Web2.0時代、Webアプリケーションのエクスペリエンスの所有権はブラウザ内に分散配備されるようになった。ソフトウェア開発/テスト戦略もそれに合わせて刷新しなければならない。
Web2.0は、ソーシャルネットワーキングの普及、草の根的なコンテンツ作成、広範囲にまたがるコラボレーションなど、数々の素晴らしい可能性を秘めている。技術面から見れば、Web2.0は高速なデスクトップの驚異的なパフォーマンスを生かして、インターネットの豊富な機能を利用することを可能にする。Google Mapsはその好例だ。自宅の近所、自分の住んでいる都市や州、あるいは国全体の衛星地図を意のままに「高速ドラッグ」することができるのだ。これは、Ajaxがユーザーの操作を予測し、ひそかにサーバの呼び出しを行っているからだ。
しかし企業がこうした素晴らしいエクスペリエンスを提供しようとすると、Webエクスペリエンスに対するコントロールを失ってしまう恐れがある。2000年代初頭は、企業のIT部門がWebサイトのエクスペリエンスを所有し、そのインフラ、プレゼンテーションロジック、ビジネスロジックおよびデータ層を完全にコントロールしていた。今日、エクスペリエンスの所有権はブラウザ内に分散配備されるようになった。Web2.0時代には、アプリケーションの壊れ方は何百万通りも存在するのだ。
数年前はもっと単純な時代だった。大多数のWebユーザーがWindows上でInternet Explorer(IE)を使っていたからだ。この単一のプラットフォームでは、アプリケーションが稼働したときに想定外の事態が発生することはあまりなかった。開発者はユーザーと同じプラットフォームを使っていたため、開発段階で問題を洗い出すことができたのである。しかし信頼性、外観、パフォーマンスの各要素を総合したWebエクスペリエンスは貧弱だった(とはいえ最初の試みとしては上出来だった)。筆者は何でも採点するのが好きなので、以前と現在のWebエクスペリエンスの成績を付けてみた。
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