激変する市場環境と100年に一度の大不況。こうした厳しい環境を製造業が生き抜くためには、製品開発リードタイムの短縮が不可欠だ。その実現の鍵を握るのは、意外にも「部品表(BOM)」なのだ。
「部品表」(BOM:Bill of Materials)という言葉をご存じだろうか?
「毎日使っているよ、知ってて当たり前じゃないか」
「何となく聞いたことはあるが、詳しくは知らない」
「まったく聞いたこともない」
部品表に対して抱くイメージは立場によってさまざまであろうが、少なくとも製造業のITに携わっている方であれば、直接的であれ間接的であれ、何らかの形で部品表にかかわっているはずだ。それぐらい、製造業にとっては重要なインフラなのである。
部品表は1960年代から1970年代にかけて、大型汎用機上でMRP(資材所要量計画)システムが実用化されるに当たって誕生したインフラだった。製品の組み立てを行うときに必要な部品を、その組み立て順序に応じて階層的に表現した表(データベース)が部品表である。これはMPS(基準日程計画)と同様に、MRPシステムを運用するためには必須のインフラであった。そのころの原型(基本形)を、部品表の「第1世代」と呼ぶ。
その後、部品表のデータベースはレガシーなホストの中に埋もれ、忘れ去られたインフラとして40年もの長い間発達することがなかった。今ではすっかりブラックボックスになり、部品表の内部を知る人間がほとんどいないという会社も珍しくない。かつては「製造業のバイブル」とまで呼ばれた部品表データベースも、レガシーな生産管理システムの下に埋もれて、すっかりブラックボックス化してしまっているケースが多いのが現状である。
その忘れ去られた部品表インフラが40年ぶりに発達し始めたのが、「統合化部品表」だ。その原動力となったのは、インターネットの普及と、Oracle Databaseをはじめとしたオープン系リレーショナルデータベースでビュー機能が実用化されたことである。ここで部品表は一気に第2世代から第5世代まで発達することになった。その詳しい内容は後述するとして、ここではまず簡単に各世代の要点だけを示しておきたい。
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