世界のフラット化で躍進したインド――人件費の上昇で成長にブレーキがかかると言われているが、インドのエンジニアと契約するコスト上のメリットはまだあと5年間は続くとアナリストは見ている。
最近は、「人件費の上昇により、今後、インドの大手サービスプロバイダー各社の猛烈な成長にブレーキがかかる」ということが盛んに言われているが、一部のアナリストは、インドは今後もアプリケーションサービスの好ましい提供拠点として選ばれ続けるだろう、と指摘している。そして、そうした人気は単にコスト面でのメリットによるものではないという。インドの大手IT企業がクライアントとサービスプロバイダー間の取引規定に変化をもたらしたことで、オンショアのグローバルプロバイダー各社はいま、そうした変化への適応に苦戦している。
人件費上昇の影響で、インドはITサービスのオフショア開発拠点としての魅力を失いつつある、という指摘は、ほぼ半年ごとに新聞や雑誌の見出しを賑わしている。
最近では、今年7月に、インドの大手アウトソーシング企業2社、ウィプロとサティアム・コンピュータ・サービスが9月末締め四半期決算では人件費上昇のあおりで利益幅が下がるとの見通しを示し、波紋を呼んだ。そして、このニュースを受けて、両社の株価は下落した。
実際、インドのIT従業員の給料は平均で年間12%上昇している。IBMやエレクトロニック・データ・システムズなど、米国の大手企業がインドでの事業を拡大するなか、一部のアナリストや競合他社は、人件費は今後も高まる一方であり、インドの大手ITプロバイダーは自らの成功の犠牲者となるだろう、と指摘している。
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