顧客情報や契約情報など、失うことが許されないデータは数多い。災害時にデータを守り抜くことは、事業継続に関わる重要な経営課題だ。解決に役立つ具体策を紹介する。
データを災害から守り抜くには、その重要性に合わせて二重三重の保護が必要であることは言うまでもない。基本的な対策となるのがバックアップだが、障害対策と災害対策は考え方が異なる。障害対策は、即座に復旧するためにバックアップデータを本番環境の近くに置くのが基本的な考え方となる。ただし災害対策の場合、リスク分散を考慮すれば、データを本番環境とは別の場所で保管するのが適切だ。
災害対策としてのバックアップの手段はさまざまであり、バックアップ対象のデータや自社のシステム環境によって対策が変わる。自社のシステムにとって必要十分な対策を、下記の解決策から選択してほしい。
テープメディアは、低コストかつ大容量のデータを保管できるバックアップ手段だ。可搬性の高さや長期保管が可能なのも利点である。本番環境から遠く離れた場所でテープメディアを保管するのが、基本的なアプローチとなる。
ただし、テープメディアを輸送するのに時間がかかるのに加え、災害時には交通網の遮断などで輸送ができなくなる場合があるので、業務で頻繁に利用するデータのバックアップには向かない。輸出入関係の取引情報をはじめとする、法制度で長期保存が義務付けられているデータのアーカイブ用途で利用するのが最適だ。
ネットワークを経由した「遠隔レプリケーション」は、発生したデータを本番環境と遠隔サイトに同時保管するのが特徴だ。災害の影響で本番環境のシステムが故障した場合でも、故障の直前までのデータが遠隔サイトに残る。そのため、業務で頻繁に利用するデータのバックアップに役立つ。
最近は、WANに負荷を掛けないように重複データを排除する仕組みや、データを圧縮して転送容量を最小限にする技術、レプリケーションの際にデータの不整合をなくす機能を搭載した製品が登場している。
本番環境から離れた土地に自社資産のデータセンターを持っていなかったり、遠隔地にあるデータセンター事業者と契約していない場合、クラウドストレージを利用するという方法もある。設備の投資コストや運用作業の負荷を軽減でき、システムの成長に合わせた投資額でレプリケーション/バックアップを利用できる利点がある。
最近は、多くのベンダーがクラウドストレージを利用したリモートバックアップサービスを提供している。また、データセンターの場所を明記するサービスも増えてきた。クラウドサービスの利用が会社から許可されていることが前提にはなるが、コストや導入期間を考慮すれば、クラウドストレージは有効な選択肢となる。
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