BYODに関する調査結果
スマートフォン利用“厳禁”企業が心配していること
スマートフォンなど私物端末の業務利用(BYOD)普及に伴い、セキュリティやコンプライアンス対策にも影響が出始めている。スマートフォンの業務利用を認める企業と、禁止する企業。それぞれの心配事とは。
従業員の私物スマートフォンの業務利用が増え続ける中、ガバナンス、リスク、コンプライアンスなどにもこのトレンドの影響が出始めている。米TechTargetが実施した最近の調査では、私物端末の業務利用(BYOD)とITのコンシューマー化にまつわる筆頭の懸念事項として回答者の96%が「セキュリティ」を挙げた。
この調査は米TechTargetが2013年4月24日の仮想カンファレンス「The State of Cyber Security 2013」で、ITプロフェッショナル773人を対象に実施された。調査の結果、セキュリティに次いで多かったのが「コンプライアンス」に関する懸念だった。
米下院の監査官テレサ・M・グラフェンスタイン氏は「われわれが追い続けなければならない動向がまた1つ増えた」と話す。「できるだけ多くの情報を共有するために使われるモバイル端末で、データセキュリティを保つのは難しい」と同氏は言い、「セキュリティ専門家としては、自分たちの情報をできるだけ厳格にコントロールしたいと思う。それが一層事態を複雑にしている」と指摘する。
同カンファレンスではグラフェンスタイン氏などの専門家が、新技術によってわれわれの働き方は変化し、大抵は良い方向に変わっていると指摘した。組織内でITのコンシューマー化を推進する主な理由として、調査回答者の41%は「従業員の生産性向上」を挙げている。
ただし、この小さなモバイル端末が膨大な機能を持っていることを忘れてはいけない。企業はモバイル端末のセキュリティリスクに対応するため、ビジネスプロセスの再構築や、セキュリティツールの導入を強いられる。
「われわれの仕事は、否定することではなく、経営陣や最高経営責任者(CEO)に対し、この技術を組織に持ち込むことに伴うリスクと見返りについて説明することだ」。カンファレンスで講演した米国立標準技術研究所(NIST)の上級コンピュータサイエンティストで情報セキュリティ研究員のロン・ロス氏はそう語った。
職場でのモバイル技術利用については説得力のある理屈も存在する。だが「ITセキュリティ担当幹部はどのようなモバイル端末セキュリティ管理ツールを導入するかについて、経営陣と話し合う必要がある」とロス氏は言う。例えば調査では、BYODプロジェクトのためにIT支出が最も増えそうな分野として、28%が「ネットワークセキュリティ」を挙げた。
ロス氏は「しっかり目を見開いて、『(こうした)新しい(モバイル端末)技術を使う場合、そのような端末に対しては、ノートPCやワークステーションに対して通常導入している管理機能のうち、どのような種類の管理を想定すべきなのか』と問い掛けなければならない」と話す。
モバイルセキュリティの複雑さ
モバイル端末のセキュリティ対策は、一般消費者が入手できる端末の数が多いという単純な理由のために、複雑さが増している。米調査会社J.Gold Associatesの創業者で首席アナリストのジャック・E・ゴールド氏は講演の中で、従業員が業務に使う機種やブランドは無数にあり、それぞれに異なるセキュリティ問題が潜在していると指摘した。
「従業員は職場での私物端末利用に際して必ずしも会社の情報を危険にさらしたいと思っているわけではなく、ただ、そうしないためにはどうしたらいいのかが分かっていないだけだ」とも同氏は言い添えた。
「消費者のほとんどは利便性に注目する。一般に、自分が何をやりたいか、いつやりたいかを中心に考え、大抵はリスクや良くない行為についての知識が欠落している」(ゴールド氏)
結果として、BYODポリシーと戦略を確立し、全従業員にはっきりと伝える必要が生じるという。調査回答者はこの助言に従っている様子で、68%は「現時点で私物端末の業務利用に関するポリシーがある」と答え、19%は「作成中」と回答した。
BYOD戦略とそれに伴うポリシーがなければ、情報流出の危険性は劇的に高まるとゴールド氏。「戦略の欠如は、モバイル性やモバイルインフラをコントロールできなくなったときに最大級のリスク要因になる」と警告する。
同氏によれば、組織が注視すべきは端末そのものではなく、アプリケーションのセキュリティ対策だという。「ユーザーが仕事用の設定でアプリストアからアプリをダウンロードすることを認める企業が増えている。これについては多くの制約を設けるべきだ。どの端末でどんなアプリを実行しているかということよりも、そのアプリがどんな機能を持ち、自分の使い方とセキュリティ環境にどう影響するかの方が重要だ」(ゴールド氏)
職場のモバイル化の傾向が強まっているにもかかわらず、スマートフォン利用に関する組織の立場について尋ねた質問では回答がまちまちだった。31%は「従業員の私物端末を社内で使うことは認めているが、IT部門では私物端末の利用をサポートしていない」と回答。「全従業員にスマートフォンの業務利用を認めていて、IT部門で積極的にサポートしている」という回答は17%にとどまった。
私物スマートフォンの業務利用は「厳禁」と答えた26%は、セキュリティ不安が理由と思われる。だがうまくやれば、ますます複雑になるモバイル環境も、ユーザーの需要を満たしながらコントロール下に置くことは可能だとゴールド氏は言う。
「新しいモバイル技術と新しいユーザーモデルは、新しい種類の管理方法を必要とする。前進する上で考えなければならないのはそのことだ」と同氏は話している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[LRM株式会社] 「標的型攻撃メール」事例・サンプル集 -
製品資料
[LRM株式会社] セキュリティ教育はなぜ「年間計画」を立てる必要があるのか? -
製品資料
[LRM株式会社] セキュリティの重要性が伝わらない…… 効果がない社員教育から脱却する方法 -
製品資料
[LRM株式会社] 「標的型攻撃メール訓練」導入ガイド 社員の意識を確実に高める仕組みの作り方 -
事例
[株式会社マクニカ] アイカ工業に学ぶ脆弱性対策 情シスが把握できずにいたアセットも正確に把握
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
2
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
3
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
4
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
5
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
6
エンジニアが選考を辞退する本当の理由 7割が隠す“面接の違和感”とは
-
7
Netflixのバックエンドは「ほぼJava」 3000超のアプリを支える開発基盤の裏側
-
8
AI基盤は本当に「オンプレ回帰」する? Broadcomの言い分と企業の本音
-
9
ISMSの“コンサル丸投げ”が招く数千万円の無駄 NTTドコモビジネスの脱出劇
-
10
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
7
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
8
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
9
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー