B2BにおけるEコマースの革新【後編】
レンタル機器企業のCX向上施策「誰にも会わない産業機器レンタル」の手段とは?
新型コロナウイルス感染症の拡大がビジネスに影を落とす中、企業はさまざまな工夫でCXを向上させ、自社の強みにしようとしている。レンタル機器企業とDXPベンダーが取り組むCX向上策を紹介する。
Coates Hireはオーストラリア国内の150カ所以上の拠点で、建設、溶接、鉱業、足場といった21カテゴリーのレンタル機器を100万個以上管理する。同社が抱える顧客の規模は多種多様で、現金支払いで機器をレンタルする個人事業主の職人から、複数の業界でビジネスを展開し長期契約を結ぶ大企業、インフラプロジェクトに従事する政府機関に至るまで多岐にわたる。
あるオーストラリア企業の挑戦
「オーストラリアの一部の州が実施した境界閉鎖や入州制限など、COVID-19拡大時には乗り越えなければならない難局があった」と語るのは、Coates Hireでポートフォリオデリバリーとデジタルトランスフォーメーションのグループマネジャーを務めるカースティー・マッケイ氏だ。
2015年にCoates Hireが提供開始したオンラインカスタマーポータルは、ERP(統合業務)システムやCRM(顧客関係管理)システムといった、さまざまなバックエンドシステムに接続。機器のレンタル処理や請求、支払い、クレーム管理、巨大な建設機器を引き取るタイミングの管理などの手段を提供している。同社は2018年以前、機器の安全性やメンテナンスに関するデータを完全に紙で管理していた。それをカスタマーエクスペリエンス(CX)向上のため、ポータルに集約した。
誰にも会わずに産業機器をレンタル可能に
アジャイル開発プロセスやCMS(コンテンツ管理システム)を採用してCoates Hireが構築したのが、Webサイトで即座に機器をレンタルできる機能「Hire Now」だ。「今すぐレンタル」を意味するこの機能はWebサイトの訪問者だけでなく、社内の販売チームも活用している。
Coates Hireがサービスを提供する業界は総じて「不要不急」とは見なされず、COVID-19が猛威を振るう中でも業務停止の対象にならなかった。それでもレンタル機器の扱いについては地域によって異なる制限が設けられていたため、レンタルのプロセスをデジタル化したことは同社に大きな強みをもたらした。
マッケイ氏は、誰とも接触しないで機器をレンタルできる「click and collect」(クリックして取りに行く)というHire Nowの機能を例に挙げて「当社には、顧客が安全を確保した状態で機器を引き取るのに必要なものが全てそろっていた」と強調する。
Coates Hireが次に取り組むべきはデータを一元管理してCXに組み込むことだとマッケイ氏は話す。例えば機器の所在地を地図上で視覚化するなど、顧客がレンタル取引に関する詳細情報を得られるように機器の追跡データを開放することだ。
オーストラリアは非常に広大な国であり「プロジェクトによっては現場間の移動だけで1日以上かかることも珍しくない」とマッケイ氏は語る。「顧客のレンタル体験を向上させるような価値を提供したいと考えている」(同氏)
Webサイトのコンテンツがメールを上回る
SitecoreはCMSをベースにした「デジタルエクスペリエンスプラットフォーム」(DXP)を提供する業界有数のベンダーだ。同社でプロダクト管理のエグゼクティブバイスプレジデントを務めるデスタ・プライス氏は、コンテンツがCXと顧客のパーソナライゼーションを促進すると語る。B2C(消費者向け取引)であれB2B(企業間取引)であれ、Eコマースはシンプルな取引を実現して、コンテンツとレコメンデーションによってCXを最適化するテクノロジーを必要としている。
感染症拡大の中でもSitecoreのユーザー企業では総じて、オンライン販売が予測をはるかに上回っていた。Webサイトのコンテンツは企業がブランドを築く上で差異化要素になっている。
「COVID-19の拡大以降、マーケティング目的のメールがやたらと増加している状況を多くの人が目の当たりにしているだろう。現在企業が取り組むべき課題は他社に埋没しないよう、注目を集めるコンテンツを用意することだ」とプライス氏は話す。
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