IP電話の価値を高めるアプリケーションを考える場合、会議システムを外すことはできないだろう。Web会議やビデオ会議の音声ツールとしての役割を担わせると、新しい価値が引き出せる。
IP電話の活用を紹介する本連載。前回の「IP電話のコミュニケーション改革、初めの一歩はWeb電話帳」に引き続き、IP電話の価値を引き出すソリューションを紹介する。
Web会議システムは、出張費や移動時間の削減を図る場合に、最も手軽に導入できるシステムだ。このWeb会議システムをIP電話機と連動させ、音声部分を電話システムで賄うことが可能である。
IP電話との連動を紹介する前に、まずWeb会議システムについて説明しておこう。Web会議システムは簡単にいうと、Webインタフェースを使って発信者のPCの画面を複数の人に見せるシステムである。このシステムによって、会議、社内トレーニング、資料の作成時などの場面でPC画面を共有することができる。eラーニングなどのシステムと異なる点は、リアルタイムで使用されることや、1対1で使用されることだ(もちろん、録音・録画して後でeラーニングのコンテンツとして使用することもできる)。
Web会議システムでは、資料を見ながらリアルタイムにやりとりを行うため、音声が重要な要素となる。PCで音声を処理させる形でWeb会議システムを導入することもできるが、PC利用の場合は音声の品質に不安があり、またユーザーのマイク音声入力による問い合わせの増大を回避する上で、音声部分を電話機で処理させることには大きなメリットがある。既にIP電話を導入していれば、Web会議システムから参加者の電話を呼び出して、電話会議を同時に行うといった連動が可能だ。
ただし、SaaS(Software as a Service)型のWeb会議の場合、同時に音声会議サービスも提供されているので、既存のIP電話の代わりにそれを利用すればいいと考えるユーザーもいるかもしれない。だが、SaaS型の音声会議は従量課金となっていることが多く、費用の予測が立てにくい点が挙げられる。また、音声をPCで処理させたり、インターネット越しに会話をするため、音質が悪くなる傾向もある。もちろんWeb会議システムと電話とでそれぞれ独立して、手動で会議を設定できるが、手順が煩雑となりユーザーの負担になってしまう。
そこでこうした問題を回避するために、SaaS型でありながらデータや音声・ビデオのトラフィックを社内で処理できる「集約サーバ」製品が提供されている。例えば、シスコシステムズが提供している「Unified MeetingPlace」の最新版がそれに当たる。この製品は、SaaS型Web会議製品である「WebEx」と連携して動作する。こうした集約サーバを利用すると、SaaS型Web会議システムでも社内のIP電話を連動させ、音声部分だけを内部で終端することが容易にできる。この機能は、海外でインターネットの回線品質が悪い場合や国境を越える場合、ファイアウォールで通信の遅延が大きくなる場合などにも有効だ。
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