Microsoft、SCVMM 2012でVMwareのvCloud Directorに挑戦(前編)プライベートクラウド市場への参入

Microsoftはプライベートクラウド市場への参入を狙い、仮想データセンター管理ツール「SCVMM 2012」を2011年下半期にリリースする。前編では、新機能である管理ロールとセルフサービス型ポータルを中心に紹介する。

2011年01月05日 08時00分 公開
[Beth Pariseau,TechTarget]

 最初に登場したのは米VMwareの「VMware vCloud Director」(以下、vCloud Director)だ。“すべての管理機能を管理する製品”とでも言うべきこのスイートは、集中型管理レイヤーを提供することにより、プライベートクラウドへの移行を可能にするのが狙いだ。そして今、米Microsoftもプライベートクラウド市場における競争に加わろうとしている。同社が投入するのは、「System Center Virtual Machine Manager」(以下、SCVMM)の最新バージョンだ。

 2011年下半期にリリース予定の「SCVMM 2012」は、まだ初期β版テストの段階だ。しかし数々の新機能により、SCVMMはVMwareのvCloud Directorに見劣りしない製品となりそうだ。米Citrix SystemsのCitrix XenServer(以下、XenServer)もサポートする。ユーザーもこの製品に期待しているようだ。Microsoftが2010年11月にドイツのベルリンで開催した「Microsoft TechEd」カンファレンスで披露された新機能として注目されるのが、IaaS(Infrastructure as a Service)をサポートするための新しい管理ロールとセルフサービス型ポータルだ。新たにサポートされたウィザード方式の自動プロビジョニング機能も紹介された。これは、SCVMMで仮想マシン用のサーバ、ネットワークおよびストレージのプロビジョニングを配備するのに利用する。

 さらにMicrosoftは「Dynamic Optimization and Power Management」と呼ばれる機能も導入する予定だ。これは、VMwareのDistributed Resource Scheduler(DRS)およびDistributed Power Management(DPM)に似た機能で、パフォーマンスや処理能力の要求に応じてクラスタ内で仮想マシンを負荷分散するというものだ。

改善されたロールベースのIaaS

 Microsoftの現行のSCVMM 2008の機能は、Hyper-VとVMware vSphere 4.0の仮想マシンにおけるライフサイクル管理(仮想マシンの作成、起動、停止、割り当て変更、サービス終了、削除)のみに限定されている。SCVMM 2012では、XenServerおよびVMware vSphere 4.1の仮想マシンのサポートが追加される。VMM Administratorに加え、IaaSをサポートするロールも追加される。

 TechEd Europeで開かれた「System Center Virtual Machine Manager vNext: Service Lifecycle Management for the Private Cloud」というセッションでの説明によれば、MicrosoftのActive Directoryを通じて管理される新しいロールには、代理VMM管理者、クラウドマネジャー(読み出し権限のみを有する管理者ロール)、セルフサービスユーザー(自分のロールに応じたレベルのクラウドリソースを閲覧・変更できるユーザー)が含まれる。

 SCVMM 2012では、エンドユーザーがサービスまたは仮想マシンのテンプレートを作成、共有するための機能も追加される。これらのテンプレートは、上位の管理者が構成、制限、廃棄できる。Microsoftは既に、同様のセルフサービス型ポータルツール「SCVMM Self Service Portal(SSP)2.0」を提供しているが、ユーザーらはSCVMM 2012の新しいセルフサービス機能の方が使い勝手が良いものと期待しているようだ。米Dartmouth Hitchcock Medical Centerでシニアシステムエンジニアを務めるロバート・マクシンスキー氏は「今のところ、SSPはやや荒削りだ」と話す。さまざまなレベルの管理者やユーザーに応じてロールや制限をきめ細かく設定することができないからだという。「SCVMM 2012では、複層型コンソールおよび複数のユーザーロールを設定することにより、ユーザーに応じて利用可能な機能を制限することができる」と同氏は言う。

 アイルランドに本社を置くMicrosoft系コンサルティング企業System Dynamicsでインフラチームリーダーを務めるエイダン・フィン氏によると、SSP 2.0がSCVMM 2012に組みこまれるかどうか分からないという。「私の予想では、SCVMM 2012はすべての機能を搭載するのではないかと思う。現時点でプライベートクラウドを構築したいのであれば、SSP 2.0を使えばよい。しかし2011年には、SCVMMで真の進化が見られるだろう」と同氏は語る。こういった疑問についてMicrosoftに問い合わせたが、本稿執筆時点ではまだ返答がない。

 前編では、SCVMM 2012注目の新機能である管理ロールとセルフサービス型ポータルを中心に紹介した。「Microsoft、SCVMM 2012でVMwareのvCloud Directorに挑戦(後編)」では、ストレージ管理とネットワーク管理の分野における新機能について紹介する。

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