1万円台前半では最高クラスの性能とはいえ
徹底レビュー:ずばぬけたコスパの「Amazon Fire HD 6」が万人受けしない理由
米Amazonの「Fire HD 6」は読書、友人との連絡、オンラインショッピングに使える手ごろな価格の小型タブレットを求めるユーザーをターゲットにしたデバイスだ。だが、決して万人向けとはいえない理由がある。
低価格帯タブレットのディスプレー品質は標準以下であることが多い。だが、米Amazonの「Amazon Fire HD 6」タブレットのディスプレーは1万1800円(8Gバイトモデル)という価格にもかかわらず美しい。
構造とデザイン
Fire HD 6のデザインは「持ち運びやすさ」と「1万円台前半の低価格」という2つの目標を実現することを第一に掲げている。どちらも負荷が高くない作業用のモバイルデバイスを求めるユーザーへの訴求を目指したものだ。
ファッション性を求めるユーザーへのアピールポイントとして、豊富なカラーバリエーションが用意されている。バリエーションがあるのは背面と側面のプラスチックカバー部分で、正面はどのカラーも黒だ。
画面のベゼルは上下左右いずれも細く、タブレットは片手で簡単に持つことができる。また、カバーに使用されているプラスチックは指紋が目立たない仕様になっている。
6インチのディスプレーは小型だが、290グラムという重量はそれほど軽くはない。10.4ミリという厚みも、このサイズのタブレットにしては分厚い。とは言うものの、Fire HD 6は数時間読書してもほとんど疲れない程度の重さだ。また、この重量感が頑丈な印象を与えている。
ディスプレー
Amazonはディスプレーがタブレットの最も重要な要素であることを認識している。そのため、Fire HD 6のディスプレーの品質については手を抜いていない。サイズは異なるものの、Fire HD 6のディスプレーの品質は多くの高価格モデルと同等だ。
解像度が1280×800ピクセルの6インチディスプレーは252ppiという非常に高い画素密度を実現している。そのため、フォントは滑らかに、動画や画像は鮮明に表示される。同じ価格帯の東芝「Encore Mini」(日本は未発売)のディスプレーより、はるかに表示が精細だ。
Fire HD 6のディスプレーはほとんどのスマートフォンよりも大きい。だが、ノートPCや他の低価格帯タブレットと比べると小さい。このサイズが持ち運びやすさと低価格を実現している。だが、Fire HD 6を使うときに老眼鏡が必要になる人もいるだろう。電子メールや電子書籍の文字サイズは簡単に拡大できるが、Webブラウザ「Amazon Silk」で表示したWebページでは文字が小さくなることがある。
6インチのディスプレーで動画を鑑賞することはできるが、快適ではない。映画やテレビ番組の内容を把握できるのは、60センチの範囲から見た場合に限られる。
Fire HD 6は、バックライトの明るさを最大にすれば直射日光の下でも使用できる。だが、バックライトの明るさを最大にするとバッテリーは消耗する。そのため、頻繁に屋外での読書に使用する小型デバイスを探している場合はAmazonが提供している専用の電子書籍リーダーを選ぶのが賢明だろう。
ボタンと端子
Fire HD 6の上部には、電源ボタン、ステレオジャック、マイク、充電とPCからファイルを読み込むときに使うMicro-USB端子がある。左側面には音量調節ボタンが配置されている。
Fire HD 6にmicroSDカードスロットは用意されていない。ユーザーには、Amazonのクラウドストレージサービスを使用することが求められている。Fireシリーズの全モデルは「Amazon Cloud Drive」に無料でアクセス可能だ。Fireタブレットで撮影した写真とAmazonで購入した書籍や映画などのコンテンツを無制限に保存できる他、任意のファイルを5Gバイトまで無料で保存できる。
Fire HD 6の処理能力が高くないのは事実だ。だが、読書やSNS、オンラインショッピング、カジュアルゲームなど、ユーザーが最もよく行うタスクには十分な能力を備えている。
これはベンチマークツールによって裏付けられている。ポーランドAurora Softworksの「Quadrant」アプリでFire HD 6を計測した平均スコアは6175だった。この値は、同じ価格帯の台湾E-Funの「Nextbook 8」のスコア(5240)には大差を付けているが、より高価な韓国Samsung Electronicsの「Galaxy Tab 4 7.0」のスコア(8465)には及ばない。
1万1800円のモデルには8Gバイトのストレージしか搭載されておらず、上述の通りmicroSDカードスロットはない。そのため、ユーザーはAmazon Cloud Driveを使わざるを得ないだろう。16Gバイトのモデルもあり、こちらの価格は1万3800円だ。
