大規模化が進む分散型サービス妨害(DDoS)攻撃。だがトラフィックの急増を伴う大規模攻撃より、アプリケーション層を狙った小規模攻撃の方が危険だと専門家は指摘する。
分散型サービス妨害(DDoS)攻撃が進化を続けている。企業が恐れてきたのは高帯域のネットワークに対する力ずくの攻撃だが、小規模のアプリケーションレベルのDDoS攻撃の方がより一般的で、危険性も高いことが分かってきた。
ネットワークに対する大規模DDoS攻撃は大量の帯域を占有し、壊滅的な障害を引き起こすこともある。これに対して小規模のDDoS攻撃は、小さなパッケージがより大きな問題をもたらしかねない実態を示す。小規模DDoS攻撃では、攻撃者は本物のユーザートラフィックを装い、偽のIPアドレスではなく正規のIPアドレスを使って正体を隠す。
アプリケーション配信とセキュリティを手掛ける米Radwareがまとめた、世界のアプリケーションとネットワークセキュリティに関する2011年版の報告書によれば、2011年に起きたDDoS攻撃のうち、76%は帯域幅が1Gbpsに満たず、10Gbpsを上回ったのは9%のみだった。同報告書では、さまざまな企業を標的としたDDoS攻撃40事例を分析。DDoS攻撃の56%はネットワーク集中型ではなく、アプリケーション指向だったことも分かった。
米Gartnerの副社長兼調査アナリスト、ジョン・ペスカトーレ氏によれば、DDoS攻撃は全体的に増加傾向にあるという。特定のWebサイトを狙ったアプリケーションレベルの攻撃が多いのは、極めて単純かつ非常に高度なDDoS攻撃の手口が登場したことに起因するようだと同氏は語る。
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