少子高齢化や疾病構造の変化、医療の高度化などを背景に医療費増大が問題視されている日本。医療保険制度の持続可能性を確保するために、医療情報共有基盤の重要性がますます高まっている。こうした中、重要な存在となっているのが「EHR」(Electronic Health Record)や「PHR」(Personal Health Record)だ。EHRは、病院の電子カルテなどに保管されている診療情報を複数の医療機関で共有する仕組みのこと。PHRは、患者自身が医療情報や健康に関する情報を収集・管理して活用することを目的とした医療情報の電子化基盤を指す。特にPHRの分野では近年、さまざまなベンダーや自治体が独自のツールを開発し、普及に励んでいる。
IT活用を推進する日本政府の動きに合わせ、厚生労働省やさまざまな研究会で2000年初頭から盛んに議論されていたことがある。病院や検診施設、薬局、フィットネスクラブ、一般家庭などに散在する健康情報を集約して予防医療に活用し、医療費の抑制につなげ、QOL(Quality of Life)の向上に役立てようという未来像だ。2018年の現在、環境整備に向けたガイドライン策定や実証事業が進んでいる。だが、いまだ国民の多くにとってPHRが身近な存在とは言い難いのが実情だ。
とはいえ、全国規模でなく特定地域の範囲においては広く普及するPHRシステムが登場し始めている。2017年10月から稼働している千葉大学医学部附属病院の医療・介護連携システム「SHACHI」(シャチ)もその1つである。
SHACHIは、PHR/EHRにおける2つの課題解決を目指して構築されたシステムだ。その課題とは「医療情報連携にかかるコストの低減」と「持続可能性の高いビジネスモデルの実現」である。前編となる本稿では医療情報連携にかかるコストの中でも、地域医療連携の壁となっていたベンダーロックインの問題に焦点を当て、SHACHIがどのように解決したかについて紹介する。
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