RubyおよびRuby on Railsの普及を促進するために3社が提携することを発表。「3rdRail 1.1 日本語版」の発売も開始された。
5月22日、CodeGear、オープンソース・ジャパン(OSJ)、ネットワーク応用通信研究所(NaCL)は、RubyおよびRuby on Railsの普及を目的として業務提携すると発表した。同時にボーランドは、RubyおよびRuby on Rails向け統合開発環境(IDE)「3rdRail 1.1 日本語版」の発売を開始した。
記者会見では、3社の代表者に加えてRuby開発者であるまつもとゆきひろ氏も出席し、Rubyが国内外で注目され始めた理由はその高い生産性にあると語った。「例えば、ブログシステムをデータベース設計から始めても、機能実装含め15分程度で完了する」(まつもと氏)。まつもと氏はRubyの国内での普及に関して、「米国で爆発的人気を得たRubyは現在、日本でも逆輸入の形で徐々に認知度が上がり、エンタープライズで使用される例が増えてきた」と述べ、Rubyを活用して「省コスト・短納期・少数精鋭」による開発を可能にすることが、企業の利用メリットになるとした。
CodeGearは米ボーランドソフトウェアの開発ツール部門であり、日本ではボーランドのCodeGear事業本部として活動している。5月7日に米エンバカデロ・テクノロジーズによる買収を発表し、現在合併に向けて移行計画を策定中。今後、3rdRailを開発してきたテクノロジーを生かし、Ruby普及のために活動していく。3rdRailはRuby開発初心者からプロフェッショナルまで幅広く対応しているのが特徴のIDEだ。同製品を活用することで、開発メンバー間のスキルレベルにばらつきがあってもWebアプリケーション開発における生産性および品質を高く保てるとしている。
OSJは2002年12月に設立され、さまざまなオープンソース技術の活用支援を行ってきた。オープンソース関連製品の販売やプロモーション活動、コンサルティング/教育/保守/運用支援、システムインテグレーションなどで培ったノウハウを生かし、3rdRailの販売を中心にRuby普及に尽力していく。また、従来NaCLと業務提携して提供していたRuby対応IDE「Rails Platform」については新規販売を終了し、3rdRailの販売に集中するという。ほか、メールサポートやトレーニング、チーム開発環境構築支援など技術サポートも行っていく。同社代表取締役の角田好志氏は、「システムインテグレーターとの協業も視野に入れ、エンタープライズでのRubyおよびRuby on Rails利用を促進していきたい」と述べた。
NaCLは本社を島根県に置き、まつもと氏がフェローとして在籍している企業。オープンソースソフトウェアを活用したソリューションの提供を主な業務とし、これまでに島根県のCMS(Content Management System)や@niftyのプロフィールサービス「アバウトミーβ」など、RubyおよびRuby on RailsによるWebアプリケーション開発で多くの実績を築き上げてきた。今回の提携に当たって、NaCLではRails Platformの開発で得た技術や経験を活用し、CodeGearと協力してより優れた開発環境を提供していくという。さらに、OSJの企業向け技術サポートと併せて教育プログラムを開催していく予定だ。
RubyおよびRuby on Railsについて、CodeGearは製品、OSJはソリューション、NaCLはテクノロジーでそれぞれ実績およびノウハウを持っている。それらの経験を生かし、RubyおよびRuby on Rails普及のために今回の3社による業務提携が成立した。
ボーランド CodeGear事業本部長 八重樫行雄氏は、「企業においてRubyおよびRuby on Railsの採用を促進するため、ツール、サービス、テクノロジーという3方向からハードルを下げる支援を行っていく」と話し、「日本と米国のビジネスモデルは異なる。日本のビジネスモデルに合わせることで、RubyおよびRuby on Railsを米国と同様に普及させていきたい」と意気込みを語った。
またボーランドは同日、3rdRail 1.1 日本語版の発売を正式発表、発売を開始した。3rdRail 1.1 日本語版の標準価格は5万400円(税込み)。出荷時期は2008年6月上旬を予定している。価格にはライセンス料とメンテナンス料が含まれているが、メンテナンスのみ1年ごとに契約を更新する必要がある。アップデートが必要ない場合追加料金は発生しない。
今回の業務提携により、OSJによるメールサポートが標準で提供される。インストールの手順や製品操作など分からない点や問題が発生した場合、サポートを無料で行う。ただし、このサポートも1年ごとに更新料が掛かる。 オプションとして、NaClによるトレーニングやチーム開発環境構築支援、Railsによるインテグレーションといった付加価値サービスも提供される。
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