オブジェクト指向での開発を支援するモデリング表記方式である「UML」。本連載では、UMLモデリングを支援する主要なツールを紹介していく。今回はスパークスシステムズジャパンの「Enterprise Architect」を取り上げる。
オブジェクト指向によるモデリングを行う際に用いられる表記方式であるUML(統一モデル記述言語)は、ソフトウェアの設計だけでなく、業務分析やビジネス設計にも利用されている。本連載では、UMLモデリングを支援する主要なツールを紹介していく。各ツールの機能概要やほかのツールにない長所(差別化ポイント)を取り上げるだけでなく、短所とも取れる内容にも触れる予定だ。
Enterprise Architect(以下、EA)は、オーストラリアのSparxSystemsが開発し、1998年から販売しているUMLモデリングツールだ。日本ではスパークスシステムズジャパンが日本語化とそのサポートを行っており、2005年から日本語版が販売されている。
EAはエンタープライズ系や組み込み系などの分野を問わず、多くの企業で利用されている。その最新バージョンは2009年8月時点で「7.5」。モデリング機能のみのデスクトップ版1万7325円から、すべての機能が活用できるアルティメット版9万8700円(いずれも税込み)まであり、そうした価格体系も、多く利用されている要因の1つといえるだろう。
EAはUMLのバージョン2.1に対応しており、以下の種類のダイヤグラムを描くことができる。
ダイヤグラム名 | 対応状況 | 備考 |
---|---|---|
クラス図 | ○ | |
オブジェクト図 | ○ | |
パッケージ図 | ○ | |
コンポーネント図 | ○ | |
コンポジット構造図 | ○ | |
配置図 | ○ | |
ステートマシン図 | ○ | 状態遷移表形式に変換可 |
アクティビティ図 | ○ | |
シーケンス図 | ○ | コミュニケーション図と相互変換可能(アドインを利用) |
コミュニケーション図 | ○ | シーケンス図と相互変換可能(アドインを利用) |
タイミング図 | ○ | |
相互作用概要図 | ○ | |
ユースケース図 | ○ | |
これらのダイヤグラムに加えて、フローチャートやDFD(データフローダイヤグラム)といった構造化手法で使われるダイヤグラム、「SysML 1.1」(システムエンジニアリング版以上)、「BPMN 1.1」といった表記法のダイヤグラムも扱うことができる。
また、「XMI」(UMLで書かれた図をツール間で交換するための共通フォーマット)にも対応しているため、ほかのXMI対応のUMLモデリングツールとの間でファイルのインポート/エクスポートも可能だ。さらに、UML仕様以外の部分でのダイヤグラム作成機能としては、モデル要素の色やフォントの変更だけでなく、別名定義(※1)やタグ付き値(※2)の設定、外部ファイルやWebページへのハイパーテキストリンクにも対応する。
そのほか、メニューの項目や表示されるメッセージはすべて日本語化されており、ダイヤグラムの要素に対する日本語入力も問題はない。
※1 別名定義(1つの要素に「日本語名」と「英語名」のように2つの名前を付けて表示切替が可能)
※2 タグ付き値(タグと値の組をモデル要素に対してユーザーが自由に付加することができる)
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