FacebookやAmazonなど、大量のタスクを迅速かつ確実に処理しなければならないシステムが出現したことで、非同期型のメッセージ指向ミドルウェア(MOM)方式に基づくWebアプリケーションの再設計への関心が高まってきた。
大規模な分散システムの増加に伴い、開発担当者はアプリケーションのデザインに対する基本的なアプローチを再考する必要がある。これは簡単なことではない。プログラマーが学校で教わるようなものではないのだ。
プログラマーは従来、アプリケーション内でイベントの発生順序を制御することに目を向けてきたが、こういったプログラムは1つのプロセスを完了するのに時間がかかるだけでなく、シーケンス(順序)依存性は、1つのプログラムがダウンするとシステム全体がクラッシュする可能性があることを意味する。FacebookなどのソーシャルネットワークやAmazonなどの大規模電子商取引サイトでは、大量のタスクを迅速かつ確実に処理しなければならない。こうしたシステムが出現したことで、多くの企業の間で非同期型のメッセージ指向ミドルウェア(MOM:Message-Oriented Middleware)方式に基づいてWebアプリケーションを再設計することへの関心が高まってきた。
カナダのソーシャルゲーム開発メーカーPug Pharm Productionsのデビッド・ドソットCTO(最高技術責任者)によると、非同期方式では、開発者はアプリケーション内のシーケンスに対する支配を放棄する必要があるという。「メッセージング方式を採用するに当たっては発想の転換が必要だ。オーケストレーションに対するコントロールを手放さなければならないということだ」とドソット氏は強調する。
「在庫確認、請求書発行、出荷などの処理が非同期で発生するという状況を受け入れなければならないのだ」とドソット氏は語る。同氏はPug Pharmでメッセージング方式を実装するのに「Erlang」と「RapidMQ」を利用しているが、米MuleSoftの新しいJMS(Java Message Service)インプリメンテーションである「Mule MQ」も検討しているという。
また、「従来のプログラム的アプローチは、さまざまな処理をサブシステムで実行するというものだ。しかしこれらのサブシステムの1つがダウンすれば、システムは後で再び処理を試みる必要がある」とドソット氏は指摘する。
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