【連載コラム】医療ITの現場から
診療所ICT化の鍵を握る3つのコミュニケーション
診療所におけるICT化の目的は“業務効率の向上”“関係者間の情報共有の促進”に大別される。中でも多職種の医療従事者が連携するチーム医療においては、コミュニケーションの質の向上にICTが役立つ。
診療所では、ICT(Information and Communication Technology)によって「スタッフ間」「患者」「地域間」におけるコミュニケーションの質を高める試みが始まっています。今回は、それぞれのケースでICTがどう活用されているかを見ていきましょう。
1. スタッフ間のコミュニケーション
医師や看護師、コメディカル、医療事務などスタッフ間のコミュニケーションは、従来、カルテや伝票など紙でのやりとりが中心でした。これらのコミュニケーションの流れをデジタル化することで効率化を図ろうとする仕組みがオーダーリングシステムや電子カルテです。
これまで診療所では、電子カルテをレセプトコンピュータ(レセコン)の延長線上に位置付けていたため、レセコンの代替品として電子カルテを検討するケースが多く、事務処理の効率化に注目が集まっていました。このことが電子カルテの普及を阻害していたとも考えられます。
しかし、現在の電子カルテはスタッフ間のコミュニケーションを円滑にするとともに地域の医療機関とつながる仕組みとしても活用できる機能を備えています。
2. 患者とのコミュニケーション
一方、患者とのコミュニケーションについては、iPadなどタブレット端末を活用する動きが活発化しています。スタッフ間と同様、これまで患者とのやりとりも紙をベースに行われてきました。電子カルテを導入してもこの部分はあまり変わらず、問診票や患者への説明用資料などは全て紙を用いていました。それが、近年のタブレット端末の普及によって環境が一変し、タブレット端末を利用して患者と容易にコミュニケーションを取れるようになりました。代表的な例として、iPadを利用した問診システムやインフォームドコンセントツールなどが挙げられます。
3. 地域間のコミュニケーション
政府の後押しもあり、在宅医療に取り組む医療機関が年々増えています。それに伴い、在宅医療分野のICT市場も急速に成長しています。在宅医療は診療所のみで完結せず、訪問看護ステーションや後方支援病院などの医療施設、居宅介護支援事業所、ヘルパーステーション、高齢者施設といったさまざまな施設間(スタッフ間)の連携が必要になります。つまり在宅医療の推進とは、政府が描いてきた地域包括ケアシステムにおけるネットワークの構築を行うことに他ならないといえます。
ICTは「誰でも使える」が前提条件
しかしながら、システムは誰でも使いこなせるわけではありません。PCが苦手な医療従事者にとっては、インフラが整備されても操作がおぼつかなければ、かえって負担になるだけです。重要なのは誰でも使いこなせるような操作面での配慮です。優れたシステムを構築したとしても、簡単でなければ誰も使わないというのが現実だといえます(関連記事:補助金を活用する“医療ICT化”後に待ち受ける壁)。
この部分にもICTが大きな影響をもたらしています。その代表格がiPadに代表されるタブレット端末です。実際、PCを見せても一切興味を示さなかった方でも、タブレット端末であれば直感的に「触ってみよう」という意識が生まれるようです。iPadによる問診システムを導入している医療機関に取材に行ったとき、ある医師から言われたのが「慣れれば何歳でも使えますよ。駅で切符が買えれば、タブレットは使えるのです」という言葉です。この言葉に、診療所におけるICT化の普及の鍵があるように感じました。
メディプラザは9月29日(日)、「クリニックITフォーラム2013」(東京 お台場 日本科学未来館)を開催します。3回目を迎えるフォーラムでは、本稿で紹介したコミュニケーションの質を向上するシステムを多数展示。また「在宅医療のICT化」「電子カルテのクラーク運用」「iPad/iPhoneなどのスマートデバイス活用」「レセプト審査強化のIT活用」などのセミナーが行われる予定です。
→ 詳しくはこちらまで(来場者は医療従事者限定)
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