通話だけじゃない! IP電話による業務コミュニケーション活性化【第3回】
導入効果は2倍に? IP電話の役割を変ぼうさせるビデオ会議システム
IP電話の価値を高めるアプリケーションを考える場合、会議システムを外すことはできないだろう。Web会議やビデオ会議の音声ツールとしての役割を担わせると、新しい価値が引き出せる。
IP電話の活用を紹介する本連載。前回の「IP電話のコミュニケーション改革、初めの一歩はWeb電話帳」に引き続き、IP電話の価値を引き出すソリューションを紹介する。
Web会議システムは、出張費や移動時間の削減を図る場合に、最も手軽に導入できるシステムだ。このWeb会議システムをIP電話機と連動させ、音声部分を電話システムで賄うことが可能である。
IP電話との連動を紹介する前に、まずWeb会議システムについて説明しておこう。Web会議システムは簡単にいうと、Webインタフェースを使って発信者のPCの画面を複数の人に見せるシステムである。このシステムによって、会議、社内トレーニング、資料の作成時などの場面でPC画面を共有することができる。eラーニングなどのシステムと異なる点は、リアルタイムで使用されることや、1対1で使用されることだ(もちろん、録音・録画して後でeラーニングのコンテンツとして使用することもできる)。
Web会議システムでは、資料を見ながらリアルタイムにやりとりを行うため、音声が重要な要素となる。PCで音声を処理させる形でWeb会議システムを導入することもできるが、PC利用の場合は音声の品質に不安があり、またユーザーのマイク音声入力による問い合わせの増大を回避する上で、音声部分を電話機で処理させることには大きなメリットがある。既にIP電話を導入していれば、Web会議システムから参加者の電話を呼び出して、電話会議を同時に行うといった連動が可能だ。
ただし、SaaS(Software as a Service)型のWeb会議の場合、同時に音声会議サービスも提供されているので、既存のIP電話の代わりにそれを利用すればいいと考えるユーザーもいるかもしれない。だが、SaaS型の音声会議は従量課金となっていることが多く、費用の予測が立てにくい点が挙げられる。また、音声をPCで処理させたり、インターネット越しに会話をするため、音質が悪くなる傾向もある。もちろんWeb会議システムと電話とでそれぞれ独立して、手動で会議を設定できるが、手順が煩雑となりユーザーの負担になってしまう。
そこでこうした問題を回避するために、SaaS型でありながらデータや音声・ビデオのトラフィックを社内で処理できる「集約サーバ」製品が提供されている。例えば、シスコシステムズが提供している「Unified MeetingPlace」の最新版がそれに当たる。この製品は、SaaS型Web会議製品である「WebEx」と連携して動作する。こうした集約サーバを利用すると、SaaS型Web会議システムでも社内のIP電話を連動させ、音声部分だけを内部で終端することが容易にできる。この機能は、海外でインターネットの回線品質が悪い場合や国境を越える場合、ファイアウォールで通信の遅延が大きくなる場合などにも有効だ。
IP電話とWeb会議システムの連携
Web会議製品には「SaaS型」と「内部型」の製品がある。現在サービス(SaaS)型が大きなシェアを占めているが、業種によってサービス型が認められなかったり、月額料金に負担を感じることもある。その場合は完全な内部型を選択するとよい。
| 提供ベンダー | 製品(サービス名) | 形態 | 製品イメージ |
|---|---|---|---|
| NTTアイティ | MeetingPlaza | SaaS型 | |
|
《クリックで拡大》 ★17★シスコシステムズ(旧WebEx) |
WebEx | SaaS型 | ,l_meetp_image.jpg |
《クリックで拡大》
| ブイキューブ | nice to meet you | SaaS型 | |
|---|---|---|---|
|
《クリックで拡大》 ★17★沖電気工業 |
Visual Nexus | 内部型 | ,l_ntm_image.jpg |
|
《クリックで拡大》 ★17★シスコシステムズ
|Unified MeetingPlace|内部型|,l_vn_image.jpg|
|---|---|---|---|
|
《クリックで拡大》 ○Web会議システムを導入した例 ここで、Web会議システムの実際の導入事例を幾つか紹介したい。 A社では、海外拠点を含めた会議は今まで電話会議で実施していた。ただし英語や日本語が混在した環境だったので、言葉の違いや聞き間違いによる誤解が多く生じていた。これを解消するために、会議中に資料や会議メモを共有できるWeb会議の導入を決定。しかし、SaaS型での導入に向けた事前のテストでは、映像に比べて音声がかなり遅れて聞こえていた。これは、音声データがインターネットに出る前に、プロキシサーバやファイアウォールで多くの遅延が発生していたためである。そこで、内部向けには集約サーバを立て、さらにIP電話機とシステム連動させることで音質を確保し、この問題を回避できた。 またB社では、従来型のWeb会議サーバが導入されていたが、マイクの品質上の問題で音声が届かないトラブルが発生していた。これをIP電話と連動させることによって、マイクに関するユーザーからの問い合わせはなくなった。 このように、Web会議システムはIP電話との連携で十分なメリットが得られる。筆者が所属するネットワンシステムズでもWeb会議システムを導入しており、製品の説明会やグループ間の毎月の会議などで活用している。メーカーが国を越えた開発体制を組んでいる場合は、画面を共有しながら会議ができるのでコミュニケーションが取りやすい。 またSaaS型のWeb会議システムの場合は、外部の会社との連携も容易になる。例えば、開発部隊がインド、管理部門が米国といった国内メーカーが、インド、日本、米国を結んでグローバルな会議に参加するとする。