セルフサービスアプリケーションの導入は経費削減につながりはするが、簡単で優れたものでなければ顧客に受け入れられないということを、企業はもっと認識するべきだ。
Webと音声自動応答(IVR)をベースとしたセルフサービスアプリケーションの基盤技術は過去10年で劇的に進歩した。人の心をつかむ魅力があって役に立ち、直感的に操作できると顧客に感じてもらえるセルフサービス環境を提供している企業もある。オペレーターとやりとりするよりも自動化されたセルフサービスの方を使いたいという顧客の割合が増えていることを、こうした企業は実感しつつある。しかし残念ながら、セルフサービスアプリケーションは簡単で優れたものである場合にのみ顧客に使ってもらえる、ということを理解していない企業があまりに多い。
私は20年以上前からこの質問を聞かされてきた。私が初めてIVRシステムを導入したのは20年前、クレジットカードのカスタマーサービスセンターを運営していた時だった。経営陣は私に、いつになったら電話が来なくなって、オペレーターの解雇に着手できるのかと尋ねたものだ。その後1997年ごろ、インターネットベースの顧客サービスが初めて脚光を浴び、同じ問い掛けを耳にするようになった。ガートナーのCRM業務担当副社長兼リサーチディレクターだった私に、顧客は頻繁に電話をかけてきて、いつになったらWebベースのセルフサービスでオペレーターが必要なくなるのかと尋ねた。電話でこの質問をしてきたというのがポイントだ。
IVRの導入から20年以上、そして商用Webサイトの登場から10年以上たっても、オペレーターはいまだに健在だ。しかしセルフサービスで会社が経費を削減できるのは確かだ。どの程度削減できるかは、セルフサービスアプリケーションの設計と実装がどれだけ優れているかで決まる。
下手なセルフサービスシステムでは顧客はイライラが募るばかりで、企業がどうして適切に対処しようとしないのかを理解できない。優れた設計・実装のセルフサービスアプリケーションがもたらす潜在的メリットを考えれば、満足してもらえるアプリケーションのために必要な労力とリソースを割くことなくセルフサービスを提供するのは非生産的だ。
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