PBXからVoIPに移行した企業ユーザーは、「生産性向上や長距離電話代の節約で大きなメリットがあった」と振り返る。
法律事務所の米Brinks Hofer Gilson & Lioneは2年半ほど前、旧式のRolm PBX(内線交換機)を捨てて全社的にVoIP(Voice over IP)を導入すべき時だと決断した。
ロッド・セガシーCIOによると、移行は長いこと先延ばしになっていたという。17年目になるPBXは業務上、年中無休で稼働させる必要があり、同社が支払う技術者の超過勤務代や外部業者のサービス料、部品代はかさむ一方だった。さらに、移動や増設、変更のため、2カ所の拠点で配線の変更が必要だった。
8カ月掛けてVoIP市場を調査した後、Brinksは米AvayaのVoIPプラットフォームを選定。VoIPのメインシステム、スイッチングバックボーン、補助用の社外バックアップシステムを含む基本インフラを2006年1月に導入した。2007年の初夏までには「厳密に金銭上の観点から見て“完全以上”のROI(投資収益率)を達成した。生産性向上も含めると、ROIは初日から上回っていた」(セガシー氏)という。
セガシー氏によると、長距離通話料金だけでも月額1万8000ドルを回収できた。オフィス間通話はすべて同じ専用のDS1(T1)回線を利用した社内電話になり、料金が掛からなくなった。国際電話もほとんどがVPN接続経由で無料になった。
長距離電話代の削減に加え、「follow me」(通話を自動的にユーザーの端末または所在地に転送する)や統合型メッセージングといったIPテレフォニーアプリケーションが生産性上もたらしたメリットは大きかった。例えば最近日本に出張した社長は、本社にかかってきた顧客からの電話をノートPCのIP電話で受けることができ、大いに感心していたという。
過去数年の間にVoIPは、先端の技術からテレフォニーにおいて避けることのできない次のステップへと進歩した。「旧式の設備の入れ替えや新しい設備への移行では、ほとんど選択の余地なくIPになる」と、米Nemertes Research Groupの主席リサーチアナリスト、アーウィン・レザー氏は言う。
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