既存の無線LANに専用装置を追加する形で端末の位置検知やセキュリティ管理の機能を提供するワイヤレスソリューションを7月にリリースする。
シスコシステムズは5月29日、無線LAN統合プラットフォーム「Cisco 3300シリーズモビリティサービスエンジン」(以下、MSE)を発表した。同社のモバイル構想「Cisco Mobility」に基づくもので、携帯端末やセキュリティ、ローミングを一元管理できるようにする。7月にリリースする予定。
MSEは、企業の無線LAN環境を利用して各種の付加価値サービスをホスティングするアプライアンス型の装置。既存の無線LAN環境に追加してほかのネットワーク機器などと連携させる形で利用し、さまざまなソフトウェアを搭載することでワイヤレスネットワークを強化することができる。ソフトウェアの第一弾として、以下の4製品が提供される。
(1)「Context-Aware Software」
(2)「Mobile Intelligent Roaming」
(3)「Secure Client Manager」
(4)「Adaptive Wireless Intrusion Prevention System」
まず(1)は、モバイル端末やRFIDタグ、センサーなどから詳細なステータス情報を収集する。位置情報のほか、気温、機器の稼働状況、商品在庫といったコンテクスト情報を取り込み、アプリケーションで共有することが可能。例えば病院では、医療機器がどこで使われているか、今それを扱える医療スタッフは誰かなど、周囲のリソース状況まで把握できるという。
(2)は無線LAN搭載携帯電話のWi-Fi網、携帯電話網間のローミングをシームレスに行えるようにするもの。社外では携帯電話、社内ではIP対応の内線電話として活用する場合のネットワーク切り替えを支援する。
(3)はモバイル端末の認証管理やセキュリティ管理を一元化するツール。また(4)は、無線LAN環境にIPS(不正侵入防御)の機能を追加するもので、不正なアクセスポイントの設置や端末の不審な振る舞いを監視し、不正なトラフィックをブロックするとともに、脆弱性の分析や攻撃を受けた際のネットワークの自己修復などを行う。
各製品のリリース予定は、(1)が7月、(2)と(4)が第4四半期中、(3)が第1四半期中となっている。MSEおよび4つのソフトウェアの価格は未定。なお、MSEを制御する基本ソフトウェア「Unified Wireless Network Software リリース5.1」はMSEと同時に無償提供される。
同社はMSEを当初は企業向けに販売するが、ソリューションには携帯電話やワイヤレスブロードバンド、RFIDにかかわる製品も含まれるため、キャリア(通信事業者)やサービスプロバイダーとの協業を含めB2C市場にも展開していく考え。「Cisco Motionはインフラの統合、オープンなAPIなどを通してビジネス領域にモビリティを提供しようというビジョン。この“エンタープライズモビリティ”の分野でわれわれはイニシアチブを取りたい」(米Cisco Systemsワイヤレスネットワーキングビジネスユニット マーケティング担当副社長のマチェク・クランツ氏)。
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