ソフトウェア
Fire HD 6に搭載されているOSは米Googleの「Android」だが、オリジナルのOSからかなり変更されている。とは言うものの、バックグラウンドの機能は他のAndroidタブレットとほぼ同じである。だが、ユーザーインタフェースは大幅に変更されており、AmazonはこのOSを「Fire OS」という名称で呼んでいる。
Fire OSが標準的なAndroidに勝っているのはシンプルさだ。その最たる例は、ホーム画面最大の特徴である「カルーセル」だろう。カルーセルには最近開いたアプリや電子書籍が大きいアイコンで表示されるので、簡単に見つけてもう一度開くことができる。その下にはユーザーが選択したアプリが表示される。この配置は、いつも決まったアプリを使うユーザーにとって便利だが、多数のアプリを頻繁に使用するユーザーにとってはAndroidの方が使いやすいだろう。
Amazonは独自のアプリストアを開設しており、Fire HD 6ユーザーはAmazonのアプリストアでアプリを購入することになる。Androidデバイス向けアプリストア「Google Play」ほどではないものの、Amazonのアプリストアにも各種カテゴリのアプリが豊富に用意されている。また、Fire HD 6には、Webや電子メールの閲覧、Officeドキュメントの編集など、一般的なタスクを行うためのアプリスイートがプリインストールされている。
Amazonで購入した電子書籍はFire OSのユーザーインタフェースに統合される。そのため、電子書籍リーダーを探しているAmazonファンにとってFire HD 6はとりわけ魅力的なタブレットになるだろう。その一方で、Amazon以外で購入したEPUB形式などの電子書籍の使い勝手はお世辞にも良いとはいえない。
電子書籍に加えて、Fire OSはAmazon Webサイトとも密接に統合されているため、いつでも手軽に各種商品を購入できる。Amazon製タブレットを使用するユーザーは将来AmazonのWebサイトで買い物をして長期的な収益をもたらす可能性が高いことをAmazonは認識している。そのため、Amazon製タブレットの購入を促そうとしているのだ。これが恐らくFire HD 6を超低価格で販売しているからくりだろう。
カメラ
これまでのFire HDの一部モデルとは異なり、Fire HD 6には前面カメラと背面カメラの両方が搭載されている。背面カメラの解像度は200万画素だ。特別優れているわけではないが、写真撮影や1080pの動画撮影には十分だ。通常の状況なら、このカメラで問題なく撮影できる。
前面カメラは米Microsoftの「Skype」ビデオ通話用に搭載されている。
Amazonは、Fire HD 6のカメラで撮影した全ての写真と動画を無制限に保存できる無料のオンラインストレージを提供している。全ての写真と動画はデフォルトでAmazon Cloud Driveに自動でアップロードされる。そのため、米Appleの「iCloud」と同じように、写真と動画は常にバックアップされ、他のデバイスで見ることができる。
バッテリー持続時間
Fire HD 6のバッテリーは、読書、メッセージのチェック、動画鑑賞などさまざまなタスクを行って8時間持続するとされている。米TechTargetがFire HD 6をテストしたところ、普通の使い方で3日間再充電が必要なかった。そのため、この公表値は妥当だと考えて問題ないだろう。
これが最大に近い持続時間だが、さまざまな方法を駆使して多少延ばすことは可能だ。具体的には、インターネット接続が不要なときにはWi-Fiをオフにする、バックライトの明るさを読書に必要な最低レベルに落とすなどの方法がある。
Fire HD 6は市場に出回っている1万円台前半の一般消費者向けタブレットのうち、最高クラスのタブレットの1つだ。最高のタブレットといっても差し支えないかもしれない。一部の競合タブレットとは異なり、美しいディスプレーとハードウェア/ソフトウェアの高いパフォーマンスを備えている。
たが、競合デバイスよりディスプレーは小さい。また、Amazonストアとの密接な統合やmicroSDカードが使えないことは、一部のユーザーにとってマイナスポイントになるだろう。
負荷の高くない作業に使うタブレットを探しているユーザーにとっては優れた選択肢になるだろう。
長所
- 低価格
- 美しいディスプレー
- 持ち運びやすい
短所
- Amazonストアとの密接な統合
- 小型のわりに重い
- microSDカードスロットがない
Fire HD 6は1万円台前半のタブレットの中で最高クラスのタブレットだ。だが、非常に小型でAmazonと密接に統合されているため、万人向けではない。
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