「WannaCry」の脅威にどう対抗?
ランサムウェア被害で浮上した「データはテープにバックアップして隔離」の重要性
ランサムウェア「WannaCry」は世界中の多くの企業や組織に混乱をもたらした。企業がランサムウェアの脅威に備え、業務の安全を確保するためには、確実なデータ保護対策を実践する必要がある。
ランサムウェア「WannaCry」による攻撃の余波が残る2017年5月中旬、仮想環境向けデータ保護ソフトウェアを提供するVeeam Softwareが開催したユーザーカンファレンス「VeeamON 2017」では、ランサムウェア対策が大いに注目を集めた。
カンファレンスに登壇した幹部らによれば、盤石なデータ保護対策こそがランサムウェア攻撃に対する一番の予防になるという。
「ランサムウェアの脅威から逃れるための唯一の方法はバックアップとリストアだ」。Veeam Softwareのテクニカル製品マーケティング担当ディレクターを務めるリック・バノーバー氏はそう語る。
バノーバー氏は、Veeam Softwareのアライアンス製品マーケティング担当上級マネジャーを務めるブライアン・マー氏とともにセッションに登壇し、ランサムウェア攻撃による被害を防ぐためのベストプラクティスについて説明した。
「ランサムウェア対策としてだけでなく、データ全般の保護に有効な対策だ」とマー氏は語る。
データ保護で留意すべきポイント
バノーバー氏は、ランサムウェアの時代に有効なデータ保護の手法として、次の「3-2-1-1-0ルール」を紹介した。
- データのコピーを「3つ」用意する
- 「2つ」の異なるメディアに保存する
- 「1つ」は離れた場所に保存する
- 「1つ」はオフラインに保存する
- バックアップの復元を検証してエラーを「0」にする
テープへのバックアップはもはや主流ではなく、問題点も幾つかある。だがバノーバー氏によれば、オフラインで保管するテープはランサムウェア対策の鍵になるという。
「今の時代、テープへのバックアップには極めて大きなメリットがある」と同氏は語る。
テープはエアギャップ環境を提供することで、攻撃者がデータにアクセスするのを防ぐことができる。エアギャップ環境とは、ネットワークやインターネットに接続しないことで、他のコンピュータから物理的に隔離されたシステムのことだ。
「そもそも外部から見つけることができなければ、ロックすることもできない」とマー氏は語る。
被害の実態
ランサムウェアは、感染先コンピュータのデータを暗号化し、復号鍵と引き換えに身代金の支払いを要求するマルウェアだ。多くの場合、メールの添付ファイルやWebサイトを介して感染する。支払い方法として最も一般的なのはビットコインだが、iTunesやAmazonのギフトカードを使う場合もある。
世界初のランサムウェアは1989年にフロッピーディスクを介して広まった。
「ランサムウェアは昔からある。だが昨今は高度化し、広がりをみせつつある」とバノーバー氏は語る。
長年にわたりランサムウェアの動向を調査しているマー氏によれば、IT業界が新たな対策を講じるたびに、攻撃者はそれを破る方法を見つけているという。
「今後もいたちごっこが続くだろう」とマー氏。
マー氏は、WannaCryの攻撃者を「過失致死罪に問うべき」との考えだ。WannaCryは病院にも影響を及ぼしたからだ。バノーバー氏によれば、Veeam Softwareにも1人、WannaCryの攻撃のせいで予約していた重要な診察を受けられなかった従業員がいたという。
セッションの中、バノーバー氏が聴衆に「これまでにランサムウェア攻撃を受けたことがあるか」と質問したところ、十数名が手を挙げた。続いて同氏は、Veeam Softwareが最近約1000人の顧客を対象に実施した調査の結果を一部紹介した。
- 回答者の約46%が過去2年間にランサムウェアの被害に遭っており、そのうち91%がデータを暗号化された
- 回答者のうち、身代金を支払ったことを認めたのはわずか2%。1万ドル以上を支払った回答者はそのうち1人だけだった
- 攻撃を受けた回答者のうち、84%は身代金を支払わずにデータを復旧できた
マー氏によれば、身代金を支払っても問題は終わりではない。身代金を支払ったからといって、データが復元される保証はないからだ。むしろ攻撃者は、身代金の要求に応じてくれるターゲットを見つけたことになり、再び攻撃を仕掛けてくる可能性がある。
Veeam Softwareの顧客であり、ブリティッシュコロンビア大学の上級システムマネジャーを務めるマリオ・アンガース氏は、自身が管理するプラットフォームのランサムウェア対策に自信を持っており、攻撃の可能性については懸念していないという。
「必要なパッチは当てている。ランサムウェア攻撃に遭ったとしても、リモートサイトから問題なくリストアできる」と同氏は語る。
Veeam Softwareの共同創業者であるラトミール・チマシェフ氏も、バノーバー氏やマー氏と同様、先を見越した予防措置の重要性を強調する。
「ランサムウェア対策として最善なのは、確実なバックアップを取ることだ」(チマシェフ氏)
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