モデル駆動型開発を推進する上では、モデリング環境と開発環境との高い親和性が求められる。今回はEclipseベースのモデリングツール「IBM Rational Software Modeler」の特徴的な機能を紹介する。
今回はIBMが提供するモデリングツール「IBM Rational Software Modeler」(以下、RSM)を紹介する。読者の中には、米Rationalの「Rational Rose」をご存じの方も多いだろう。そのRationalが2003年に米IBMに買収されたことで、Rational RoseはUML1.4対応のバージョンで開発を終了し、UMLモデリングツールとしての役割をRSMなどに引き継いだ(※)。RSMの最新バージョンは2009年11月末現在で「7.5.4」だ。
(※)IBM Rational Rose XDE製品群を含む。
これまで紹介したツールとRSMとの違いは、RSMがJava開発などで広く使われているオープンソースの統合開発環境「Eclipse」をベースに作られていることだ。また、Eclipseには多くのプラグインが提供されている。RSMはこれらを用いることで、構成管理ツールや要求管理ツールといったさまざまなツールとの連携も可能だ。
RSMのユーザーインタフェース(以下、UI)は、基盤となるEclipseが提供するデザインビューやパースペクティブなどに統一される。このため、Eclipseユーザーならその操作方法の習得に時間は掛からないだろう。しかし、既存のRoseユーザーにとっては操作方法が異なる点もあり、戸惑うことも多いかもしれない。
ここで「モデリング環境に開発環境が組み込まれている」場合と「開発環境にモデリング環境が組み込まれている」場合の違いを考えてみる。
前者の場合、モデリング環境と開発環境はモデルから生成したソースコードで連携することになる。その際、生成されたソースコードを開発環境で変更することになるが、その変更はモデル側には反映されず、結果的にモデルとコードが乖離(かいり)することもある。これは開発の現場では多く見られる問題だ。
それでは後者の場合はどうだろうか。前者と比べて、モデルとソースコードの距離は「より近くなる」といえる。例えば、モデルから直接ソースコードを編集したり、ソースコードの変更を動的にモデルへ反映できる。また、モデル上からアプリケーションの実行も可能になる。このように「モデル駆動開発の実践が容易になる」点も後者のメリットだといえる。
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