プロジェクト管理ツール紹介:ポピュラーソフト編
オフショア開発にも対応するプロジェクト管理ツール「Popular ProjectManager」
開発コストを抑えることを目的としてオフショア開発に取り組むと、さまざまな問題に直面してトラブルに見舞われることもある。そうしたトラブルを回避するためにプロジェクト管理ツールは役に立つのだろうか。
“見えない壁”がオフショア開発の失敗原因に
近年、ソフトウェア開発のコスト削減を図るため、インドや中国などの海外拠点を活用して開発を行う「オフショア開発」を指向するSIerが急増している。こうした状況について、ポピュラーソフト代表取締役の坂野樹文氏は「オフショア開発がうまくいかずに失敗プロジェクトに終わるケースも少なくない」と語る。また、日本の拠点と海外開発拠点の間に“見えない壁”があることがその大きな原因であり、現在のオフショア開発における課題だと指摘する。
例えば、典型的なオフショア開発のパターンに、発注元である顧客企業と海外開発拠点との間にブリッジSEを立てて、プロジェクト管理を行うケースがある。この場合、ブリッジSEの報告だけでしか海外開発拠点の作業進ちょくを把握できないことも多くなり、ブリッジSEの存在自体が壁となることもある。これでは、オフショア開発のリアルタイムな管理は難しいといわざるを得ない。また、開発拠点が分散することで、設計書などの変更に対する同期が必要になったり、各拠点からの報告メールが交錯して重要な情報を見落としたりするなど、さまざま問題が発生する可能性がある。
ポピュラーソフト自身もオフショア開発を手掛けているソフトウェアベンダーであり、中国・大連の開発子会社と連携しながら、受注開発からパッケージソフトウェア開発などを行っている。そして、そのノウハウと実績を生かして開発したのが、同社の可視化プロジェクト管理システム「Popular ProjectManager」だという。
坂野氏は「オフショアによる受注開発事業を展開するに当たって、この“見えない壁”を取り除き、分散拠点による開発を意識させない環境を作ることが重要だと考えた」と説明する。そのため、同社はオフショア開発の可視化を実現するプロジェクト管理システムを開発し、自社のソフトウェア開発業務で活用してきた。これにより、2004年の設立から現在まで、納期の遅延など失敗プロジェクトを起こしたケースは1つもないという。今回は、同社のPopular ProjectManagerを紹介する。
オフショア開発拠点のリソース情報を可視化
Popular ProjectManagerは、プロジェクトの登録・管理からプロジェクトに割り当てるメンバーの要員管理、開発フロー全般のタスク管理、テスト工程における障害管理といった機能を提供するWebシステムだ。
| 概要 | 機能 |
|---|---|
| プロジェクト登録 | プロジェクト情報の登録、情報検索 |
| 要員管理 | 各メンバーの基本情報、保有資格、プロジェクト履歴情報などの管理 |
| リソース管理 | リソースの検索・リクエスト、メンバーのアサイン |
| タスク管理 | タスクの登録、タスクの予定・実績入力、タスクの進ちょく管理、タスクの承認 |
| テスト工程管理 | プロセス管理、機能ユニット管理、要件管理、シナリオ・テスト項目・テスト結果管理、障害管理、インポート/エクスポート機能 |
Popular ProjectManagerの特徴として挙げられるのが「リソース管理」機能である。現在普及しているプロジェクト管理ツールは、タスク管理が中心となっているものが多いが、Popular ProjectManagerではオフショア開発における可視化を実現するため、基本的なタスク管理機能(予定、実績、確認)に加えて、プロジェクトメンバーの情報管理を行うリソース管理機能に重点が置かれている。具体的には、海外開発拠点も含め、プロジェクトに関連するすべてのメンバーのあらゆる情報をリソース管理機能で一元管理することが可能。
Popular ProjectManagerでは、プロジェクトメンバーの顔写真や住所、入社年月などの基本情報から、プロジェクトの履歴情報、さらには保有資格までを登録・管理できる。同社の技術開発部リーダー 朱元祥氏は「プロジェクトマネジャーや経営層は、リソース情報をチェックすることで、海外のオフショア開発拠点にどんなスキルを持ったメンバーが何人いて、現在どのプロジェクトを担当しているのかを一目で把握することができる」と説明する。
また、Popular ProjectManagerではリソース情報をベースに、プロジェクトのメンバーを募集できるリクエスト管理機能も備えている。プロジェクトマネジャーは、保有資格やスキル、プロジェクト履歴などの項目で検索を行ってメンバーを絞り込み、必要なメンバーを効果的にプロジェクトに配置することが可能となる。プロジェクトから外したいメンバーがいる場合は、そのメンバーを「リリース管理」で申請することで、メンバーの配置転換なども容易に行うことができる。
さらに、リソース管理機能はタスク管理機能ともデータ連携しており、タスクの作業履歴や担当プロジェクトの変更といったタスク管理の情報が、リソース管理の情報にも自動登録される。このため、プロジェクトマネジャーが直接メンバーに進ちょくを確認する手間が不要で、リソース管理機能から各メンバーの進ちょく状況をリアルタイムに把握することが可能となる。
テスト工程管理の効率化と品質向上を支援
Popular ProjectManagerの特徴の1つとして「テスト工程管理」機能が挙げられる。テスト工程管理機能は、タスク管理機能をベースに機能強化を図ったもので、オフショア開発で重要なテスト工程の管理を効率化する独自機能を備えている。
例えば、結合テストを実施する場合、テストを行う各機能にテストシナリオを作成し、シナリオごとに詳細なテスト項目を設定していく。テスト担当者は、設定されたテスト項目を確認しながらテストを実施し、その結果やバグの修正状況などを管理画面から登録し、最後に成果物を添付してプロジェクトマネジャーに作業終了報告を行う。報告を受けたプロジェクトマネジャーは、テストの内容や成果物を確認し、承認を行うことでリアルタイムにテスト工程を管理することができる。
朱氏は「従来のようなExcelを使ったテスト工程管理の場合は、オフショア開発拠点のテスト担当者がしっかりテストを行っているか把握することは難しい」と説明する。これまでは、担当者が自分の判断でテスト作業を終わらせて帰ってしまうケースという問題も発生していたという。これに対して、Popular ProjectManagerのテスト工程管理機能では、プロジェクトマネジャーが成果物を確認して、承認が下りないと作業終了にはならないため、テスト管理の効率化と共に「テスト品質の向上にもつなげることができる」と、そのメリットを強調する。
また、「システム開発終了後の運用保守フェーズに入っても、そのままPopular ProjectManagerのタスク管理機能を活用することで、オフショア開発拠点とSIベンダー、ユーザー企業でシステム運用状況の可視化を実現し、障害が発生した際も迅速に対応できる」という。
そのほか、Popular ProjectManagerでは履歴書や要員情報リスト、障害連絡票、WBS管理、品質リポートなど、オフショア開発のプロジェクト管理に必要とされるリポートについて、Excel形式のテンプレートが用意されている。このテンプレートによって、各種リポートをシステムに登録されたデータから自動作成できる。また、テンプレートの項目は自由に変更できるため、プロジェクトごとの出力仕様に合わせれば、そのまま正式な報告書として納品することが可能だ。これによって、プロジェクトマネジャーの報告書作成などの業務負荷を軽減できる。
今後は「日報管理」機能も追加予定
ポピュラーソフトでは、自社での導入・運用の実績をベースにPopular ProjectManagerとしてパッケージ化し、オフショア開発や分散開発を行うSIerへの提案を進めている。また、同社は今後、出勤表や稼働率なども管理する「日報管理」機能の追加を検討しているという。
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