セキュリティとネットワークの新しい製品分野「SASE」。その導入時に考慮すべきこととは何か。主要な3つの項目を紹介する。
前編「新たな製品『SASE』はどのような機能で構成されているのか?」は、調査会社Gartnerが提案した新しい製品分野「Secure Access Service Edge」(SASE:「サシー」と発音)が、どのような要素で構成されるのかを説明した。SASEはネットワークとセキュリティに関する複数の製品・サービスの機能を集約した製品分野だ。
主なSASEのメリットとして、これまで中枢ネットワーク(バックボーン)と末端ネットワーク(エッジ)に分かれていたセキュリティやネットワークの機能を一元管理できることが挙げられる。現状、バックボーンに責任を負うのはユーザー企業ではなく、通信業者やデータセンター事者、クラウドベンダーなどだ。
SASE導入を検討する企業が考慮すべき重要な事項は幾つかある。1つ目は、自社が利用するさまざまなシステムを単一ベンダーの製品・サービスで管理することが、自社にとって合理的かどうかを判断することだ。これはSASEを採用した場合のメリットである、運用を簡略化できることと、関与するベンダー数を減らせることの裏返しになる。
2つ目は、SASEが提供する機能を精査することだ。SASEベンダーはSD-WAN、CASB、VPNベンダーを前身としている場合があり、買収によって機能を追加したり、開発スピードを向上させたりしている。だがこのような取り組みは必ずしも成功しているとは限らない。
3つ目に、基本的なこととして、意思決定には導入・運用コストが重要な要素になることを頭に入れておく必要がある。
SASEは、今後成熟が見込まれる、発展途上の新しい製品分野だ。現状の自社システムが、必要な機能をまかなえている場合は、やむを得ない理由がない限り、SASEに急いで足を踏み入れるのは得策でない。いずれ訪れる収束を待つ方がよいだろう。
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