利害関係者に熱意がなかったり、問題提起しにくい雰囲気だったり――プロジェクト失敗の要因はコミュニケーションで除去できる。
「効果的にコミュニケーションを図ることが、プロジェクト管理を成功させるための重要なポイントとなる」というのは、特に秘密にされていることではない。プロジェクト管理を成功させるための基盤を形成するコミュニケーションのベストプラクティスとして、4つのポイントを紹介しよう。
利害関係者に熱意がないために、必要条件が的確に定められず、その結果、プロジェクトが失敗に終わってしまうケースは少なくない。こうした利害関係者の関心を喚起するための方法として、成果が実証されている2段階の手法を紹介しよう。この手法では、利害関係者は皆、そのプロジェクト以外の業務で主要な責任を担っているものと想定する。
まず、「スタッフが各自の主要業務から離れなければならない時間がどの程度になるか」「変更の度合い」「変更を吸収する能力」「変更のタイミング」という4つの項目について調べることで、新規プロジェクトがもたらすであろうストレスの度合いを測定する。次に、そのストレスを管理するための具体的な方策、タスク、リソースをプロジェクト計画に組み込む。これら2つの段階を経なければ、利害関係者による積極的な関与は見込めず、プロジェクトも失敗に終わることになるだろう。
プロジェクトマネジャーは、プロジェクトというものは変化をもたらすものであり、そうした変化は必ずしも歓迎されるものではない、という点を十分に理解しておく必要がある。移行によってメリットを享受するグループがある一方で、リソースや権限の喪失に直面するグループもあるだろう。プロジェクトマネジャーは、関係者と協力し、マイナス要素を最小限に抑え、プラス要素を際立たせるための計画を導入し、できる限り痛みを伴わない移行にすべきだ(自分が注目を集めているという意識が生産性を向上させるという、“ホーソン効果”と呼ばれる心理的効果も期待できる)。相手に対する心からの関心や懸念を示せば、プロジェクトの関係者も大半が積極的に反応してくれるだろう。
多くのITマネジャーが指摘することとして、プロジェクトの状況について知らされるタイミングが遅すぎて、もはや修復の選択肢がほとんどなくなってしまっていることが多い、という点がある。タイムリーなコミュニケーションが図られない環境では、責任の押し付け合いという事態に至る場合が多い。その結果、信頼関係は欠落し、問題を報告した人が責められるような雰囲気になってしまう。
そうした環境では、人は良くないニュースを隠すようになるものだ。プロジェクトの状況報告における透明性を実現するためには、プロジェクトマネジャーはプロジェクトの「バイタルサイン」を見守り、状況を周囲に伝えなければならない。
わたしの経験からすれば、プロジェクトの開始時には、何か新しいことを始めるという興奮から、コミュニケーションもにわかに活気付くものだ。チームのメンバーは何度もミーティングを開いたり、標語を張り出してみたりする。だが、ほどなくして、あまりの忙しさに、ミーティングに参加したりタスクの達成を祝ったりできなくなる。やがて、プロジェクトに倦怠が広がる。次に活動が活発化するのは、プロジェクトの導入時だ。エンドユーザーには新規プロジェクトについて、わずか数日前にならなければ通知されないため、大混乱が生じるのが常だ。
だが、やり手のプロジェクトマネジャーであれば、これとは異なるルートをたどる。彼らは、総括的なコミュニケーションプランを早期の段階で準備し、利害関係者には適切な間隔をおいて情報を伝達し、関心を持続させるための取り組みを共同で進める。なお、コミュニケーションプランには、関係者1人1人が、言われたままに動くのではなく提案できるよう、簡単なフィードバックシステムを組み込む必要がある。
「こうしたコミュニケーションプラクティスは認識されていないわけではないが、それが実際にITガバナンス手法に組み込まれることは滅多にない」と指摘するITマネジャーもいる。CIOはこうしたガイドラインについて同僚と議論し、それをプロジェクト管理プロセスの不可欠な要素とすべきだ。その次のステップは、こうした重要なスキルについて、プロジェクトマネジャーをきちんと訓練すること、そして主要な利害関係者をきちんと教育することだ。
本稿筆者のゴパール・K・カプール氏はカリフォルニア州サンラモンを拠点とするプロジェクトマネジメントセンターの所長。著書に「Project Management for Information, Technology, Business and Certification」がある。
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