停電発生時にも最小限のダウンタイムで済んだ
Windows XP移行がきっかけ、大規模病院がVDI導入を決意した理由
付属医療機関30カ所を結ぶ医療機関ネットワークに、32カ所の地域診療所を追加した大規模病院。VDI(仮想デスクトップ環境)導入や膨大なデータ量の適切な管理を可能にしたシステム基盤とは?
米St. Luke's Health System(St. Luke's)は、米Nutanixの「Nutanix Virtual Computing Platform」のストレージノードを実装して、30カ所を超える付属医療機関のストレージを仮想化している。同社の医療機関ネットワークで2.4P(ペタ)バイトの共有ストレージを分散している。
St. Luke'sは米アイダホ州ボイシを拠点とする医療機関ネットワークだ。これまでは米EMCの機器を使用していたが、2013年10月にNutanixのハイパーコンバージドプラットフォームに移行して仮想デスクトップインフラ(VDI)を導入した。Nutanix Virtual Computing Platformは、コンピューティングやネットワーク、ストレージ、仮想化のリソースを1つの筐体に統合している。
共有ストレージの分散による効果とは?
St. Luke'sは、アイダホ州のボイシとツインフォールズにあるアクティブ/アクティブ構成のデータセンターに8台のNutanixストレージノードを均等に分散して配置している。このクラスタ環境では、1200個のビジネスアプリケーションと臨床アプリケーションをサポートしている。
St. Luke'sでは、VDIプロジェクトも急速に拡大している。2014年7月に32カ所の地域診療所を同社のネットワークに追加したが、同年10月1日までに2つの電子医療記録システムと他のストレージを統合する必要があった。各施設はアイダホ州南部地方に点在し、WAN(ワイドエリアネットワーク)を通じてNutanixクラスタに接続している。
St. Luke'sはNutanixのストレージノードを配置することで、一元管理している2.4Pバイトのストレージを分散できるようになった。そう語るのは、インフラと運用の責任者を務めるブレット・テイラー氏だ。
「Nutanixストレージの導入初日から、St. Luke'sの全サービスに加え、2つの新たな電子カルテシステムを確実に提供しなければならなかった。また、導入初日から高い可用性を実現する必要もあった。このようなスピードで統合を行うのは前例がないことだったが、当社のインフラが障害になることはなかった。あの時点でNutanixのストレージを配置していたことは当社にとって大きくプラスに働いた」(テイラー氏)
VDI導入のきっかけとなったWindows XPのリプレース
St. Luke'sが使用しているEMCストレージの寿命は近づいている。同社では、EMCの「EMC VMAX」のSAN、「EMC VNX」ストレージ、「EMC Isilon」のNAS、それから「Data Domain」のバックアップ/重複排除機能を導入している。
当初St. Luke'sは、米Microsoftの「Windows 7」プラットフォームへのアップグレードを支援するために3000人のユーザーにVDIを展開した。Nutanixのストレージノードに移行した理由は、環境の安定を図って、ストレージの複雑さを抑える必要が生じたことだとテイラー氏は語る。
「サポートできないほどアプリケーションが増えていた。St. Luke'sが医療機関を買収するにつれてアプリケーションの数は急激に増えた。だが、買収した医療機関のアプリケーションを全て合理化できているわけではない。当社が重視したのは、環境の安定と持続可能性を図ることだ。この2点を実現することで、リカバリ中のあらゆることについてストレージエンジニアが中心にいなくてはならない状況を解消したかった」(テイラー氏)
Nutanix Virtual Computing PlatformはSSD層をSATAドライブの手前に配置している。また、Nutanixは転送中のデータを保護するために「Nutanix Distributed File System」(NDFS)を開発した。NDFSは、データベースでトランザクションをコミットする前にNutanixクラスタの全ノードの整合性が確保されていることを確認する。
最近、ツインフォールズにあるSt. Luke'sのデータセンターで停電が発生した。テイラー氏によると、従来のストレージはリカバリに約12時間を要したが、Nutanixのストレージシステムでは最小限のダウンタイムでデータをフェイルオーバーできたという。
「ノードがとにかく復旧したため、実際にはNutanixに連絡してノードが機能していることを検証する必要があった。Nutanixのストレージシステムは、書き込みのトランザクションがコミットされた時点で、全てのトランザクションが有効であることを保証した。これは、まるで2フェーズのコミットプロセスのようだった」(テイラー氏)
大幅なコストの節約とスケーラビリティ
従来のストレージシステムと比較すると、Nutanixのサービスを導入したことによって初年度には約100万ドルを節約することができたとテイラー氏はいう。この数値には医療サービスプロバイダーの生産性向上やメンテナンス/ハードウェアのコスト削減によるものも含まれている。
Nutanixのプラットフォームは、2013年にMicrosoftの「Microsoft Hyper-V」ハイパーバイザーのサポートを追加している。テイラー氏は、米VMwareのVMware環境を段階的に縮小することで、さらなるコスト削減を見込んでいる。
「当社はVMwareのサービスをかなり利用している。また、NutanixはVMwareと実に相性が良い。だが、VMwareのサービスを利用することに特別大きなメリットがあるとは考えていない。つまり、VMware税を払っているといっても過言ではない。当社はVDIをHyper-Vプラットフォームに移行する計画を立てており、クラウド戦略には『Microsoft Azure』と『Office 365』を使用することに決めた」(テイラー氏)
St. Luke'sは2015年5月からNutanixストレージノードの数を「最低でも倍増させる」計画を始動している。その目的は、入院患者を対象とした薬局用アプリケーションのワークロードをサポートし、病院や診療所で使用しているデスクトップPCをシンクライアントに置き換えることだ。
「当社はNutanixと協力し、Nutanixのプラットフォームを各地域に設置して当社の高可性環境をレプリケートできるアーキテクチャを構築中だ。また、ネットワークでリモート障害が発生した場合に備えてVDIをオンサイトに設置することも検討している」(テイラー氏)
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