iWork for iCloudも発表
仕事で使う人こそ注目したい「iOS 7」の新機能
米Appleは主としてコンシューマーをターゲットにしており、エンタープライズ市場は重視されてこなかった。だが、iOS端末がモバイルの事実上の標準となった今日、企業向けの機能の必要性が高まっている。
米Appleは「Worldwide Developers Conference(WWDC)2013」において企業向けの新機能を幾つか発表し、企業のIT部門のニーズに応える姿勢を示した。
Appleのソリューションプロバイダーである米Tech Superpowersの創業者マイケル・オー氏は、「企業ユーザーをターゲットにした機能がそこかしこで紹介されていた。革新的な機能はなかったが、業務効率の改善に役立つ新機能が数多く見られた」と話す。
まず、AppleのモバイルOSである「iOS」では外観デザインが刷新され、ほとんどのアプリケーションの古臭いイメージ(カレンダーアプリの合成皮革調の外観など)が一掃された。
「古いデザインはビジネスユーザーをばかにしているような感じがする」とオー氏は指摘する。「それに比べると、『OS X Mavericks』と『iOS 7』のカレンダーは、ビジネスユーザーとコンシューマーの両方に好まれるデザインのように思える」
Appleのパートナーでソリューションプロバイダーの米Tekserveのケビン・ハートCEOによると、Appleはその他にも企業のIT部門のモバイル担当者に訴求する改良について言及したという。
詳細は不明だが、iOS 7には「アプリケーションの自動アップデート」「アプリケーションのマルチタスキング」「アプリケーション別のVPN」「エンタープライズシングルサインオン機能」「効率的なモバイルデバイス管理」といった機能が盛り込まれる見込みだ。
アプリケーションのライセンス管理機能も改善されるらしい。「Apple Configurator」を使用する現在の構成管理機能「Volume Purchase Program App」には制約があるが、今回のアップデートにより、現在は端末レベルで提供されているものと同様のアプリケーション管理APIが利用可能になる。
Appleのビデオ通話機能「FaceTime」をベースにしたVoIP(Voice over IP)通話機能「FaceTime Audio」も、海外に出張する従業員がローミングで高額の超過通話料金を発生させている企業にとって朗報だ(参考記事:比較で分かったGoogle「ハングアウト」のSkype、FaceTimeを超える機能)。
またセキュリティに関しても、iOS 7ではソフトウェア開発キットのアップデートにより、サードパーティーのアプリにデータ保護機能がデフォルトで組み込まれる。紛失や盗難の際に端末をワイプしても、所有者のiCloudアカウントの詳細を知っていればiPhoneを再アクティベートできてしまうのを防ぐ「Activation Lock」機能も追加される。さらに新iOSには、複数の端末間で同期化し、安全かつ独自のパスワードを生成するのに役立つ「iCloud Keychain」も組み込まれる。これは「1Password」や「LastPass」に似た機能だ。
Tekserveのハート氏によると、「新OSのメリットの多くは、アプリ構成管理ツールの機能セットに掛かっている」という。
「当社の顧客が特に苦労しているのがConfiguratorだ」と同氏は語る。「複数のiOSデバイスの設定と配備をもっと簡単にしてもらいたい。社内で開発したアプリケーションをこれらのデバイスに配信、設定するのも簡単にできるようにしてほしい」
Configuratorでは、iOSデバイスをUSB経由で「Mac OS X」搭載コンピュータに接続する必要がある。「無線対応の新しいアプリ構成管理機能ではデバイスをUSB接続する必要がなくなる可能性も少しある」とオー氏は語る。
「アプリ構成管理機能の目的が、ポリシーの管理、構成、設定およびConfiguratorによるアプリ単位でのプッシュ配信を可能にすることなのかどうかは現時点では不明だが、これが実現されれば、企業の不満の多くが緩和されることになる」とハート氏は語る。
「例えば、IT管理者は自動アップデート機能を歓迎するかもしれないが、会社所有の端末でどのアプリケーションにこの機能を許可するかをコントロールしたいとも思うだろう。また、自動アップデートはセキュリティ上の欠陥を素早く修正するけれども、バグが含まれるアップデートの場合には、きちんとテストをしないとアプリケーションの動作がおかしくなる恐れもある」(同氏)
WWDCでは、iOS 7の新しい外観や対応ハードウェアの拡充、「iTunes Radio」の発表など、コンシューマーが興味を示す話題にスポットライトが当てられたが、Appleは「iWorks for iCloud」も発表した。これは任意のデバイスでどこでも仕事をする必要がある従業員向けの製品で、「Office 365」や「Google Docs」などのオフィススイートに対抗するとみられる(参考記事:ついに登場したiOS版Office、Microsoftの真意は)。
iWork for iCloudの企業向けの機能としては、MacあるいはWindowsベースのPC上でWebブラウザから「Pages」「Numbers」「Keynote」のドキュメントの表示、作成、編集を可能にする機能がある。「Microsoft Office」(Word、Excel、PowerPoint)のドキュメントをアップロードして編集することもできる。これらのドキュメントをiCloudにアップロードすると、iOSデバイスと同期化され、各デバイス上で編集できる。
「このiCloud同期化機能を利用すれば、『Dropbox』などのファイル共有サービスが不要になるかもしれない」とオー氏は話す。現在、iCloudを通じてドキュメントを同期化すれば、モバイルデバイス上で編集可能な状態で表示されるようになっている。これは、「Google Drive」がストレージとドキュメント編集機能を兼ね備えているのと似ている。
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