大量データの高速処理を実現する切り札となり得るプロセッサが「DPU」(データ処理装置)だ。「CPU」「GPU」に並ぶ“3つ目の頭脳”は何ができるのか。
「CPU」(中央処理装置)、「GPU」(グラフィックス処理装置)、「DPU」(データ処理装置)の3つのプロセッサは、システムの“頭脳”として複雑なコンピューティングを可能にする。各プロセッサは、それぞれどう違うのか。CPUの仕組みを解説した前編「いまさら聞けない『CPU』の基礎知識 その大切な役割とは?」、GPUを取り上げた中編「『GPU』はCPUと何が違う? 用途は画像処理だけじゃない」に続き、後編となる本稿はDPUに焦点を当てる。
PCの黎明(れいめい)期には、1個のプロセッサコア(演算装置)を備えたCPUが中心的なコンポーネントだった。その後、グラフィックスレンダリング(画像や映像の処理)を中心とした複雑な処理ができるGPUが登場し、コンピュータの“3つ目の頭脳”としてDPUが生まれた。
DPUは複数のプロセッサコアを搭載する他、ハードウェアアクセラレーション機能とネットワークインタフェースを備え、大量データの高速処理を追求する。DPUはその名の通り「データ」を切り口として、データ転送やデータリダクション(機密データの伏せ字)、データ分析、データの暗号化・圧縮といった用途に適している。
簡単に言えば、DPUを使用することによって、あらゆるデータを「適切な形式」で「適切な場所」に迅速に届けることができる。DPUはデータ保存の効率化を図るとともに、CPUの負荷を軽減してCPUがアプリケーション処理に集中できるようにする。
DPUはサーバの非効率性を解消するためにも有効だ。サーバスプロール(サーバ乱立)を軽減したり、高可用性と信頼性を提供したりする。大量のデータ処理を必要とするシステムの運用にも役立つ。例えばクラウドインフラを運用するデータセンターに加え、ディープラーニング(深層学習)といった複雑なアルゴリズムを実行する用途で力を発揮する。
CPU、GPU、DPUはそれぞれ、技術の進化を受けて複雑化するコンピューティングを支えるために開発されてきた。DPUは大量のデータを処理しやすくするため、データセンターへの導入が進んでいるところだ。DPUは特にAI分野での活躍に期待が寄せられている。
将来はCPU、GPU、DPUに“4つ目の頭脳”として仲間入りするプロセッサが登場する可能性がある。当面の間は、大規模なシステムの運用の効率化を支える役割をDPUが担うことになると考えられるため、DPUの進化に注目したい。
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