Rackspaceのクラウド技術者確保策
技術者を鍛え上げる“クラウドブートキャンプ”の過激な中身
クラウドエンジニアやクラウド開発者の深刻な人材不足が問題となっている。これを背景に、米Rackspaceは独自の“クラウドブートキャンプ”を開設した。その取り組みとは?
米IDCが2012年に発表した米Microsoftからの委託調査の報告では、クラウドエンジニアやクラウド開発者の深刻な人材不足が浮き彫りになった。米TechTargetが最近発表した調査報告でも、この人材不足が大きな問題となっていることが確認されている。クラウドプロバイダーの43%が、クラウドを担当した経験があるエンジニアや開発者の確保を、最大の技術的課題として挙げているという。
こうしたクラウド人材の不足を背景に、米Rackspaceは独自の研修施設「Open Cloud Academy」を開設した。Rackspaceはどのようにして、求められるクラウドスキルを教育し、クラウド人材を生み出しているのか。同社の研修・人材開発担当ディレクターのドゥエイン・ラボム氏に話を聞いた。
――Rackspaceはクラウド人材探しに苦労していますか?
ドゥエイン・ラボム氏(以下、ラボム氏) はい、確かに。クラウド人材を見つけるのに苦労しているという点では、Rackspaceは米Googleや米Facebookをはじめ、クラウドベースの他の全ての企業と何ら変わらない。われわれは皆、四苦八苦している。
IDCが2012年に発表したMicrosoftからの委託調査の報告では、米国とカナダにおけるクラウド関連の未充足求人数は120万人とされていた。この数字は2013年には2倍以上に増える見通しだ。IT、特にクラウド技術の分野では、スキルの需給に大きなギャップがある。Rackspaceもこの問題に悩まされている。そこで今年(2013年)、われわれはOpen Cloud Academyという“ブートキャンプ”(※)を新設した。われわれの求めるスキルを持った人材がなかなか見つからないので、そうした人材を育成するためだ。
※ 新兵訓練所や新兵訓練プログラムを指す俗語
――Open Cloud Academyブートキャンプとは何ですか?
ラボム氏 Open Cloud Academyは、テキサス州サンアントニオの中心部にあり、講師によるクラウド研修を実施している。この施設の主な目的は、サンアントニオ在住者と退役軍人に、当社では“ラッカー”と呼ぶRackspaceの社員向けと同じ技術研修プログラムを提供することだ。
われわれはブートキャンプという言葉に「受講者グループが8週間のプログラムを一緒に始めて一緒に終了する」という意味を込めている。今実施中のプログラムは、Linuxシステム管理者を育成するものだ。1日8時間の講習があるが、数日はゲスト講師が来たり、就職説明会も行っている。
Open Cloud Academyで研修を提供することで、われわれは、業務に対応できるラッカー候補者を継続的に育成している。できるだけ多くの修了者を採用したいと考えている。実際、Rackspaceは各修了者に、就職面接の機会を保証している。修了者の少なくとも3分の1を採用する計画だ。別の3分の1は、われわれと同様の技術ニーズを持つサンアントニオの他の企業で即戦力になるだろう。残る3分の1は、起業家として(Open Cloud Academyとパートナーを組んでいる)Geekdomのメンバーになるだろう。彼らはそこで新しいスキルを生かし、クラウドベースのビジネスを立ち上げることができる。それらのビジネスは、Geekdomの枠組みの下で育ち、成長するはずだ。
――Open Cloud Academyではどのようなクラウドスキルを教えているのですか?
ラボム氏 Open Cloud Academyでは、Linux教育に力を入れている。これを最優先するのは、Linuxスキルに関して実に大きな需給ギャップがあるからだ。また、Linuxだけでなく、ネットワークセキュリティ、ファイアウォールセキュリティ、ソフトウェア開発の研修プログラムも提供している。さらに、クラウドコンピューティングで重要なプログラミング言語の教育にも重点を置いている。これらは、われわれが雇用主として、スキル保有者を見つけるのに苦労しているプログラミング言語でもあり、具体的にはPythonとRubyだ。われわれのソフトウェア開発研修プログラムでは、PythonとRubyが重点的に取り上げている。
――クラウドエンジニアや開発者は、どのようなスキルや資格を身に付けるべきですか?
ラボム氏 Rackspaceのクラウドエンジニアや開発者に関しては、クラウドを深く理解している人、つまり、クラウドにおける仮想化、ハイパーバイザー、API、継続的な統合、セキュリティに精通している人を探す。われわれが採用候補者に求めるのは、これらの分野のスキルだ。知識や理解が深いほど、彼らはRackspaceでより大きなチャンスを得ることになる。
人材を選んで採用した後には、彼らにOpenStackを教える。OpenStackはNASAとRackspaceが開発した技術だ。また、エンジニアと開発者には、Rackspaceのポートフォリオと製品に関する十分な知識と理解を身に付けさせる。市場と競合他社の製品についても教える。他社がやっていることも理解すれば、彼らの仕事にプラスになるからだ。
われわれのエンジニアと開発者にとって重要なことは、当社の顧客のためにソリューションを設計し、顧客の問題解決を支援できることであり、われわれはそれを彼らに教える。そうした顧客支援こそがRackspaceのビジネスであり、当社は献身的なサポートとともにそうした支援を提供することで知られている。
Rackspaceの技術者は、さまざまな技術に専門的に精通するだけでなく、強い顧客サービス志向を持たなければならない。それはわれわれにとって、技術スキルと同じくらい重要な意味を持つ。そのため、顧客サービス志向を自然と実践できる人を探すようにしている。
当社の技術者は、業界の標準的な知識を持つことも要求される。われわれはLinux技術者には、CompTIA Linux+か、Red Hat Certified System Administrator(RHCSA:Red Hat認定システム管理者)のいずれかの認定資格の取得を求める。Linux関連業務の担当者にはLinuxを熟知してほしいし、Windows関連業務の担当者にはWindowsを熟知してほしい。ネットワークセキュリティの担当者は、米Cisco Systemsあるいは米F5 Networksや米Brocade Communications Systemsの技術に関する基本知識の習得が求められる。もちろん、クラウドに関する理解も必要だ。
――Rackspaceはオンライン研修も実施していますか?
ラボム氏 現在、Rackspaceはオンラインクラウド研修プログラムとして、「CloudU」を運営している。これは一般向けに公開されている。このプログラムでは、興味がある人は誰でも、クラウドとその仕組みの基本を理解できる。Rackspaceの社員は全員、CloudUの修了を義務付けられている。
Open Cloud Academyに関して言えば、現在の受講者は、講習を受けに来なければならない。だがわれわれは、一部の講義をリモートで視聴できるようにする技術と方法を調査している。いずれは、受講者全員がサンアントニオに来る必要はなくなるだろう。
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