「AI」はセキュリティ担当者を救うのか【第2回】
機械学習が「セキュリティ人材不足」解消の“特効薬”になる?(1/2 ページ)
セキュリティ対策の中で困難なのが、セキュリティに精通した人材の確保だ。専門家の代替となる「セキュリティインテリジェンス」の仕組みと、その進化について解説する。
前回「セキュリティ対策を“対症療法”で済ませるのは、もう終わりにしよう」では、国内企業で構築の動きが活発化しているサイバーセキュリティ対策組織「CSIRT」「SOC」とその役割、企業が対処すべきサイバーリスクについて解説してきた。
CSIRT/SOCを機能させるには、質的にも量的にも一定の人的リソースが必要になる。だがセキュリティ人材が潤沢な企業はそれほど多くない。こうした中、CSIRT/SOCにおける運用負荷を軽減するためにはどうすればよいのか。今回は、その有力な解決策となり得る「セキュリティインテリジェンス」(スレットインテリジェンス、脅威インテリジェンスとも)について、最新の取り組みも含めて紹介していく。
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変化するセキュリティの“常識”
「セキュリティインテリジェンス」とは何か
そもそもセキュリティインテリジェンスとは何か。主要なIT調査会社であるGartnerとForrester Researchは、それぞれ以下のように定義している(両者ともセキュリティインテリジェンスを「スレットインテリジェンス」として定義)。どちらにしても脅威に対抗するための有用な知見、ただし過去の情報を基にしたものとなっている。
- Gartner:既知または未知の脅威に関する事実に基づく知見。前後関係、メカニズム、指針、影響、脅威に対する実施可能なアドバイスなど、脅威に必要な対処を可能にする情報を含む
- Forrester Research:内部および外部の脅威についての意図、目的、影響度の詳細。またこうした脅威に対する戦略、技術、対処方法を提供する
脅威には一般的に「標的型」と「マス型」(非標的型)があることはご存じだろう。標的型攻撃の場合、マルウェアやマルネット(マルウェア配信ネットワーク)などの攻撃手段には、標的企業ごとに一定の傾向がある。そのため、さまざまな企業から集めたセキュリティインテリジェンスではなく、自社で蓄積したセキュリティインテリジェンスを基にセキュリティ対策を取った方が効率的な場合がある。
一方で攻撃手法がマス型、もしくは攻撃に用いられるホスト(サーバ)や攻撃パターンが全くの想定外である場合は、セキュリティインテリジェンスに含まれる不正URLや不正ファイルなどのブラックリスト情報が、どれだけ「リアルタイム」な情報かが鍵となる。
最新かつ多角的なセキュリティインテリジェンスを世界中で共有するために、フォーマットの標準化が進んでいる。主要なフォーマットには「STIX」(Structured Threat Information eXpression、表)や「OpenIOC」などがある。こうした標準フォーマットに基づいたセキュリティインテリジェンスに含まれる知見は、世界のどこかで既に観察されたサイバー攻撃のソースや攻撃手法、目的、利用されたツール、マルウェア、その挙動、対応策など、脅威の全容を知るために非常に有用だ。
| 情報群の名称 | 概要 |
|---|---|
| サイバー攻撃活動(Campaigns) | サイバー攻撃活動の意図や攻撃活動の状態 |
| 攻撃者(Threat_Actors) | サイバーに関与する人や組織のタイプや動機、熟練度、意図 |
| 攻撃手口(TTPs) | 攻撃者の行動や手口 |
| 検知指標(Indicators) | サイバー攻撃を特徴付ける検知指標 |
| 観測事象(Observables) | サイバー攻撃で観測されたコンピュータやネットワークの動作に関する事象 |
| インシデント(Incidents) | インシデントの内容や関与者、被害内容 |
| 対処措置(Courses_Of_Action) | 脅威に対処するために取るべき措置 |
| 攻撃対象(Exploit_Targets) | サイバー攻撃の対象となり得るソフトウェアやシステムの弱点 |
標準フォーマットがあるとはいえ、企業がセキュリティインテリジェンスを自前で収集し、その鮮度を維持し続けるのは一筋縄にはいかない。社内CSIRT/SOCが無償/有償のセキュリティインテリジェンスを可能な限り幅広く収集し、そのブラックリストと合致する通信やファイルアクセスなどが社内にないかどうかを継続的に監視・分析する必要が出てくるからだ。こうした作業は当然ながら、社内CSIRT/SOCに相当の負担を強いることになる。セキュリティ専門家を十分に確保できない限り、実現は難しい。
運用負荷を最小化するためには、標準フォーマットに基づくセキュリティインテリジェンスを収集/活用可能なセキュリティ製品をうまく生かすとよい。STIXのWebサイト「STIX/TAXII Supporters List(Archive)」の「Products and Services(Archive)」には、STIXに対応したセキュリティ製品/サービス一覧が記載されている。例えばこの一覧にあるブルーコートシステムズのマルウェア分析製品「Malware Analysis Appliance」(MAA)は、検出・特定した未知マルウェアの情報をSTIXフォーマットで生成し、他のセキュリティ製品と共有できる。
こうしたセキュリティ製品を活用すれば、ファイアウォールや不正侵入防止システム(IPS)、エンドポイントセキュリティ、セキュリティ情報イベント管理(SIEM)など他のセキュリティ製品と連係させて、世界中で発生している既存の脅威の検知やブロックに活用したり、インシデントの兆候を得たりすることが可能になる。セキュリティ人材が限られる社内CSIRT/SOCにとって、業務負荷の軽減に役立つだろう。
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「AI」はセキュリティ担当者を救うのか
セキュリティ対策の課題解決に向けて、人工知能(AI)を活用する動きが活発化し始めた。そもそもなぜAIが必要なのか。セキュリティ対策にどう生かすのか。動向を整理する。
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