モデリング機能を強化した「Visual Studio 2010」の実力とは?UMLツール紹介:Microsoft Visual Studio編

マイクロソフトは2009年11月、UML機能を強化した統合開発環境の次期製品「Microsoft Visual Studio 2010 β2日本語版」を発表した。今回はそのモデリング機能の特徴を紹介する。

2010年01月13日 08時00分 公開
[今田忠博,豆蔵]

 マイクロソフトは、2010年上半期に製品版を提供する予定の「Microsoft Visual Studio 2010」(以下、VS2010)において、UMLモデリング機能を強化し、要件定義や設計などの領域のサポートを充実させると発表している。従来、Visual Studioにおけるモデリング機能としては「Architecture Edition」で独自記法の機能が提供されていたが、UMLはサポートの対象外だった。また、同社は2008年9月にモデリング標準化団体「OMG(Object Management Group)」に加盟しており、.NETプラットフォームにおけるモデル駆動型開発を支援する方針も発表している。

 マイクロソフトはアプリケーションライフサイクルマネジメント(ALM)というキーワードを掲げ、Visual Studio製品群によってアプリケーション開発のライフサイクル全体のサポートを目指している。Visual Studioが提供するUMLモデリング機能とは、一体どれくらい使えるものなのだろうか? 今回は既に入手可能なVS2010 β2日本語版を基に、そのモデリング機能の特徴を紹介する。

photo VS2010のモデリング画面《クリックで拡大》

VS2010のモデリング機能

 VS2010は、その最上位ライセンスである「Ultimate」においてUMLのバージョン2.1.1に対応したUMLモデリング機能が提供され、以下のダイヤグラムを作成することができる。

作成できるダイヤグラム(図表)の種類
ダイヤグラム名 対応状況 備考
クラス図      ○                   ―
オブジェクト図      ×                   ―
パッケージ図      ×                   ―
コンポーネント図      ○                   ―
合成構造図      ×                   ―
配置図      ×                   ―
ステートマシン図      ×                   ―
アクティビティー図      ○               レーンには対応していない
シーケンス図      ○               自動生成可能
コミュニケーション図      ×                   ―
タイミング図      ×                   ―
相互作用概要図      ×                   ―
ユースケース図      ○                   ―

 VS2010には上記のダイヤグラムの作図機能に加えて、今回から追加された「レイヤー図」という独自の図も用意されている。また、データベースの構造を可視化するビュー、ソースコードからシーケンス図を自動生成する機能、クラス間の依存関係を可視化する「Visualize Code Relationships」機能などを活用できる。

 さらに、モデル要素の色が変更可能であり、リソース系やイベント系のクラスを色分けして、カラーUML(※)でモデリングすることも可能だ。アクティビティー図とユースケース図では直線や長方形、楕円(だえん)などのテンプレートを使って自由に図形を描くことができる。

※ 『Javaエンタープライズ・コンポーネント―カラーUMLによるJavaモデリング』(ピアソン・エデュケーション)の中で、共同著者であるピーター・コード氏が提唱している手法。イベントをピンク、リソースを緑などに色付けすることで、白黒の図よりも視覚的に分かりやすくなる点が特徴。

 そのほか、VS2010の日本語版ではメニューやメッセージにおける日本語表示はもちろん、ダイヤグラム要素に対する日本語の入力も可能だ。ただ、先述した対応表でも分かる通り、現時点では「UMLモデリングツールとしては、対応可能なダイヤグラムが少ない」といえるだろう。同社では今後、対応ダイヤグラムの種類を増やしていくという。

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