汎用的なモデリング機能を網羅するUMLツール「Enterprise Architect」UMLツール紹介:Enterprise Architect編

オブジェクト指向での開発を支援するモデリング表記方式である「UML」。本連載では、UMLモデリングを支援する主要なツールを紹介していく。今回はスパークスシステムズジャパンの「Enterprise Architect」を取り上げる。

2009年09月24日 08時00分 公開

主要なUMLツールを紹介する

 オブジェクト指向によるモデリングを行う際に用いられる表記方式であるUML(統一モデル記述言語)は、ソフトウェアの設計だけでなく、業務分析やビジネス設計にも利用されている。本連載では、UMLモデリングを支援する主要なツールを紹介していく。各ツールの機能概要やほかのツールにない長所(差別化ポイント)を取り上げるだけでなく、短所とも取れる内容にも触れる予定だ。

<評価項目>

  • 対応UMLのバージョン
  • 作成できるダイヤグラム(図表)の種類
  • コード生成機能の詳細
  • 日本語対応の有無

EAが受け入れられる要因

 Enterprise Architect(以下、EA)は、オーストラリアのSparxSystemsが開発し、1998年から販売しているUMLモデリングツールだ。日本ではスパークスシステムズジャパンが日本語化とそのサポートを行っており、2005年から日本語版が販売されている。

 EAはエンタープライズ系や組み込み系などの分野を問わず、多くの企業で利用されている。その最新バージョンは2009年8月時点で「7.5」。モデリング機能のみのデスクトップ版1万7325円から、すべての機能が活用できるアルティメット版9万8700円(いずれも税込み)まであり、そうした価格体系も、多く利用されている要因の1つといえるだろう。

photo Enterprise Architect概観《クリックで拡大》

 EAはUMLのバージョン2.1に対応しており、以下の種類のダイヤグラムを描くことができる。

ダイヤグラム名 対応状況 備考
クラス図      ○  
オブジェクト図      ○  
パッケージ図      ○  
コンポーネント図      ○  
コンポジット構造図      ○  
配置図      ○  
ステートマシン図      ○ 状態遷移表形式に変換可
アクティビティ図      ○  
シーケンス図      ○ コミュニケーション図と相互変換可能(アドインを利用)
コミュニケーション図      ○ シーケンス図と相互変換可能(アドインを利用)
タイミング図      ○  
相互作用概要図      ○  
ユースケース図      ○  

 これらのダイヤグラムに加えて、フローチャートやDFD(データフローダイヤグラム)といった構造化手法で使われるダイヤグラム、「SysML 1.1」(システムエンジニアリング版以上)、「BPMN 1.1」といった表記法のダイヤグラムも扱うことができる。

 また、「XMI」(UMLで書かれた図をツール間で交換するための共通フォーマット)にも対応しているため、ほかのXMI対応のUMLモデリングツールとの間でファイルのインポート/エクスポートも可能だ。さらに、UML仕様以外の部分でのダイヤグラム作成機能としては、モデル要素の色やフォントの変更だけでなく、別名定義(※1)やタグ付き値(※2)の設定、外部ファイルやWebページへのハイパーテキストリンクにも対応する。

 そのほか、メニューの項目や表示されるメッセージはすべて日本語化されており、ダイヤグラムの要素に対する日本語入力も問題はない。

※1 別名定義(1つの要素に「日本語名」と「英語名」のように2つの名前を付けて表示切替が可能)

※2 タグ付き値(タグと値の組をモデル要素に対してユーザーが自由に付加することができる)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 ServiceNow Japan合同会社

生成AIで「ローコード開発」を強化するための4つの方法

ビジネスに生成AIを利用するのが当たり前になりつつある中、ローコード開発への活用を模索している組織も少なくない。開発者不足の解消や開発コストの削減など、さまざまな問題を解消するために、生成AIをどう活用すればよいのか。

製品レビュー 発注ナビ株式会社

システム開発の4つの手法とは? システム開発の流れや専門用語を基礎から解説

システム開発を任されても、「何から始めたらよいのか分からない」という担当者は多いだろう。そこで本資料では、システム開発の流れや専門用語といった基礎知識を分かりやすく解説するとともに、システム開発の4つの手法を紹介する。

製品資料 株式会社AGEST

短納期化が進むシステム開発、なぜテストのアウトソーシングが増えているのか

システムの不具合によるさまざまなリスクを回避するには網羅的なテストを行う必要があるが、自社で行うのは難しい。そこで活用したいのが外部のテスト専門会社だ。本資料ではテスト専門会社を活用するメリットや具体的な流れを解説する。

製品資料 サイボウズ株式会社

レガシーシステムからどう脱却する? 今の時代の基幹システムの在り方

レガシーシステムからの脱却が叫ばれる中、「ERP×ノーコードツール」のアプローチで基幹システムの刷新に取り組む企業が増加している。その推進に当たっては、「Fit to Company Standard」の概念を頭に入れておくことが必要になる。

製品資料 株式会社ビルドシステム

「ローコード開発×内製化」失敗の理由とは? 3つの事例から得た2つの教訓

迅速なサービスの提供を実現する手段として、「ローコード開発×内製化」が注目されている。エンジニア不足の中でも、非IT部門が開発を担える点がその理由の1つだが、全てが順調に進むわけではない。失敗事例から得た2つの教訓を紹介する。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...