「CPU」を補うプロセッサとして「GPU」がある。コンピュータグラフィックスの高速処理にとどまらない、GPUの活用術とは何か。
データセンターでのシステム運用に欠かせない“頭脳”である、「CPU」(中央処理装置)、「GPU」(グラフィックス処理装置)、「DPU」(データ処理装置)の3つのプロセッサ。それぞれどう違うのか。CPUを取り上げた前編「いまさら聞けない『CPU』の基礎知識 その大切な役割とは?」に続き、中編となる本稿はGPUの仕組みを解説する。
もともとGPUは、CPUを補完することが“仕事”だった。GPUはCPUと類似する点が複数あり、どちらもデータを処理するために重要な役割を果たす。GPUの特徴は、グラフィックスレンダリング(画像や映像の処理)の高速化だ。
CPUはビデオカードに「命令」(インストラクション)を送ることができるが、自らが一度に処理できるデータは少ない。複数のプロセッサコア(演算装置)を搭載したCPUであれば、一連のタスクを順次に実行することは可能だ。ただし複雑なグラフィックスレンダリングには、一般的にCPUよりも多くのプロセッサコアを搭載し、多数の演算を同時に処理できるGPUの方が適している。
GPUはグラフィックスレンダリングのタスクを分割し、コンピュータグラフィックスを安定的かつ高速に同時処理できる。例えばレイトレーシング(光線追跡法)やバンプマッピング(物体に陰影付けする手法)といったタスクを高速処理することにより、アニメーションの映像を素早く画面に出力できる。
CPUが主に「逐次処理」を担うのに対し、GPUは主に「並列処理」を担う。GPUは本来、グラフィックスレンダリングを目的としていたが、並列処理はそれ以外の複雑なデータ処理にも役立つ。そのためGPUはスーパーコンピュータをはじめ、機械学習などの人工知能(AI)技術やビッグデータ分析の分野でも利用が広がりつつある。
後編は、DPUに焦点を当てる。
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