品群の最大の特徴は、全ての製品が「SAS Metadata Model」を中心とする統一したメタデータ管理の仕組みを持ち、データやモデルを変換することなく製品間でやりとりできることだ。ある製品で作成したモデルを他の製品で利用する際に定義を書き直したり、データ処理のプログラムを変更したりする必要がない。
「全てが一元管理されシームレスにつながるような製品構成を、37年間目指してきた。その姿勢を体現するのが、メタデータ管理の統一化だ」。SASのビジネス開発本部 Information Management & Analyticsグループでマネージャーを務める小林 泉氏はこう話す。
大量データ処理を高速化するオプションが充実
もう1つの特徴は、ビッグデータともいわれる大量データを対象とした予測分析の高速化技術「SAS High-Performance Analytics」だ。
従来、モデルを作るには少量のデータをサンプリングするだけで十分だった。だが「最近は顧客の嗜好が細分化している上に変化が激しく複雑になっており、もはやサンプリングでは見つけるべき顧客像が見えなくなっている」(津田氏)。
とはいえ、全データを対象とした分析をした結果、従来の何倍も時間がかかってしまうのでは本末転倒だ。そこで、「全データを対象にしながら、従来よりも早く分析するための仕組みが必要になる」(津田氏)。
このSAS High-Performance Analyticsの主要技術の1つが、分析処理の一部をデータウェアハウス(DWH)アプライアンス側で行う技術「SAS In-Database」だ。SAS Analytics製品群とDWHアプライアンスとの間でやりとりするSQLクエリの数を減らし、DWHアプライアンス側のリソースを活用することで処理速度を高める。協業している米Teradataや米EMC(Greenplum)のDWHアプライアンスで動作する。
SAS In-Databaseは、データベース処理用の統計関数や分析関数をそろえた「SAS Analytics Accelerator」、SAS Enterprise Minerで作成した分析モデルのスコアリングを高速化する「SAS Scoring Accelerator」といったオプションに実装されている。
さらに高速化を求めるユーザーには「SAS In-Memory Analytics」を用意している。予測分析の処理に特化したインメモリ処理エンジンを中心としたオプション「SAS High-Performance Analytics Server」に実装されている。SAS High-Performance Analytics Serverは、分析対象のデータを専用ハードウェアのメモリ上に展開・処理することで高速処理を実現する。具体的には、TeradataやEMCのDWHアプライアンス、また一般的なIAサーバに導入するインメモリ処理モジュールを用意している。SASによるとリスク計算など高度な予測分析に向くという。
導入事例:「Ponta」のデータをマーケティング施策に生かす
業種/業態を問わず幅広く利用されているSAS Analytics製品群。その1社が、共通ポイントプログラム「Ponta(ポンタ)」を運営するロイヤリティ マーケティングだ。
ロイヤリティ マーケティングは、2010年3月のPonta開始に合わせて、加盟企業のポイント会員約2000万人のデータ分析基盤をSAS Enterprise Guideなどで構築した。会員の属性や購買行動を相関分析し、合同キャンペーンなど効果の出やすいマーケティング施策を加盟企業へ提案するとともに、購入金額や来店頻度といった軸で会員を段階評価するセグメンテーションなどにも活用している。
ある銀行では、分析処理に18時間を要していたが、SAS High-Performance Analyticsを活用することで12分にまで短縮することができたという。この銀行は、今までバッチ処理が夜間に終了しなかったため、日次の分析処理を諦めて週次で行っていた。分析処理時間を12分に短縮できたことで、「日次どころか、時間単位の処理が可能になった」という。
「この意義は大きい。同行は、今まで取引相手からの提案をいったんオフィスに持ち帰り、投資リスクを検討して1週間後に回答していた。リスクの計算が1時間以内に終了すれば、提案に対する投資の可否を商談中に決断できるようになる」(津田氏)
製品価格
SAS Analytics製品群の価格は、最小価格帯となる統計分析の包括的なツールセット「SAS Analytics Pro」の場合、300万円台から。SAS Analytics Proは、「SAS 9.3 Software」といった基盤ソフトウェアに加え、SAS Enterprise Guideを含む。
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