私物端末を業務で利用したいという従業員のニーズは拡大するばかりだ。IT部門は制限を掛けるのではなく、端末を適切に管理し、業務の効率性を向上させることを考える必要がある。
2013年初頭から企業のIT部門は、従業員によるBYOD(私物端末の業務利用)の拡大に直面することになる。厄介だが、最善の策は、エンタープライズモバイル戦略の一環としてそうした端末をサポートすることだ。
モバイル化の流れはとどまるところを知らない。いったん企業がその事実を受け入れ、対策に着手すれば「新しい端末はもはや問題にはならないはずだ」と業界観測筋は指摘する。
「現実から目を背けるのをやめて、現実を直視できるようになる」と語るのは、米データセキュリティ企業ImpervaのCEOを務めるシュローモ・クレイマー氏だ。「従業員は自分が使い慣れたツールを自分好みの端末で使いたがる。IT部門は、こうしたアプリケーションや端末の利用を制限することをやめるべきだ」と同氏。
家庭にも職場にも、かつてないほど急速な勢いでモバイル端末が普及しつつあることは数字でも裏付けられている。米IDCの推計では、2012年の年末商戦期に出荷されたタブレットは3億6200万台と、前年同期の6300万台から急増している。また米調査会社Forresterは、2013年には自宅で使われるメインの端末はタブレットになると予想している。
実際、米TechTargetが実施した「2013 IT Priority Survey」(2013年IT優先度調査)では、「2013年には個人所有のタブレットをサポートするつもりだ」と答えたITプロフェッショナルが全体の37%を占め、前年の34%、前々年の18%よりも増加している。また、回答者の54%は、「エンタープライズモバイル戦略の究極の目標は私物端末を会社のネットワークと統合したいというエンドユーザーの要望に応えることだ」と答えている。
IT部門が従業員の私物端末に備えるためには、モバイル端末の計画とポリシーを綿密に策定し、MDM(モバイルデバイス管理)ツールを採用するなど、幾つかの方法がある。
クレイマー氏によれば、IT部門がまずしなければならないのは、端末上のデータを最初から統制することだという。
「それが最優先事項だ。2012年は端末の管理が全てだった。そして年末にはデータやアプリケーションの他、インフラ接続のセキュリティを確保する方法へとテーマが移っていた」と同氏は語る。
Impervaは私物端末の業務利用を認めているが、モバイルポリシーはまだ策定中であり、MDM製品も使用していない。
同社は今のところ、オンプレミスのデータストアと従業員のモバイル端末間でデータ同期を安全に行うため、「WatchDox」を利用している。WatchDoxは、「Dropbox」の代替選択肢となるエンタープライズクラスのファイル送受信サービスだ。
「この問題に対処できたことで、他のことを考える時間を増やすことができた」とクレイマー氏は語っている。
鉱業を営む米Heclaは、業務の生産性向上のために私物端末をサポートしている。同社は数年前に、まずGood Technologiesのセキュアなメール製品を採用した。その後、AndroidやiOSの人気の高まりを受けて、モバイル対策をセキュアコンテナ方式(端末の中を個人領域と会社領域に分離する手法)へと進化させたという。
会社のネットワークに接続したい従業員は、自分の端末にGood Technologiesのモバイルアプリ「Good」をダウンロードし、自分の認証情報を使ってログインするだけでいい。
「モバイル対策にそれほどストレスを感じなくなっている。われわれはBlackBerryが登場する以前からモバイルに取り組んできた」とHeclaのITディレクター、マイケル・パットン氏は語る。
同氏によれば、Heclaはこれまで先進的にモバイル対策に取り組んできたおかげで、2012年に私物端末が職場に持ち込まれるようになっても、上手く対処することができたという。2013年も気をもまずに済みそうだとしている。
従業員が退職したり、端末が盗難にあったりした場合には、パットン氏は管理コンソールを経由して、その従業員の端末からGoodアプリをリモートワイプするだけで済む。端末上の個人的なデータには何ら影響は及ばない。
これほど簡単には進んでいない企業もあるだろう。だが、「従業員の私物端末をサポートするためには何をする必要があるか」を理解しているのであれば、2013年の滑り出しとしては上々だ。
仮想コラボレーションソリューションのプロバイダーである米Premiere Global Services(PGi)は、ネットワーキングインフラをアップグレードしたり、モバイルにも対応するSaaS(Software as a Service)アプリケーションを採用したりなどして、この1年間でモバイルをサポートするための土台を築いてきた。
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