ビッグデータクラスタやPolyBaseなども強化
徹底解説:SQL Server 2019で追加・強化された驚きの機能とは(2/2 ページ)
データベースエンジンの強化
新しいビッグデータクラスタ機能によって、SQL Server 2019のビッグデータ分析サポートが強化された。だが、SQL Server 2019の中核がRDBエンジンであることに違いはない。
SQL Server 2019はデータベース互換性レベルが150に設定されている。互換性レベルに関するOPTION(USE)のヒント句(SQLの実行計画を操作するオプション)により、クエリの正確な互換性レベルが決定されるようになった。軽量な「クエリプロファイリングインフラ」は初期設定で有効になっている。また、新しい静的データマスクでは、SQL Serverデータベースのコピーに含まれている機密データを取り除くことができる。UTF-8文字エンコードもサポートする。
バッチモードの新機能は、クエリでデータを一度に1行ずつでばなくバッチで処理できるようになった。以前のリリースではバッチモードは列ストア(カラムストア)クエリでしか使えなかった。オンラインインデックスの作成が再開可能になり、インデックス作成操作を一時停止した後に、中断した場所から再開できるようになった。
以前のバージョンのSQL Serverでは、クラスタ化した列ストアインデックスはテーブルの処理を止めたオフラインでしか操作できなかった。SQL Server 2019では、クラスタ化列ストアインデックスをユーザーがオンラインで作成できる。列ストアインデックスの圧縮見積もりは次のコマンドで取得できる。
sp_estimate_data_compression_savings
新しい「APPROX_COUNT_DISTINCT」関数は、全データを読み取る代わりに統計を使って列内の個別値の総数を取得する。その結果は実際の値との誤差が2%以内になると推定されている。
SQL Server 2019は「SQL Server Machine Learning Services」というフェイルオーバー(冗長性確保)のクラスタも利用できる。セキュリティが確保された「Always Encrypted」により、SQL Server 2019では暗号化操作と暗号化解除操作を実行できる。その際、データをサーバ外に移す必要はない。これにより、Always Encryptedを使用して暗号化されたデータをLIKEクエリや集計関数で使用できるようになる。複数のシステムやスペースをまたぐ処理を一連の作業として扱う「エンクレーブ」の場合は、その呼び出し元プロセスからはブラックボックスに見える。エンクレーブ内のデータを暗号化解除しても、呼び出し元プロセスからその値を見ることはできないため安心だ。
Always On Availability GroupとKubernetes
ミラーリング手法の一つである「Always On Availability Group」(AG)の強化もSQL Server 2019に含まれている。最大の変更は、Windowsのフェイルオーバークラスタの代わりにKubernetesをオーケストレーション層に使用してAGを構成できることだ。Kubernetesを使用して、Dockerコンテナ上のSQL Server 2019で構成されたAGを作成できる。ここれは技術的には新しい機能ではない。だが、SQL Server 2019では、AGの正常性チェックと同じ演算子パターンを使って、強化されたインスタンスの正常性チェック監視を有効化できる。KubernetesでのSQL Server可用性グループの概要を図3に示す。
Kubernetesクラスタは管理に使用されるマスターノードと最も小さな構成単位であるPodを実行するワーカーノードで構成される。各Podは1つ以上の関連コンテナを持つことができる。SQL Server可用性グループは複数のノードにまたがることが可能で、ノードとPodの両方に自動フェイルオーバーを提供できる。
AGでは最大5つの同期レプリカが利用できる。Server 2017では3つが限界だった。同期レプリカはAG内での自動フェイルオーバーを実現する。5つの同期レプリカを含むAGには、1つのプライマリーレプリカと4つの同期セカンダリーレプリカが存在する。また、セカンダリーレプリカからプライマリーレプリカに接続をリダイレクトする新機能もある。この機能により、リスナーが含まれていない接続文字列にサーバが指定されていても、それとは無関係にクライアントの接続をプライマリーレプリカに誘導できるようになる。
SQL Server on LinuxとDockerコンテナの強化
SQL Server 2019リリースには最新強化の一環として、トランザクションレプリケーションと分散トランザクションが利用できるようになっている。
SQL Server on Linuxインスタンスは、トランザクション、マージ、スナップショットのレプリケーショントポロジーに、パブリッシャー、ディストリビューター、サブスクライバーとして参加できる。「Microsoft分散トランザクションコーディネーター」(MSDTC)を利用すれば、SQL Server on Linuxインスタンスで分散トランザクションの実行もできる。この機能を実現するために、MicrosoftはSQL Serverプロセス内で実行されるMSDTCのLinuxバージョンを新たに作成した。
SQL Server on Linuxと「Active Directory」(AD)間での統合も改善された。SQL Server on LinuxインスタンスではADを使用してユーザーを認証できる。またレプリケーション、分散クエリ、可用性グループにもADを使える。LinuxバージョンのSQL Server 2019では、サードパーティーのADベンダー向けに「OpenLDAP」を利用できるようにしている。データベース内での機械学習も新たに利用可能だ。
SQL Server 2019のコンテナサポートにも注目すべき強化が幾つか加えられている。そのうちの1つが「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)を認定した新しいDockerコンテナイメージだ。これは次のコマンドで使用できる。
docker pull mcr.microsoft.com/mssql/rhel/server:2019-CTP2.1
Microsoftは新しいマスターコンテナレジストリ「Microsoft Container Registry」を作成した。これはMicrosoft製品関連のコンテナを配布するための公式なコンテナレジストリだ。このコンテナレジストリには固有のカタログが用意されておらず、既存のカタログを流用する意図がある。例えば、Dockerの「Docker Hub」、Red Hatの「Red Hat Container Catalog」、Microsoftの「Azure Marketplace」などを利用できる。イメージをダウンロードするには、次のようなdcoker pullコマンドを使用する。
docker pull mcr.microsoft.com/mssql/server
SQL Server 2019管理ツール
以前のバージョンのSQL Serverと同様、SQL Server 2019でも「SQL Server Management Studio」「SQL Server Data Tools」「Azure Data Studio」が主な管理ツールと開発ツールになる。これらのツールは全て無料でダウンロードでき、メインのSQL Server 2019から切り離しても利用できる。これらは、SQL Serverとは別の、より頻度の高いリリースサイクルで開発、提供される。
新しいAzure Data Studioを図4に示す。このAzure Data Studioは、2018年9月にMicrosoftが一般公開する前は「SQL Operations Studio」と呼ばれていた。
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