高品位通話を実現する「HD VoIP」はコミュニケーション改善に役立たない?外国語の訛りは音質改善で克服できるか

より高品質な音声通話を実現するHD VoIP。ベンダーは、これによってコミュニケーションが改善すると主張している。一方、その意見に異を唱える声もある。

2011年09月05日 09時00分 公開
[Jessica Scarpati,TechTarget]

 こもった音の聞き取りづらい通話は、電話をかける側にとっても受ける側にとっても、いら立たしいものだ。相手の言うことを理解しようと耳を澄ませたり、発言を何度も聞き返されたりして、ストレスがたまる。その上、相手が強い訛りで話すとなれば、コミュニケーションは完全に破綻しかねない。一部のVoIP(Voice over Internet Protocol)ベンダーは、HD VoIPを使えば高品質な音声が提供されるため、グローバル経済におけるコミュニケーション改善に役立つと主張している。グローバル経済では、地球上のどこか遠くの場所にいる同僚や取引相手と電話で話さなければならず、その相手の言語能力レベルも実にさまざまだ。

 職場環境のグローバル化が進み、より明瞭かつ高品質な音声に対するニーズが高まっていることを受け、米Siemens Enterprise Communicationsは目下、HD VoIPの標準コーデックである「G.722」(7KHzの広帯域音声を扱える)のサポートを再構築中だ。

 「話者が自国語のアクセントで外国語を話すと、ネイティブスピーカーには理解しづらい場合がある。その上、通話状態が悪ければ、聞き取るのは一層難しくなる」とSiemensの上級マーケティングマネジャー、スーザン・エリック氏は言う。「通話中に相手の言ったことを理解できなかったり、聞き返しづらかったりして、聞きそびれてしまったことの中には、基幹業務にかかわる重要な情報が含まれていないとも限らない」とさらに同氏。

 Siemensは最近、HD VoIP対応のローエンドのSIP電話「OpenStage 5」を発表した。さらに同社は既存の製品についても、G.722をサポートする全てのIP電話を「AudioPresence HD」という商標名に統一した。エリック氏によると、AudioPresenceという名称はどれか特定のソフトウェアや製品の名称ではなく、SiemensのHD VoIP対応IP電話が「イマーシブな品質(実体験のように感じられる高い品質)」を備えていることを表すことが狙いという。テレビ会議システムのベンダーが自社のイマーシブなHD動画システムを「テレプレゼンス製品」と呼んでいるのと同じような感覚だ。

 HD VoIPは広帯域オーディオとも呼ばれ、標準化された音声コーデックやプロプライエタリな音声コーデックの総称だ。従来の狭帯域コーデックよりも圧縮を少なくすることで、より忠実度の高いオーディオを提供し、より回復機能の高いVoIPトラフィックを提供することを目指した規格だ。

HD VoIPで訛りは本当に聞き取りやすくなる?

 「お互いのネイティブ言語を滑らかに話すことのできないユーザー同士の不便で厄介なコミュニケーションの問題をHD VoIPが解消できる」という考えには、誰もが同調しているわけではない。

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