POSデータ活用の目的はあくまでも「売り上げ・利益の拡大」だ。その目的から目をそらさないために、店舗の利益構造の適正化・拡大という観点でPOSデータ活用方法を解説する。
小売業に携わる方なら誰もが日々「売り上げや利益を拡大したい」と考えているだろう。その実現のためには、顧客動向を理解した店舗作り(品ぞろえ)が不可欠だ。一方で、顧客動向を把握するためには、POSデータが極めて重要な役割を担うことも周知の事実である。本連載では、既にPOS(Point Of Sale)システムを導入しており、以下のような小売業に共通する課題を抱える企業に、POSデータの分析手法や活用法、その実例などをお伝えしていく。
第1回となる本稿では、店舗の利益を5つの利益構造に分け、それぞれをどのように拡大していくかという視点からとらえて、POSデータの活用目的と活用例を解説していく。
基本的なことではあるが、まずPOSデータの“活用目的”を整理しておこう。「何が幾つ売れているか?」「売れずに在庫になっているのはどの商品か?」という実態を知ることこそ、POSデータの活用目的である。なぜそれらを知る必要があるのか。それは、消費者の嗜好(しこう)の変化に品ぞろえを合わせていくためであり、また、不必要な在庫を店頭から排除するためである。
また、「利益=売上額−仕入れ額」の基本構造からも分かるように、仕入れた商品が売り上げにつながるほど得られる利益は大きくなる。つまり、売れ筋商品・死に筋商品を発見し、品ぞろえや在庫を適性にコントロールすることがPOSデータ活用の根幹だ。
まず、店舗における5つの利益構造(上図)を頭に入れてほしい。個別に意識しているものもあると思うが、この5つを体系的に理解し、かつ順を追って進めていくことが店舗の「進化」につながる。
1.デッドストックの把握
2.チャンスロスの把握
3.品ぞろえの充実
4.値入率の改善と原価管理の徹底
5.顧客の維持・拡大
それでは、それぞれの利益構造の適性化と最大化を図るために、POSデータ活用のポイントを解説していこう。
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