2021年05月12日 08時00分 公開
特集/連載

ServiceMaxによるフィールドサービスの最適化で見えてきた可能性ServiceMax導入事例

客先に出向いて機器のメンテナンスなどを行うフィールドサービスにおいて、派遣するエンジニアの手配やエンジニアの事務処理の最適化は収益に直結する。ServiceMaxによってこれに成功した事例を紹介する。

[Cliff Saran,Computer Weekly]

 米国の医療検査機器プロバイダーLuminexは、フィールドサービス管理クラウドサービス「ServiceMax」を2013年から使用している。

 Luminexがフィールドサービスエンジニア(以下、エンジニア)を管理する取り組みを始めるに当たって必要だったのは、部門間、特に営業部門とサービス部門の間の可視性を高める方法だった。営業部門にはサービス部門の活動が見えなかった。サービス部門には新しいビジネスチャンスを営業部門に伝える効果的な方法がなかった。

 当時、Luminexは「Salesforce」を使い始めたばかりであり、サービスや注文、出荷の履歴から顧客への権利付与といった各顧客とのやりとりを記録する好機と捉えていた。ここからLuminexのデジタル化の取り組みが始まったと話すのは、スティーブ・ナバ氏(グローバルフィールドサービス部門シニアディレクター)だ。

 「2013年に紙の資料の廃止とデジタル化に着手し、ServiceMaxを使ってサービスに関する在庫管理を記録するようになった」と同氏は語る。ServiceMaxによって顧客の資産を追跡することも可能になった。Salesforceに含まれる社内SNS「Chatter」を組み合わせることで、顧客の機器に関する問題を記録できるようにもなったと同氏は話す。

 Luminexは、ServiceMaxをSalesforceだけでなくERPとも統合している。ナバ氏によると、サポートセンターで顧客の問題を記録するとレコードが1つ作成されるという。そのレコードには、顧客の問題やその問題が発生した機器のシリアルナンバーなどが記録される。

 その後、自動的にフィールドへの派遣が要請される。ServiceMaxはエンジニアのスキルセットや顧客の所在地との距離に基づき、適切なエンジニアを見つけ出す。「ServiceMaxによってアラートを受けるエンジニアが決定され、Chatterに最新情報が送られる。それによって全員が作業指示を認識し、顧客との訪問の調整やスケジュール設定が可能になる」(ナバ氏)

 ナバ氏によると、ServiceMaxのシステムを設計するに当たってエンジニアと細かく相談したという。「このソリューションで機能すると考えていたことについて、エンジニアに変更を求められるケースが多々あった。業務の細部はエンジニアの方がよく分かっている」

作業のドキュメント化と管理

 フィールドでのあらゆる行動がCRMおよびERPに統合される。「データは請求書の作成や権利の確認のために上流に送られ、請求書が送付される」(ナバ氏)

 全ての要件を策定した後、Luminexはエンジニア全員に「iPad」を配布した。エンジニアはこのiPadを使ってSLA(サービスレベル契約)の更新やプロジェクトの見積もりをオンラインまたはオフラインで行い、自社のナレッジベースにアクセスできる。これは機器の疑問点の調査に役立つ。

 「エンジニアはサービス履歴、権利の付与、SLAの状態、ダッシュボードにアクセスできるため、毎日を有効に生かせるようになる。エンジニアはiPadで業務を行い、報告して、作業終了の確認として顧客の署名を得るだけだ。顧客はその場でコストの明細書を受け取り、フィールドサービスの費用を確認できる」と同氏は話す。

 客先での作業を全てServiceMaxでドキュメントにする。問題解決に使った部品、作業時間、出張費用がシステムによって一覧にされる。こうした情報は全てLuminexのシステムに直接アップロードされる。

 このシステムによってエンジニアが1日に対応できる顧客数が増え、エンジニアの生産性が上がったと同氏は話す。

 ドキュメントの作成やフィールドへの派遣は全てシステムが処理する。「管理業務は全てリアルタイムで処理されるため、担当者が行う必要はない」とナバ氏は話す。

IoTと従量制課金

 ナバ氏によると、Luminexの機器の中にはリモートによる監視や修理をサポートする機器もあるという。つまりエンジニアが現場に出向く必要性が減り、時間やコストの節約になる。

 IoTによって客先にある機器から膨大な量のデータを収集できる。だが、ナバ氏は次のように話す。「ビッグデータを生かせるのは、サービスを最適化している場合に限られる。だが、それが難しい。大半の企業はサービス業務を費用の中心と見ているためだ。IoTによって得られる高度な指標を生かす仕組みを構築しようとしても、その投資範囲が限定されるのが一般的だ」

 ServiceMaxは、Luminexのような企業に従量課金サービスを構築するための基礎を将来もたらすとナバ氏は考えている。従量課金サービスでは、効率の高いフィールドサービス部門を用意することが、そのサービスの収益に直結するからだ。

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