Windows Server 2008のフェイルオーバークラスタリングを既存の環境に追加するメリットをどう考えるか? このことで悩んでいる人は少なくない。現在、IT担当者の間では、いつどのような場合にサービスの信頼性を高めるソリューションとしてクラスタリングが適しているのかをめぐって大きな混乱がある。サーバクラスタは常にIT部門によって実装されるが、時には不適切な目的で導入されるケースもある。
まず念頭に置かなければならないのは、クラスタリングを既存サービスに追加すると、コストが格段に高くなることだ。これは、次のような要因を考えれば明らかだ。つまり、クラスタリングでは共有ストレージが必要になり、ケーブル配線やネットワークが追加され、Windowsの高価なエディションが使われることになる。中でも、クラスタリングの導入に伴って、既存サービスの管理の一環として管理すべき機器が増加することから、IT環境はより複雑になってしまう。
しかし、クラスタリングが可用性の向上に役立つ場合は確かにある。クラスタリングに関する意思決定を行う際には、可用性を向上させるクラスタリングの機能を利用する目的は何かを考え、それが適切かどうかを検討すべきだ。適切な目的で利用すれば、クラスタリングの導入による複雑さの増加を補って余りあるメリットが得られる可能性がある。
サーバのマザーボードが故障すると、通常そのサーバはたちまちダウンする。そうしたハードウェア障害は多くの場合、運用されていたサービスの長時間の停止につながる。交換部品を調達して取り付けるのに時間がかかるからだ。老舗のサーバ機器ベンダーと保守契約を結んでいる場合、ダウンタイムは半日か丸1日だろう。契約を結んでいない場合は、ダウンタイムはずっと長引くかもしれない。重要な基幹サービスでは、復旧がそこまで遅れることは許されない。
フェイルオーバークラスタリングは、障害が発生したときにサービスが自動的に引き継がれる場を提供する。このため、交換部品の調達と取り付けを緊急に行う必要性が軽減される。クラスタ化されたサービスは障害発生時でも、停止時間は数時間または数日ではなく、ほんの数秒または数分にとどまる。
それでも、この目的のためだけにクラスタリングを実装する場合は要注意だ。最近のサーバのハードウェアでは、複数のレベルで冗長性が確保されている。HDDのRAID化やネットワークカードのチーミングが行われ、一部のサーバでは内部コンポーネントも冗長化されている。これらにより、コンポーネントの障害でシステム全体が停止するという深刻な事態に陥る可能性は減少している。つまり、必要な冗長性をサーバのハードウェアが既に備えている可能性がある。
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