Column
インドのベテラン庭師が教えるプロジェクト管理のコツ
土壌を調べ、適量の肥料と水をやり、こまめに間引きと刈り込みを行う――腕のいい庭師の知恵は、そのままプロジェクトマネジメントに生かせる。
わたしの両親はインドに住んでいて、広大な庭を40年間維持している。最近帰省した折に両親のなじみの庭師に、たくさんの花や果物、野菜をどうやって育てているのか尋ねてみた。分かったのは、腕のいい庭師たちの昔からの知恵が、プロジェクトマネジャーの参考になるということだ。
庭師は作付けの季節ごとに、土地の土壌が栽培予定の作物に合っているかどうかを調べ、時々農業の専門家に土壌のサンプルの分析を頼み、どんな栄養を与えれば土壌が最高の状態になるかを教えてもらっている。
プロジェクトマネジャーはチームメンバーの能力評価を行ってその強みと弱みを把握し、そして適切な教育と指導を行わなければならない。これらはパフォーマンスの高いチームを作るのに必要な「栄養」なのだ。――プロジェクトマネジメントの権威がプロジェクト成功の秘けつを語った。
わたしの両親はインドに住んでいて、広大な庭を40年間維持している。最近帰省した折に両親のなじみの庭師に、たくさんの花や果物、野菜をどうやって育てているのか尋ねてみた。分かったのは、腕のいい庭師たちの昔からの知恵が、プロジェクトマネジャーの参考になるということだ。
この庭師は作付けの季節ごとに、土地の土壌が栽培予定の作物に合っているかどうかを調べている。また、時々農業の専門家に土壌のサンプルの分析を頼み、どんな栄養を与えれば土壌が最高の状態になるかを教えてもらっている。これが庭を豊かにする秘けつの1つだと彼は断言した。
同じように、プロジェクトマネジャーはチームメンバーの能力評価を行い、その強みと弱みを把握しなければならない。次に行わなければならないのは、適切な教育と指導だ。これらはパフォーマンスの高いチームを作るのに必要な「栄養」なのだ。作物を育てるために庭師は肥料と水をやるが、プロジェクトマネジャーにとっては、褒めることと励ますことがそれに当たる。栄養を与え続けないと、プロジェクトチームの活気は落ちてしまう。
独り善がりは禁物
庭師と話す中でわたしはこんな質問もした。「植えるものは誰が決めるんですか」「あなたのお母さんだよ」と彼は答えた。「彼女はどの野菜が庭でよく育つか、どの野菜は市場で買った方がいいかを知っているんだ」。そして彼は笑って付け加えた。「レタスの大失敗の話をお母さんに聞いてみたら」
聞いてみると、昨年庭師が庭のほとんど半分にレタスを植えてしまってから、母は細かく注文をつけるようになったという。レタスの種はわたしがインドに持ち帰ったもので、庭師はアメリカからの最新の輸入作物で友人たちを感心させようとしたわけだ。だが、レタスはインド料理には使われないため、庭の飾りにしかならなかった。
IT部門も似たような過ちを犯すことがある。エンドユーザーを意思決定プロセスの蚊帳の外に置いて、自分たちの興味や関心のあるプロジェクトを独断で実行に移してしまうことだ。そんなプロジェクトは誰も求めていない。例えば、わたしはある会社で実施されているプロジェクトについて最近調査を行ったが、進行中の73件のプロジェクトのうち17件は企業戦略と結び付いていなかった。そのサンクコスト(回収できない費用)は400万ドルを超えていた。ここから得られる教訓は、どのようなプロジェクトが実施されるかについて、経営陣が目を光らせる必要があるということだ。さもないと不毛なプロジェクトが後を絶たない。
また、作物の種類によって必要な日光、水、肥料の量はさまざまだ。多過ぎても、少な過ぎても、またタイミングが悪くても、作物はだめになってしまう。同様に、優れたプロジェクトマネジャーは、チームメンバーごとにさまざまなレベルの監督や指導が必要なことを知っている。だが、個人別の能力開発計画が用意されている例はめったに見掛けない。従業員は大抵、個人に応じた内容ではなく、パッケージ化された一律のトレーニングを受けている。一般的なプロジェクトチームのトレーニングを庭師が実践する栽培方法と比べると、ほとんどのチームメンバーは栄養が足りないということになる。
間引きと刈り込み
庭師から学べるもう1つの教訓は、間引きと刈り込みをまめに行うということだ。そうしないと、草や枝葉が生い茂り過ぎて作物が不作になってしまう。同じように、プロジェクト・ポートフォリオを常に管理し、うまくいっていないプロジェクトについては、状況に応じてすぐに打ち切るか縮小する必要がある。
最後に、いつ収穫すべきかを見極めなければならない。準備が整う前に、十分なテストや明確な文書化が行われないままプロジェクトが実施されると、有害無益になってしまう。プロジェクトをしっかり育て、細心の注意を払い、あらゆる雑草と花に目を行き届かせれば、大豊作も期待できるだろう。
本稿筆者のゴパル・K・カプール氏は、センターフォープロジェクトマネジメントの社長を務めており、「Project Management for Information, Technology, Business and Certification」(Prentice Hall)の著者でもある。
(この記事は2006年1月22日に掲載されたものを翻訳しました。)
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