連載第2回「『DDoS攻撃=大規模攻撃』は勘違いだった? 実際の攻撃手法はこれだ」では、「DDoS攻撃」(分散型サービス停止攻撃)の具体的な手法について解説をした。DDoS攻撃に対しては、どのような対策をしていけばいいのだろうか。
DDoS攻撃の多くの割合を占めるのが、主にネットワーク層(レイヤー3)を狙い、大量のトラフィックを発生させてネットワークを混雑させる「ボリューム型攻撃」だ。ボリューム型攻撃と一言でいっても、人によってその捉え方は大きく異なる。トラフィックが100Gbpsを超えるDDoS攻撃を想像する人もいれば、1Gbpsでも大規模だと考える人もいる。
ここでは自社が契約するインターネット接続回線のデータ伝送速度(以下、帯域)を超える、すなわち自社では太刀打ちできないトラフィックを伴うDDoS攻撃に対して、どのような対策を取ることが最適かについて話を進める。例えばインターネット接続回線の帯域が1Gbpsであれば、トラフィックが1Gbps以上の攻撃に対して、どのような対策が望ましいかということだ。
DDoS攻撃は基本的にインターネット側から仕掛けられる。そのためDDoS攻撃のトラフィックはインターネットサービスプロバイダー(ISP)を経由して自社の方へやってくる。
攻撃トラフィックがインターネット接続回線の帯域を上回ると、いかに優秀なセキュリティ製品を使おうとも、企業が自前で防御することは物理的に不可能になる。従って自社のインターネット接続回線が埋め尽くされる前、すなわちISPにおいてDDoS攻撃を防御してもらうことが、非常に有効な手段となる。
多くのISPはこうしたニーズに応えるべく、DDoS攻撃に対処するための「DDoS攻撃対策サービス」(各社で名称は異なる)を提供している。
ISPによって、DDoS攻撃対策サービスの内容は異なる。特に考慮すべきは、ISP側で、どの程度のトラフィックまでのDDoS攻撃を防御できるかだ。対処可能なトラフィックの規模をサービス料金に反映しているケースもある。
とはいえISPやそのDDoS攻撃対策サービスの選定時に、あまりにも過度なリスクを考慮すると意思決定の遅延につながり、サービス導入までの時間がかかり過ぎてしまう。例えば、いまだ発生していない1Tbpsの攻撃がもし起きたらどうするか、などと考え出すと議論が進まなくなってしまう。
アーバーネットワークスが発行した調査結果「第12版年次ワールドワイド・インフラストラクチャ・セキュリティ・レポート」によれば、2016年に発生したDDoS攻撃の99%は10Gbps以下だ。現実的なデータを基に、リスクとコストが釣り合う点を探すことが非常に重要になる。
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