可用性や負荷分散に用いられてきたクラスタリングは今、その座をクラウドに奪われつつある。だが、クラウドでは対応できない用途もあることを理解しておく必要がある。
クラウドは新しいコンピューティングクラスタになった。クラスタリング、すなわち2台以上のデスクトップを緊密に連動することにより高可用性システムを実現する手法は、メインフレーム初期の時代から存在していた。しかし今日、仮想化ツールを利用したクラスタリングという新たな手法の魅力が高まっている。その背景には、企業のIT部門において仮想サーバの利用経験が豊富になってきたこと、そしてクラウドコンピューティングベンダーの製品で高可用性機能が強化されてきたことがある。
かつて、クラスタリングは非常に専門的な分野だった。ほぼ同一の複数のコンピュータをセットアップし、特殊なOSバージョンを動作させることによって、これらのPCを同期させる必要があった。PC間でデータを非常に高速に移動するための特殊なネットワーキングアダプターも必要とされた。
しかしネットワークが高速化し、かつては専用のクラスタ構成でしか実現できなかった各種サービス(高可用性、仮想ストレージ管理、短期的サーバフェイルオーバーなど)の組み合わせが仮想世界で利用できるようになった。ディザスタリカバリアプリケーションの代替として利用できるサービスも登場した。
クラウドおよび管理可能なクラウドベースのアプリケーション配信がさらに普及し、IT部門が仮想化されたアプリケーションの配信のノウハウを蓄積するのに伴い、こういった知識をクラスタリング機能の実現のために活用できるようになった。
このような状況が生じたのは、仮想マシン(VM)はクラウド内で容易に移動・複製できるので、プライマリサーバがダウンした場合でも、予備サイトを素早く立ち上げることができるからだ。
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