XML DEVELOPER
XML 2.0は今どうなっているのか
XML 2.0が早期にW3C勧告となることはないだろうが、XML 2.0と関連トピックに関する議論や批判は、じきによく耳にするようになるだろう。
ある規格がその策定団体の正式な承認プロセスをクリアすると、すぐにその派生規格やアドオン、あるいは後継バージョンが登場するような気がする。わたしはついこう思ってしまう。これは、規格や技術の開発者が、暇にならないようにせっせと仕事を作っているからであり、そしてまた、技術が進歩する中で、実装がますます新しい、より良いものになるだけでなく、多くの場合、ますます複雑になってしまうという避けられない流れの表れでもあると。
XML 1.0と1.1の後継仕様、つまりXML 2.0の動向を見てみると、技術進歩の功罪をめぐるこうした皮肉な感想が浮かぶ。まず、バージョン1.0と1.1に反映されているXMLの目的を振り返っておくと、それは混沌から秩序を作り出し、標準的な構文と構造の使用を強制し(そのおかげで、このマークアップ言語は意図されたとおり、人間にとってもマシンにとっても可読性が高い)、情報やサービス、コンテンツのあらゆる作成者と利用者の間でのデータ交換を容易にするメカニズムを促進することにあった。
2002年にW3Cのテクニカルアーキテクチャグループは、XML 2.0のあり方と将来像の検討を始めた。実際、XMLのビジョンをリードする開発者で、XML 1.0仕様の作成で主要な役割を果たしたティム・ブレイ氏は、XML 2.0の策定に着手し、そのプロトタイプ版の基本的な特徴を次のように説明した。
- XML 1.0の基本的な構文と構造を踏襲する
- SGMLから受け継いだメタ言語――具体的には、DTD(文書型定義)――をサポートせず、XMLベースのメタ言語(XML SchemaやRELAX NGなど)に依存する
- XML名前空間やXML BaseおよびXML Infoset仕様を新たに使用する
こうしたXML 2.0のプロトタイプ版の根底にある理念は、XML 1.0/1.1とほとんど同じものであり、その柱は、シンプルさの追求(データ形式をXMLに極力統一する)と、マークアップの要素、属性、値の一貫した使用だ。
だが、XML規格に関するさまざまな取り組みが進められており、XMLを利用したアプリケーションやマークアップ言語(注釈から動物学文献まで多種多様な対象を記述するための)の開発も盛んに行われているが、XMLはまだ、Webに大きな直接的インパクトは与えていない。このことは、コンテンツをXML形式で(.xmlという拡張子を持つドキュメントとして)直接発行するサイトの数に如実に現れている。ほとんどのサイトは、コンテンツ管理システムやデータベース、あるいは発行エンジンを持つそのほかのドキュメントリポジトリにXMLデータを保存し、XSLTなどの技術でHTMLに変換してWebで提供する傾向がある。
では、こうした中でXML 2.0の現状はどうなっているのだろうか。XMLコアワーキンググループ(XMLの正式仕様とその開発、保守に責任を持つW3Cアーキテクチャドメイン内の部会)の公開ページをざっと見ても、XML 2.0への言及はなく、XMLの活動紹介のページでも同様だ。W3CサイトでXML 2.0を検索しても、ティム・ブレイ氏が、XML 2.0がどんなものになるかについて、自身の見解を詳しく説明した2002年のカンファレンスの記録以外には、ほとんど言及が見当たらない。
XML 2.0は、策定作業が停滞してしまった、あるいはお蔵入りになってしまったということだろうか。必ずしもそうではない。XMLの第一人者のマイカ・ドゥビンコ氏は、『Is XML 2.0 Under Development?』という興味深い記事で、マークアップの権威であるティム・バーナーズ―リー氏がかかわっている取り組みを引き合いに出している。この取り組みは、従来のHTMLとXMLの溝を橋渡しすることを目指しているとみられるという。ドゥビンコ氏は、XMLを革新する試みが既に進んでいるのではないかと考察している。同氏の考察によれば、この試みは、モバイルデバイス用に作成されたさまざまなXHTMLモジュールが、そのユーザーコミュニティーに果たしてきたような貢献を、一般のWebサイトとページにもたらす可能性がある。XHTMLモジュールの貢献とは、XMLの機能を利用して、ユーザーがオンライン体験を最大限に享受できるようにする、シンプルで一貫した実用的なマークアップモデルを提供してきたことだ。つまり、ドゥビンコ氏は、XMLを革新する試みが、モバイルデバイスの利用者以外のWebユーザーにこうしたメリットをもたらそうとしているとみている。ただし、同氏は一定の留保を付けている。その主な理由は、HTMLのアップデートや合理化が、狭い視点から進められた場合には、思いがけない便利な使い方や技術革新が生まれる余地は、よりオープンなアプローチが取られた場合と比べて少なくなる恐れがあるからだ。
しかし、Web仕様の標準化プロセスは、活発な意見交換をベースにしており、そこでは突飛なアイデアも検討され、時には波乱もある。現在行われている取り組みが発展性に乏しいものだとしても、この標準化プロセスは、一般の意見と参加を十分に受け入れる余地を持っている。承認に至るまでの過程で、対象技術がオープンに検討され、さらに、幅広い応用に向けて合理的な見直しが行われる機会が必ず豊富にあるだろう。このため、XML 2.0の内容や機能、ましてや将来像は、まだほとんど流動的であり、非常に漠然としているが、さまざまなドラフト仕様がリリースされ、公の場で議論が行われるようになれば、もろもろの不明点はすぐに解消されていくだろう。わたしは、XML 2.0が早期にW3C勧告となることはないと思う。2~3年後でもまだ無理そうだ。しかし、XML 2.0と関連トピックに関する議論や批判は、じきによく耳にするようになるだろう。2007年が終わりに近づく前にそうなるのは確実だ。
本稿筆者のエド・ティテル氏はライターと講師を兼業しており、XMLと開発のほか、IT資格や情報セキュリティなどのテーマに関心を持っている。XMLに関する仕事を多数手掛けており、著書としては「XML For Dummies, 4th edition」(Wiley Publishing、2005)や「Schaum's Easy Outline of XML」(McGraw-Hill、2004)などがある。
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