その際、英語のなまりでお互い理解できなくても、Web会議でメモを共有するとスムーズに議事を進められる。最終的なネックは「時差」であり、残念ながらこれを解決する手段は今のところないが、SaaS型であれば自宅からでも参加が可能だ。 ●IP電話とビデオ会議システムの連携 一方、PCとIP電話の連動によるビデオ会議システム(※)や、ビデオ機能を備えたIP電話機も出てきている。これらを導入することで、特殊な装置を追加することなく簡単にビデオ会議システムが利用可能となる。また、操作も電話機と同じため、ユーザーへの特別なトレーニングも不要である。 ▼▲※USBカメラを接続したPCにビデオクライアントソフトをインストールして、PCで映像を、電話機で音声を処理するシステム。PCは電話機の後ろに接続されており、電話接続時に相手がビデオ接続を要求すれば、PC上のビデオクライアントが自動的に起動する。 ビデオ会議システムの歴史は古く、IP採用以前のISDN方式でも企業導入されてきた。しかしビデオ会議システムにもIP化の波が訪れ、今は家庭用テレビと同様、HD(高精細画質)化が進んでいる。また、このHD化と同じタイミングでテレプレゼンスが登場した。テレプレゼンスは画質、画像の大きさ、音声で臨場感にこだわった製品になっていて、あたかもその場に人がいるかのように錯覚させることを訴求している。従来のビデオ会議システムとは別次元の体験が可能となっており、視覚・聴覚両面でストレスのない会議ができる。 電話回線を利用するビデオ会議システムは以前からあるが、管理する部署が電話とは違ったりISDNを使ったりと、独立したシステムとして扱われてきた。またIP接続された後も、専用の独立したネットワークが構築されているケースもあった。これをIP電話と同じネットワークで管理運用すると、管理の一元化が実現する。 また、先述のPCとIP電話機とが連動するデスクトップビデオ会議システムと、従来のビデオ会議システムを共存させる方法もある。今まで電話機からビデオ会議へは音声のみの参加となっていたのを、映像も含めた形での参加へグレードアップ可能だ。 ●ビデオ会議システムは4タイプ ビデオ会議製品は、従来の会議室型を含めてさまざまなタイプに分かれ、多くの製品がリリースされている。そこでネットワンシステムズでは、以下のようにカテゴリを分類している。各製品カテゴリでは、基本的にソニー、シスコシステムズ/タンバーグ、ポリコムが主要なプレーヤーとなっている。 ↓iph03_fig02.jpg,図2,ビデオ会議システムを大きく4つに分類 ■会議室型:既存の会議室に導入されるシステム
| ★17★提供ベンダー|製品|製品イメージ ★17★ポリコム|HDXシリーズ| ★17★タンバーグ|Edge/Set-Topシリーズ| ★17★ソニー|PCSシリーズ| -- ■空間共有型:テレプレゼンスシステム。臨場感や等身大表示を訴求する| ★17★提供ベンダー|製品|製品イメージ ★17★ヒューレット・パッカード|Halo Collaboration Studio| ★17★ポリコム|RPX HD/TPX HDシリーズ| ★17★タンバーグ|Telepresence| ★17★シスコシステムズ|Cisco TelePresence System(CTS)シリーズ| -- ■フリーロケーション型(PC型):PCがあればどこでも簡単に会議に参加できる| ★17★提供ベンダー|製品 ★17★シスコシステムズ|Unified Video Advantage ★17★タンバーグ|movi ★17★ポリコム|PVX -- ■電話一体型:電話機とカメラが一体となったシステム。電話機と同一の操作でビデオ会議が可能となる| ★17★提供ベンダー|製品 ★17★シスコシステムズ|Unified IP Phone 9971/9951シリーズ ★17★ポリコム|VVX 1500 D ★17★タンバーグ|E20 ○電話の操作性を生かしたビデオ会議システムの実例 最後に、IP電話を活用するビデオ会議システムの導入事例を紹介する。 C社はこれまで、会議室型のビデオ会議システムを使用していた。部屋の確保という問題ももちろんあるが、大きな会議や役職者が重要な会議を行う際には、操作が難しいためIT担当者が付きっきりになることがあり、運用上に問題があった。同社はこれを解消すべく、デスクトップビデオの導入を決定した。その際、社員の役職に基づき、次のような導入方法を選択している。 ・役員、本部長クラスには操作感が最も電話に近く、PCの操作を必要としない電話一体型を導入 ・そのほかの社員にはIP電話と連動できるフリーロケーション(PC)型を導入 以上のようにシステムを導入した結果、IP電話の操作はそのままに、1対1や3者間でのビデオ会議が実現した。加えて、導入済みの会議室型のビデオ会議システムが通信に同じIPを利用しており、相互接続が可能だったため、既存資産の有効活用もできた。C社は今後、会議室型システムのHD化やテレプレゼンス(これらも既存システムとの相互接続が可能)の導入も検討している。 次回は、IP電話システムをインスタントメッセンジャー/プレゼンスツールと連動させて生産性を向上させたり、CRM(顧客関係管理)システムと組み合わせる例について解説する。 □blue ○<筆者紹介> ●荒牧大樹 ○ネットワンシステムズ 営業推進本部 2001年よりIP電話機構築にかかわる。国内の大手金融や製造系の大規模なUCネットワーク構築において、先端UC技術をいち早く取り入れてきた。メーカー以外の企業のエンジニアとして、UC技術の最高資格である「CCIE Voice」を国内で初めて取得。現在はネットワンシステムズにてUC製品の先端技術サポートを行っている。 □□ -- □ ●関連ホワイトペーパー ○ビデオ会議 | IP電話 | Cisco Systems(シスコシステムズ) | SaaS | コミュニケーション | eラーニング | ISDN □□ ,l_ump_image.jpg|
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