導入企業が伝授
Office 365導入、成功のための7つの教訓
Office 365導入で注意すべきポイントは何だろうか。これからOffice 365の導入を考える企業のために、導入から1カ月がたつ企業の担当者が7つの教訓を伝授する。
「Office 365」への移行をお考えなら、かつて筆者の会社でも経験したように、「これはいい話だろうか?」「必要とするサービスは含まれるだろうか?」「本当に宣伝通りなのだろうか?」といった疑問を恐らく持たれていることだろう。
Office 365による新しいコンピューティングにビジネスプロセスをどのように合わせていくかについては私もまだ模索している段階だ。しかし、弊社では実にシームレスにデータを移行できたし、これまでのところ総じてOffice 365に満足している。
本稿では、この米Microsoftのクラウドベースのコラボレーション/プロダクティビティスイートの導入を考えている読者に、われわれが導入からこれまで1カ月の間に学んだことをお伝えしよう。
レッスン1:プラン選択前に十分な調査を
Office 365では利用するプランを選択するが、弊社は典型的な小規模企業であるため、規模だけ考えると最大ユーザー数が50人のP1で十分過ぎるくらいだ。そこで、ユーザー1人当たり月額800円という利用料に引かれ、最初はプランP1を選んだ。しかし、詳細を調べていくと、すぐにP1では弊社の要件を満たせないことに気付いた。結局、会社の規模は小さくても、弊社の場合はプランE3が必要だった。この最初の失敗については、後ほど詳しく説明する。
教訓
- Office 365のプランは、各プランの内容をくまなく調べてから選択すべし
レッスン2:試用開始前に準備を万全に
Office 365は基本的にWebブラウザで操作するため、入力しやすいサブドメイン名を確保したかった。今後何年も、ユーザーはそのドメイン名を入力することになるからだ。そのため、プランP1の試用版を登録する際に第一希望のサブドメイン名を確保できたので非常に喜んだ。しかし、最初にこのドメイン名を利用したことが、プランを後でE3に切り替えるときに問題になった。
サブドメイン名はプランP1に登録されると、ロックされてしまうのだ。弊社では後からプランをE3に変更したが、そのサブドメイン名の所有者であるにもかかわらず、90日間待たなければ、同じサブドメインをE3で利用できなかった。この問題は早期に解決されることを期待する。
教訓
- 試用開始は、正しいプランを選択できてから
レッスン3:プラン購入とExchangeの移行のタイミングを合わせる
どのプランを選んでも、ユーザーデータを入れなければ、Office 365は高価で中身がない入れ物にすぎない。サービスを利用していないのに料金を支払うことにならないように、プランを導入したら直ちにExchangeの移行を開始できるようにすることが重要だ。Exchangeの移行は時間がかかるため、抜かりなくOffice 365への移行スケジュールとタイミングを合わせよう。
教訓
- 評価したプランは、Exchange 2010にデータを移行する準備ができてから購入すべし
レッスン4:サードパーティーの移行ツールを検討する
Office 365には移行ツールが付属している。これらのツールは、Exchangeから移行をする場合には、とてもよくできており役に立つ。しかし、Exchange以外のメールプラットフォームから移行する場合は、有用性が低い。
弊社は米GoogleのGmailを利用していたため、Office 365の無償機能を使って実行できる移行は“IMAP移行”だけだった。残念ながら、この移行オプションでは連絡先や予定表アイテムを移行できない。このようなデータを移行するにはサードパーティーの製品が必要だ。そこで弊社は、米Quest SoftwareのOnDemand Migration for Email(1ユーザー当たり10ドル)を利用した。これは完全にクラウドベースの製品で、2回のクリックで、あらゆるデータをバックグラウンドでシームレスに移行できる。
教訓
- 追加費用が発生しても、便利なサードパーティー製品は大いに活用すべし
レッスン5:テクニカルサポートの必要性を軽視しない
P1で提供される無償のオンラインサポート以上のテクニカルサポートを必要としたことも、弊社がP1ではなくE3を選んだ理由の1つだ。
チュートリアルのビデオや延々と続くコミュニティーフォーラムのディスカッションなど、Office 365に関する情報は山のようにある。しかし、とにかく量が膨大で参照しきれないし、Microsoftが用意したビデオの質は驚くほど低い。だが、P1で利用できるサポートはそれだけだ。
Microsoftのパートナーも、Office 365についてはまだ学習している段階であるため、パートナーによるサポートの質もばらつきがあると思われる。(Eシリーズのプランの説明通りなら)Microsoftのテクニカルサポートは、一流で、問い合わせへの対応も早く、具体的な解決策を提示できる。
教訓
- 料金が安ければ安いほど、提供されるテクニカルサポートは限られる。
レッスン6:URLの早見表を作成する
