IPテレフォニーシステムをレガシーシステムに統合することに関しては、多くの問題が絡んでいる。複数のベンダーが関係している場合はなおさらだ。
質問:企業の通信・ネットワーク管理部門が抱えている課題の中で、VoIPベンダーが解決に特に力を入れている問題は何でしょうか。
この質問は基本的に、IT部門に関連した問題だ。恐らく最も厄介な問題は、その企業のネットワーキングの文化がデータ中心型か音声中心型かということだろう。従来の環境では、両者はそれぞれ独立したシステムとして運用され、それぞれ独自のスタッフ、予算、優先課題が割り当てられていた。音声ネットワーク部門の力が強い企業では、IPテレフォニーに対する抵抗が大きい。IPテレフォニー化が進むと自部門がお払い箱になる恐れがあるからだ(事実、その通りだ)。彼らは、VoIPはTDM(時分割多重方式)に取って代わることはできないと考えており、音声をデータネットワークに移行させるという統合戦略には消極的である。逆に、データネットワーク部門の方が強い企業では、ネットワークの統合とVoIP推進の理由ははるかに直感的なものであり、IPテレフォニーへの道筋は容易かつ迅速に開かれるだろう。
現実的には、IPテレフォニーシステムをレガシーシステムに統合することに関して、多くの問題が絡んでいる。複数のベンダーが関係している場合はなおさらだ。PBX(内線交換機)であれKTS(ボタン電話機)であれ、音声のレガシーシステムは閉じた技術を用い、かつプロプライエタリで柔軟性に欠けるため、VoIPを取り込むのが難しい。IPテレフォニーは本質的にその逆で、オープンかつ標準技術ベースで柔軟性がある。このため、システムを全面的に刷新するのでないかぎり、移行当初は多少の混乱が生じることになり、この点を移行反対の理由として挙げる人もいるだろう。
もう1つの重要な課題が信頼性である。VoIPはまだ進化中の技術であり、技術力が高い企業でもVoIPの信頼性という問題に直面するだろう。この問題において最も基本的な要素が品質だ。VoIPを導入するに当たっては、欠点がほとんどないと誰もが認めるTDMに匹敵する音声の品質と信頼性が保証されるという確信がなければならない。テレフォニーは企業にとってミッションクリティカルなインフラであり、これについては「ベストエフォート」などと悠長なことは言っていられない。また、同一ネットワーク上で音声がデータアプリケーションと競合したり、音声の優先順位がたまに2番目になったりするということも企業には受け入れられない。
信頼性という問題は、通信・ネットワーキングに関連したほかのさまざまな側面(セキュリティ、拡張性、柔軟性など)にも及ぶ。こうした部分で解決すべき課題はまだたくさん残されている。
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