統合コミュニケーションがもてはやされる昨今だが、何度もメールをやりとりするよりも、面と向かった会話の方が問題を早く解決できることもある。
数年前、おじがカリフォルニアとネバダの州境の山間部にある小さな大学の学長に任命された。この大学の特徴の1つは牧場を持っていることだ。始業前と放課後に、職員と学生が牧場の作業をやっている。大学は人里離れた場所にあるので、テレビもラジオも携帯電話もない。インターネットは大学の図書館のコンピュータ1台だけが接続できる。
おじからこの話を聞いたとき、わたしはあまりの孤立ぶりと不便さに驚いた。そこで「何が楽しみなの?」と尋ねると、おじは答えたものだ。「失われていた会話術を再発見した」と。
われわれもまた、失われた会話術を再発見する必要があるのではないかと、わたしは時々考える。
最近、わたしは英国支店のグループとのWebビデオ会議で行き詰まった。英国の技術者たちは、その会議のために自分たちの素晴らしいWeb会議ツールを使うと言い張った。会議が始まる20分前、そのソフトをテストしたが、接続できなかった。そこでインスタントメッセージング(IM)を使って別のやり方を試そうとした。会議が始まるはずだった時刻から10分を過ぎても、まだ接続できなかった。
わたしはIMで、電話で話し合わないかと提案した。IMで返ってきた答えは「いや、再起動してもう一度やってみる」だった。システムを再起動した後も接続はできなかった。会議開始予定時刻を30分過ぎてやっと、電話を使って会議をすればいいんだと相手を納得させた。Webビデオ会議ができれば結構なことだが、わたしは機能するものの方が好きだ。そして電話はまったく問題なく機能していたのだ。
以下のような経験はないだろうか。部下たちが何かの問題に取り組んでいて、コミュニケーションには電子メールのみを使っている。どこかの時点で部下の1人があなたの意見を聞きたいと考え、それまでにメールで交わされた質問、意見、回答を長大に連ねて転送してくる。最初のメールから最新のメールまでに経過した時間を見て、あなたは何時間も(何日もとは言わないまでも)が費やされたことを知る。こうなった場合、わたしはこの「チェーンメール」の参加者を集め、顔を突き合わせて話し合うことにしている。問題を洗い出して解決するのに大抵は10分もかからない。時に会話は魔法のような働きをする。
失われた会話術を再発見するに当たり、わたしは非常識な行動に出ることがある。電話をかけて話すのだ。電子メールもIMもテキストメッセージもなし。ただ会話する。コミュニケーションがうまくいっていないと感じるときは、相手のオフィスを訪ねてドアをノックし、話をしたいと持ち掛けさえする。これには驚くような効果がある。単純な会話でどれほどの違いが出るか、わたしはいつも新鮮な驚きを覚える。
つまり、これが会話の統合コミュニケーションだ。これは本当に効く。
本稿筆者のニール・ニコライゼン氏は米HeadwatersのCIO兼副社長。
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