Office 365に対して筆者が最も不満を感じている点は、各コンポーネントへのアクセスに必要なURLが統一されていないことだ。例えば、SharePointにはwww.sharepoint.com、Outlookにはwww.outlook.comで始まるURLを使う。また、Office 365のアカウントの管理にはportal.microsoftonline.comで始まるURLを使い、ユーザー名にはonmicrosoft.comが付く。
SharePointの管理に使うURLは<サブドメイン>-admin.sharepoint.comだし、Exchangeに至ってはsn2prd0702.outlook.comのような関連性がよく分からないURLだ。このようにURLが煩雑なだけでなく、Office 365のコンポーネント間ではUIにも統一感がない。一言でいうと、全体的なエクスペリエンスにもう少しまとまりがほしい。
教訓
- URLの早見表を作成する。Office 365のURLとUIが統一されない限り、管理者にもエンドユーザーにも早見表は必要になる。
レッスン7:SharePointはユーザーが管理する必要あり
弊社では別のドキュメントコラボレーションスイートを使用しているため、管理面でも運用面でもSharePointは複雑で、対応に苦慮した。
外注先を弊社のワークスペースに招待するだけでも、やはり多くの設定が必要だった。しかも、この設定には必須項目でありながら、オンラインドキュメントで発見できなかった項目もあった。また、ワークスペースを構築するまでに、少なくとも2回、完全に構築をやり直すことになった。これらはいずれもSharePointが問題なのではなく、弊社に経験がなかったことが原因だ。SharePointの経験がない場合は、まず十分にSharePointについて学習し、知識を身に付けてからOffice 365への全面的な移行に着手するべきだろう。
教訓
- SharePointがホステッドサービスであっても、SharePointの管理について十分な知識が必要だ。
SharePoint関連記事
Office 365に移行する価値はあるか?
一言でいうと、「価値はある」。幾つか見逃せない不便な点や軽い失敗はあったが、弊社はこれまでのところOffice 365に満足している。弊社では、ドキュメント管理やユニファイドコミュニケーションに対するOffice 365の包括的なアプローチから、既に恩恵を受けている。今後、長きにわたりこのサブスクリプションサービスを利用し、実りある関係を築ければと思う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[ポールトゥウィン株式会社] 開発スピードと品質を両立、DONUTSが実践する「ハイブリッドなQA体制」の構築術 -
製品レビュー
[ポールトゥウィン株式会社] 開発スピードと品質は両立できる? DONUTSの「ジョブカン」に学ぶQA戦略 -
市場調査・トレンド
[レッドハット株式会社] 「プラットフォームエンジニアリング」調査レポート:利点・課題・未来像を詳説 -
市場調査・トレンド
[レッドハット株式会社] 生成AI活用のためのテクノロジー基盤、構築に際しての7つの検討事項とは? -
製品資料
[レッドハット株式会社] ビジネスの現場へのAI導入と活用、何から始めてどのように進めるべきか?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
2
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
-
3
「RAGの利用」に関するアンケート
-
4
IT製品の導入に関するアンケート「PC&デバイス」編
-
5
IBM iのブラックボックス化を打破 資産継承と進化を実現する「IBM Bob」の実力
-
6
Nutanix+Everpure構成の実力は? 既存資産を生かす「脱VMware」の検証
-
7
脱VMwareか、継続か? 仮想化ソフト主要6製品の料金とライセンスを徹底比較
-
8
BI導入の成否はプロジェクト企画段階で決まる!【第3回】
-
9
67%が「手動起動」に依存? AI活用を阻む“自律運営の壁”
-
10
狙われるAIをどう守るか 早稲田大学 森教授と語るセキュリティガイドライン
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
2
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
3
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
4
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
5
5分で分かる Microsoft 365のデータ損失に備えるためのバックアップの仕組み
-
6
AI活用を停滞させる「2:6:2の壁」を乗り越えるためのポイントとは?
-
7
ソフトウェア開発の属人化と手戻りをどう防ぐ? 速さと品質を両立させる方法
-
8
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
9
複雑な組織構造で一度は頓挫した電子化、東京女子医科大はどう全学展開したか
-
10
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー