新たな製品「SASE」の導入前にこれだけは確認すべき“3大考慮点”「SASE」を解剖する【後編】

セキュリティとネットワークの新しい製品分野「SASE」。その導入時に考慮すべきこととは何か。主要な3つの項目を紹介する。

2020年08月19日 05時00分 公開
[Dave ShacklefordTechTarget]

 前編「新たな製品『SASE』はどのような機能で構成されているのか?」は、調査会社Gartnerが提案した新しい製品分野「Secure Access Service Edge」(SASE:「サシー」と発音)が、どのような要素で構成されるのかを説明した。SASEはネットワークとセキュリティに関する複数の製品・サービスの機能を集約した製品分野だ。

 主なSASEのメリットとして、これまで中枢ネットワーク(バックボーン)と末端ネットワーク(エッジ)に分かれていたセキュリティやネットワークの機能を一元管理できることが挙げられる。現状、バックボーンに責任を負うのはユーザー企業ではなく、通信業者やデータセンター事者、クラウドベンダーなどだ。

SASE導入前に考慮すべきこと

 SASE導入を検討する企業が考慮すべき重要な事項は幾つかある。1つ目は、自社が利用するさまざまなシステムを単一ベンダーの製品・サービスで管理することが、自社にとって合理的かどうかを判断することだ。これはSASEを採用した場合のメリットである、運用を簡略化できることと、関与するベンダー数を減らせることの裏返しになる。

 2つ目は、SASEが提供する機能を精査することだ。SASEベンダーはSD-WAN、CASB、VPNベンダーを前身としている場合があり、買収によって機能を追加したり、開発スピードを向上させたりしている。だがこのような取り組みは必ずしも成功しているとは限らない。

 3つ目に、基本的なこととして、意思決定には導入・運用コストが重要な要素になることを頭に入れておく必要がある。


 SASEは、今後成熟が見込まれる、発展途上の新しい製品分野だ。現状の自社システムが、必要な機能をまかなえている場合は、やむを得ない理由がない限り、SASEに急いで足を踏み入れるのは得策でない。いずれ訪れる収束を待つ方がよいだろう。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。